ミスタードーナツは今こそ原点に立ち返るとき

セブンイレブンのドーナツがミスドの商品とそっくりらしいですね。仁義なき戦って…そうかな～簡単にマネできる程度のものだったってことなんじゃないかな。

調合されたドーナツミックスに水やミルクを混ぜて、器械からぽこんぽこんって出てきたのを油で揚げるだけだからマネできるんじゃないの？

セブンはコーヒーが１００円ですから、ドーナツとセットでもミスドに比べて格段に安いです。車の中で食べる分にはそれで十分ですよ。

先月久しぶりにSC内のミスドの前を通ったらハンドカットドーナツ（シナモンやホームカットなど）が復活していました。期間限定だそうです。

ハンドカットドーナツが店頭から消えてしまってからのミスドは全然魅力がありません。ハンドカットという名が示すように、生地をめん棒でのばして型でくり抜くドーナツです。くり抜いたあとの生地をまとめたねじりドーナツもあり、歯ごたえがあって私はそれが大好きでした。

若かりし頃２年間ほどミスドで早朝アルバイトをした経験があります。コーヒーと１３０円以内のドーナツはシフトインでの飲食に限り食べ放題でした。（クルーへの無料提供を一切していないマクドナルドとは大違いです！！）私は１日２～３個は食べてましたから、１５００個ぐらいは食べたと思います。そのほとんどがハンドカットドーナツでした。

ハンドカットドーナツは技術が必要でしたから、腕を競う競技会もあったのです。へったくそなドーナツを作って、店長から「こんなもん、客に出せるか」とゴミ箱に投げ捨てられた学生アルバイトもいました。

ハンドカットドーナツがきれいに作れて一人前なのです。

このハンドカットドーナツがなくなったのはいつごろだったでしょうか。ミスドは従業員に技術を教えることをやめんたんだな…と思いました。訓練の余裕もなくなったのでしょう。モチモチ感が売りのポンデシリーズが定着したのもあるでしょう。パイドーナツはなるほど考えたもんだ、おいしいです。２００円も出して食べる気にはなれないけど。

ミスドなりに工夫はしているんだろうけど、原点を完全に忘れていると思います。カフェチェーン店と違ってコーヒーメニューが豊富ではないのだから、コーヒーに合うおいしいドーナツを提供するというのがミスドの魅力だと思います。いくらパイやケーキ風のドーナツを開発したところで、肝心のドーナツがいまひとつです。ミスドならではのドーナツメニューを放棄して、誰でもマネできるようなドーナツしかないなら模倣されても仕方がないですよ。

ミスドでは従業員のことを「働きさん」と読んでいました。はた（傍ら）にいる人をラクにするのが働くということだから、と教わりました。ミスドでのアルバイトはとても楽しく、チームで仕事をやり遂げることの楽しさ・苦しさを味わいました。

ミスドは元々、ダスキンがそのフランチャイジーに新たなビジネスチャンスを提供するために始めた事業だそうです。日本的フランチャイズシステムの成功例として高く評価されています。

アルバイトをしていたころ、バックルームに主婦向けの雑誌『暮らしの手帖』がありました。主婦は私だけでしたので、学生アルバイトは私が持ち込んだものと思っていたようですが、違うのです。この雑誌は戦後しばらくして創刊されましたが、電化製品や日用品の商品テストが好評でした。私も古本屋で６０年代の合成洗剤をテストした号を読んだことがありますが、消費者として非常に厳しい評価がなされていました。多くの主婦はこのテストを信頼していたものと思われます。

ダスキンは、この商品テストで良い評価を得たことがきっかけとなって、大きく売り上げを伸ばしました。ダスキンはその恩を忘れていませんでした。売り上げが落ち、廃刊の危機に陥っていた暮らしの手帖をフランチャイズチェーン店で購入し、受けた恩に報いたのです。他人を蹴落としても自分が助かるという風潮の中恩義を忘れないというのは簡単なことではありません。

ミスドには健闘してもらいたいのです。

ミスドには「人を育てる」という社風があったと思います。その一つがハンドカットドーナツの製造技術の伝授ではないでしょうか。

今こそ原点に立ち返って、他社にはマネのできないおいしいドーナツとすばらしいサービスで押し寄せてくるコンビニ商品に立ち向かってもらいたいです。

 

店頭のシナモンやホームカットの形状があまりにもきれいだったので、器械化したのか？と思いましたが、とあるお店でへんてこりんな形のシナモンを見て、器械にこのへんてこりんは無理だろう…と思いました。ほんとのところどうなんでしょうか？