【新・悪韓論】韓国・文政権で“赤化高官”が暴走! 「反米・反日」唱えるだけで出世? 専門性関係なく「思想性」合格で重用
2019.10.10
韓国で、文在寅(ムン・ジェイン)大統領への風向きが変わり始めた。ソウルで先週3日、文政権の打倒を訴える「300万人以上」(主催者発表)という大規模集会が開かれ、文政権支持派の集会を大幅に上回ったのだ。最側近のチョ国(チョ・グク)法相周辺のスキャンダル続出や、韓国経済の危機的状況、北朝鮮主導の南北統一への警戒感が、政権批判となって一気に高まっている。こうしたなか、文政権は周辺を「反米・反日」の“赤化高官”で固めているという。ジャーナリストの室谷克実氏が、自由主義国家から脱落寸前といえる隣国の末期的現状をえぐった。
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韓国の文大統領の高官人事は“左翼のお友達”を重視しすぎだと、かねて保守派が批判してきた。しかし、最近は「たらい回し人事」が目立つ。どうやら、「有能なお友達」がすでに底をついている。そうした状況だから、「思想性」の検証に合格したテクノクラートが優遇される。
政府高官にとっては、目立つ場所で、日本や米国を激しく非難することが「思想性」合格への近道だ。こんな構造が、韓国をますますレッドチーム(=中国共産党陣営)に接近させる。
文氏の最初の主要国大使人事は、まさに専門性無視の“お友達”優遇だった。中国大使になった盧英敏(ノ・ヨンミン)氏は「議員時代からの盟友」だ。しかし、文氏の訪中の際は、中国要人と大統領との会食をほとんどセットできなかった。そして、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が訪中したときは、休暇を取って韓国にいた。
「これは大使失格だ」と思っていたら、政権ナンバー2に当たる大統領秘書室長に大栄転した。
後任の中国大使に任命されたのは、大統領府政策室長を務めていた張夏成(チャン・ハソン)氏だ。「所得主導成長政策は正しい」と言い続け、目も当てられない経済指標を残して去った経済学者で、中国とは無縁だ。
かつて盧武鉉(ノ・ムヒョン)弁護士事務所で部下だった女性弁護士が法制処長(=内閣法制局長官に相当)を経て大統領府の人事首席秘書官(=次官クラス)になっていることを見ても、文氏は官僚を信用せず“お友達”を重視している。
しかし“お友達”の大部分は学生運動出身者で、サラリーマン生活をしたこともない。官僚機構の中で働けるような人材はほとんどいないのだろう。
そこで、「思想性」合格のテクノクラートが重用される。
外務省の趙世暎(チョ・セヨン)第1次官は、2012年に韓国が、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の調印式を1時間前にドタキャンしたとき、外務省東北アジア局長だった。
そして、朴槿恵(パク・クネ)政権になると、ドタキャン事件の責任を取らされる形で外務省を追われた。そうした人物が7年ぶりに復活したのは、「思想性」合格だったからだろう。
今回のGSOMIA廃棄の「主犯」とされる金鉉宗(キム・ヒョンジョン)国家安保室第2次長も復活組だ。
盧武鉉政権下で出世したから、そもそも「左の陣営の人」だったのだろう。彼は米国にもケンカを仕掛けているが、政権の内部でも「こわいもの知らず」の存在だ。
最近は「金鉉宗氏が外務省の職員を怒鳴り付け、土下座をさせた」との噂が流れ、国会でも取り上げられた。それに関連して、MBCテレビのニュース番組(10月5日)で面白い解説があった。
「雑音を出す金次長に力が与えられている理由は何でしょうか。鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長の存在感が弱いという評価とともに、猪突(ちょとつ)猛進の金次長のスタイルが大統領の信任を受けているという話が出ています」
政権ベッタリのテレビ局が「雑音を出す金次長」と言ったのも面白いが、重要なところは、彼のスタイルが「大統領の信任を受けている」とした解説だ。
韓国の政府高官は先を競って「反米・反日」にいそしむことだろう。
■室谷克実(むろたに・かつみ) 1949年、東京都生まれ。慶応大学法学部卒。時事通信入社、政治部記者、ソウル特派員、「時事解説」編集長、外交知識普及会常務理事などを経て、評論活動に。著書・共著に『悪韓論』(新潮新書)、『崩韓論』(飛鳥新社)、『韓国リスク』(産経新聞出版)など多数。
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