テキスト主体

懐中電灯と双眼鏡と写真機を
テキスト主体で語ろうとする
(当然、その他についても、語ったりする)

連載:星空観望のお勧め 11

2012-07-08 05:55:36 | 連載:星空観望のお勧め
昨夜、まれに見る星天の七夕でした。
旧暦の七夕とちがい、今の暦では、梅雨の時期に当たる7/7は、沖縄、北海道以外の日本各地では例年雨模様、曇り空の事が多く、織女と牽牛の逢瀬は数年~10年に一回くらいしか、星天に恵まれていません。

七夕に降る雨を催涙雨と云い、織姫と彦星が会えずに嘆く涙だとのことですが、昨夜は真夜中ごろより、すっかーんと晴れた星天で、いそいそと双眼鏡と一脚持って、かなり長い時間、天の川中心に星を眺めていました。

数日前から、近所の小さなお子さんがおられるお家では、七夕の笹飾りが飾られており、そういえば、いにしえの幼稚園児時代の私の写真にも、笹飾りを持ったカワイラシイのがあったなぁと思いだしておりました。
おそらくは、日本に住まう殆どの方が、このように小さな頃から、七夕の風習、歌、伝説に接してこられ、そのおかげで、7/7は星空観望を趣味とする方以外の、沢山の方も、夜の天気を気に掛け、冒頭に述べたように、珍しい晴れの時には、星空を見上げる、そんな星空観望の特異日、なのかもしれません。

実際に、この日のベガとアルタイル付近の星空に、普段となんら変わったところは無いのですが、それでも、こうやって七夕の伝説を思い起こし、アルビレオ、デネブをはじめとして、天の川近辺を眺めていると、なにかのイベントに遭遇している高揚感めいたものがあります。私がこんな場末のブログで稚拙な文章で諄くするまでもなく、遍く日本に拡がった星空観望の愉しみなのだと思います。

やがて、降りていくベガ、アルタイルの反対側から、天の川の星々のきらめきに負けない魅力を持つすばるが、今日は、木星、金星を従えて昇ってきます。すでにスピカは眩くきらめいています。

最後に、七夕のお願い、できれば、旧暦の七夕(ずっと星天の可能性が高い)にも夜空を見上げるような、新たな習慣ができればいいなぁと、そうすれば欲求不満の織姫と彦星が催涙雨にむせぶこともなく、星空観望の愉しみも拡がるだろうなぁと独りごちて、一旦この連載を終わります。





連載:星空観望のお勧め 10

2012-07-05 12:45:29 | 連載:星空観望のお勧め
天体望遠鏡、星空観望専用とも云える機器です。また、星見の最終兵器でもあります。
よく云われるのは、どんなに高価で高性能な望遠鏡でも、あまり使わない望遠鏡は、イイ望遠鏡ではなく、よく使う望遠鏡こそイイ望遠鏡だと云うことです。

望遠鏡はその高倍率故に、安定した架台が必須です。自宅の庭やベランダに設置して充分な観望ができるほど恵まれた環境にお住まいなら、作り付けの固定架台を比較的安価で平易に準備することができますが、この連載の当初に述べたように、そこまで星空観望に恵まれた方は少ないかと思われますので、移動式の三脚、経緯台、赤道儀つき架台が必要になり、いずれも安定感を求める頑丈さ故に、例えば、双眼鏡用、写真機用に比べて重く、持ち運びしにくく、展開、収納しにくいものになります。加えて、架台に搭載する望遠鏡は、屈折であれ、反射であれ、手持ちでも使えるような双眼鏡とは、全く桁違いの重さです。さらに数種のアイピース(接眼レンズ)天頂ミラー、プリズム、ファインダー、反射式の場合は踏み台や電動ファンなど様々な道具が必要で、それら全部をひっくるめて、頻繁に使うには、かなりの労力が必要になります。
ただ、木星の縞や、土星の輪、月の地形、金星の満ち欠け、それから、双眼鏡では手に負えない暗いメシエ天体等々を観るには望遠鏡が必須です。故に、自分で星空観望に傾けることができる労力情熱と財力によく相談しながら選ぶことになります。
また天体写真を撮ることで、肉眼では観望すら危うい星雲や星団を、長時間露出や画像補整画像混合ではっきりと、美しく見る事もできます。星空観望の精粋の愉しみがある天体望遠鏡を使っての星見には、底知れない魅力があるのですが、ここでオススメするのは、まず、よく、繁くに使える望遠鏡です。

お金がそこそこ使える人は、60~80mmクラスの短~中焦点アポクロマート、そうでもない人は、同口径の長焦点アクロマート、もしくは100mmクラスの反射、そしてそれぞれの望遠鏡に見合った架台を用意すれば、かなりの天体を肉眼で観望するに足りるでしょう、赤道儀を追加すれば天体写真にも挑戦可能です。数万~十数万といった予算です。

そこまでお金を掛けられない人は、星の手帖社の組立望遠鏡やコルキットシリーズ+三脚(合計数千円~一万数千円)、或いは、スコープタウンというWebショップのラプトル50(\7,980-)、ラプトル60(\14,980-)、アトラス60(\24,800-)などがイイでしょう。組立望遠鏡やコルキットは簡単な組み立て作業が必要ですが、その簡素な構造と価格からは思いも寄らない見え味でお手軽に使えます、ただし、使い勝手はさほどよくありません。3種類の初心者用天体望遠鏡セットは、上記のような良心的な製品なら、使い勝手もよく、拡張性を求めようとしなければ、充分な見え方です。ただし、お手軽さには劣ります。

もうひとつ大事なのは、天体望遠鏡は、名ばかりの粗悪品が堂々と販売されており、そういった粗悪製品を掴まされることがないようにすることです。販売店がその内容(悪さ加減)について知らずに販売していることもありますし、同一の日本の会社の販売品でも玉石混淆、とことん使えない望遠鏡が高価で販売されていたりもします。

良好な性能の望遠鏡で、条件の良い場所と時間に観望できる、そこからは、双眼鏡による星空観望にはない、深い愉しみが得られます。

連載:星空観望のお勧め 09

2012-06-18 22:52:56 | 連載:星空観望のお勧め
前回まで、TPOや道具など、メソッドに重点を置いてお話ししました。
天候と時間と場所と道具を上手く適合させてやれば、普段何気なく見上げるより、ずっと沢山の星を観ることができるはずです。
実地の星空観望で、星座、あるいは星そのもの、惑星など、お目当ての星の位置を知り、それを見るには、事前の知識、情報が必要です。星図、星座盤等から、お目当ての星の位置を見定め、或いは、自動導入装置のついた赤道儀に搭載した望遠鏡でお目当ての天体を見る、というのが旧来の見方でしたが、ノートパソコンと、スマートフォンの普及で、以前に述べた天体観測アプリを利用することにより、大きく探し方が進歩しました。
ノートパソコンの場合は観測地点の設定、方位角の調整が必要ですが、スマホの場合、GPS、Gセンサー機能で、見たい方向へ向けるだけのお手軽さです。ゲーム機のDS用の星空ナビも、GPS機能こそなく、観測地点の設定は必要ですが、方位角センサーで簡単なキャリブレーション後は、スマホと同様、見たい方向へ向けるだけのお手軽さで、現在の星空を詳細に見ることができ、観たい星を検索して探すコトもたやすくできます。

ただ、それぞれの星、星座、さまざまな天体にまつわる由来やお話し、あるいは星団や星雲の個性有る美しさは、なんらかの予備知識として身につけていなければ、どれをお目当てにすればいいのかも決めかねるでしょう。
時期、観望時間、使う道具により見ることのできる天体は異なります。カシオペアや、北斗七星から、北極星を見つける術があれば、コンパスよりずっと正確に方位を知ることができます。折角の時間の限られる星空観望ですから、星見できない梅雨時期のような時間に、書籍や、天体観測アプリや、先達の足跡をなぞっておくのも、スゴク役に立つ準備運動です。
一般に自動導入のない高倍率の天体望遠鏡には、ファインダーという低倍率の望遠鏡が平行軸上に取り付けられています、視野角の極端に狭い高倍率望遠鏡を目標の天体付近におおまかに向ける装置です。双眼鏡観望ではそのようなファインダーこそ必要有りませんが、馴染みのある天体、星座から、順に辿っていろいろな天体を見つけられるくらいに、またその天体に対する興趣深い予備知識があれば尚更、星空観望の旨みは増してきます。敷居を高くするつもりはないです、星々の光は何百、何千、何万年もかかって、私たちの見上げる星空にやってきます。眼前にきらめく幾多の星々の美しさを純粋に楽しむついでに、じっくりと、ちょっとずつでも、星座や星雲や星団について知識を身につけていけば、その知識以上に楽しさが増すことは請け合いです。星を観る能力(環境や道具の総合力)を測る指標のような天体も沢山あります。それらを追いかけていくのも愉しい、やりがいのある趣向でしょう。先日の金環食や金星の太陽面通過のような、人の一生ほどのスケールではなかなか遭遇できないイベントもあります。なにせ相手は宇宙です、こちらが興味を持ち続ける限り、限界のないセンスオブワンダーを供してくれるコトは間違いないのです。

連載:星空観望のお勧め 08

2012-06-14 22:12:36 | 連載:星空観望のお勧め
昨夜はワタシの棲まうトコロで久しぶりに晴れの夜空でありました。
遠征の疲れがたまっていたので、早くに寝たのですが、その分早起きして、薄明の手前の少しの時間、星空観望をしました。
いつもなら、最初っから、双眼鏡なりテレコンビノなりを持ち出して、星空を見上げるのですが、今日は、先ず肉眼主体で観望しました。フォーマルハウト、アルタイル、デネブ、ベガ、、明るい星から順に見て、そのあとで、8x20の、星見用としては、もっとも小口径の双眼鏡ツァイスポケットグラスを持ち出して、見てみました。すると肉眼ではほぼ分からなかった、こと座の小さな平行四辺形や、はくちょうの大きな十字、アルタイルが左右に従えるわし座の肩の部分など、星々が見えてきます。
流石に中口径以上の双眼鏡で見たときのような、微光星がちりばめられるような星空ではなかったのですが、胸ポケットに入るような双眼鏡でもある程度星空観望に使えることをあらためて認識しました。

星空観望には、8x42や10x50或いはそれ以上の口径の双眼鏡がより適しているのは間違いないのですが、飲み屋の帰りに、不意に星空が綺麗だった、なんてシチュエーションの時、私の持っている双眼鏡の中で、違和感なく、ポケットに入れておけて、かつ星見に使えそうなのは8x20が最適です。


全体的な大きさでは、ビクセンのニューアペックス8x24相当のSHIRSTONE samrai8x24も充分コンパクトなのですが、ご覧のように、薄さと形状による仕舞いの良さに明らかな差があります。



星空観望には、TPOが重要だというお話しを最初にしていますが、特に昨今のような梅雨の時期、良好な星天が滅多に望めないとき、お手軽片手間観望の楽しみ、肉眼で見えない星々が眼前に拡がる様子には、双眼鏡を持っててよかったという思いがこみ上げます。一般的に星見のオススメの双眼鏡以外に、良質なコンパクト双眼鏡もあれば嬉しい道具なのです。

連載:星空観望のお勧め 07

2012-06-04 22:42:29 | 連載:星空観望のお勧め
前回に続き、星空観望に使用する双眼鏡についてのお話しです。
今回はワタシの使っている双眼鏡を例にお話しします。
まず最初に星見に使ったのが8x42のダハ双眼鏡です。某製造元にて、いくつかの同機種の中から選別されたという来歴をもつ個体で、魁スーパールーフの前身にあたる機種です。周辺まで同時に合焦する明るくクリヤな視界が星空観望にも好適で、ダハ特有の光条も少なく、ダハタイプ故の収まりの良さ、などで、一台だけしか持ち出せない場合はこの機種になります。

テレコンビノは、ワタシにとって、そして星座や、天の川などを楽しむ方に好適です。ワイドビノを参考に、TC-E2というテレコンバーターをふたつ、眼幅を合わせて固定してあります。星野を大きく切り取って、その中に肉眼の何倍もの星を浮かべてくれる、類い希な光学機器です。

10x50のポロ双眼鏡、SS10x50SK-Dは、周辺画像こそ、フラットナー装備の、より高級なニコンSPやフジノンFMTに適いませんが、500g近く軽い950gという重量は長時間の手持ち観望を楽にしてくれ、中心部の鋭い星像は高級機にさほど引けを取りません。加えて26,775円という価格は、付属のケースや双眼鏡そのもののツクリを含めて激安といってイイでしょう。また、一脚や三脚に載せたときの微光星の見え具合も格段に優秀、色収差も殆ど無く、星空観望における稼働率トップです。

15x70のSkyMasterは、中国製双眼鏡のなかでもかなりコストパフォーマンスが高く、星見用に使うぶんには盛大な色収差もさほど目立たないので、すばるなどの星団を迫力を増して見せてくれます。なによりダハには不可能なその口径が、かなりの微光星まで顕わにしてくれ、一脚や三脚+架台(ビデオ雲台、ビノホルダー)が必須なのはやや不便ですが、手持ちとは違う星の世界を見せてくれます。

その他いろんな双眼鏡が星空観望に使えます。8x24だけで星見をしておられる方もいます。まずは観てみることです。
これから買われる方には、光条の不安のあるダハよりポロのほうがオススメです。


連載:星空観望のお勧め 06

2012-06-02 23:56:24 | 連載:星空観望のお勧め
前回までの連載記事で、TPOと暗順応した目の話をしました。両方ともに完璧な準備ができれば、6等星まで肉眼で見え、星降る夜を存分に堪能できますが、光害やさまざまの要因から、ムズカシイのも事実です。

そんなときに、双眼鏡、望遠鏡が劇的に状況を改善します。
双眼鏡は、いろんな倍率、口径、機構の製品が存在しますが、考慮すべきなのは瞳径と対物の口径です。月や惑星、一部の星雲を除けば、星々(恒星)はほぼ点光源で、いくら倍率が高くても、大きくは見えません。双眼鏡の倍率を正確に理解するには8倍という倍率は対象の大きさを8倍に拡大するのではなく、対象との距離を見かけ上1/8にするという考え方をしなければなりません。膨大な遙か彼方にある恒星を見るとき、双眼鏡、汎用の天体望遠鏡の倍率では星の視直径になんら変わりはないのです。

射出瞳径というのは、接眼レンズから目に届けられる光束の直径で、口径を倍率で割った値になります。ヒトの目は充分な暗所で、虹彩が開ききった場合に7mmの径になると云われています。故に、殆どの双眼鏡は7mm以下の瞳径を持つような口径×倍率の機構になっています。ただ虹彩が最大の7mmまで開くのは、限られた本当に暗い夜空の場合しかなく、一昔前は最大の7mmの瞳径を持つ7x50とか、10x70とかの双眼鏡が星空観望に最適とされていましたが、現在では日本の殆どの地域で瞳径5mm程度の8x42や10x50のほうが、より適しているとされています。

対物レンズの口径は、どれくらいの光量を集められるかにかかわってきます。大きいほどいいのは当然なのですが、手持ちで使う双眼鏡の場合、重量の制約もあり、50~70mmが限界、三脚等を前提にしても手持ち用を倍するトコロまでがせいぜいです。もっとも大口径でなくてはダメというわけではなくて、コンパクトとされる20mm前後のものでもヒトの瞳に比べれば面積はずっと大きく、肉眼よりずっと多くの星が見えます。

取りあえず、普段観ている星空を、双眼鏡で観て下さい、そこには肉眼で見慣れた星々よりずっと沢山の星があります。すばるがなぜ人を惹きつけるのか、普段分からなかったその理由が双眼鏡での星空観望によって、分かると思います。

連載:星空観望のお勧め 05

2012-05-24 20:06:24 | 連載:星空観望のお勧め
前回までは星空観望の、主にTPO的な事柄についてお話ししました。
これからはTool&Techniqueに関しての話題を暫く続けます。
ヒトの目の光学的な機能はさほど優秀なモノではありません。盛大に歪み、収差があり、解像度不足です。
網膜上に投影された映像情報は脳が補正、強調、切り捨てすることで、比類ない性能を発揮しています。

星空観望では、暗く小さく微かな光点を見きわめることが主になってくるのですが、虹彩の光量調節機能、と、網膜の視細胞の桿体の働きが重要になります。暗いところに目が慣れる”暗順応”には、30分から一時間が必要です。

自宅からのお手軽観望でも、遠征地での本格観望でも、充分に暗順応した目とそうでない目では、見える星空がかなり違ってきます。特に、自宅や、都会の光害地近隣での観望では、より深く暗順応し、またその状態を損なわずに維持することが、星空観望の成果をかなり左右します。視界の端の街灯や道路の照明、車やバイクのヘッドランプを直接見ないことが重要です。
また、星図を見たり、機器を調整したり、諸々の作業をする場合、暗順応を損ないにくい赤い照明を使う必要があります、必須ツールのひとつ、赤い懐中電灯です。映画館や、プラネタリウムの足下の補助照明に使ってあったりもする赤い照明ですが、あまり明るい必要は無くて、赤い砲弾LEDや、赤いセロファンで覆った通常の懐中電灯、ヘッドライトでもOKで、暗く光量を絞れる機能があれば尚更使いやすいと思います。いまワタシが画策しているのは、光害地で、周囲の様々な強めの光源の影響を排除できるよう、赤いクリヤーの保護メガネを自作して、利用することです。また、着色していない視界が必要な観測機器をのぞく際には、ツノ型の見口や、冠布を使って、余計な光を目に入れないようにすると、これも一層効果的です。

要は、TPOの如何にかかわらず、充分に暗闇になれた目そのものが、一番必要なツールだと云うことなのです。


連載:星空観望のお勧め 04

2012-05-17 23:09:50 | 連載:星空観望のお勧め
遠征はなぜ必要なのでしょうか。
少数派に属すると思われる、日本国内の、光害が少なく、大気中の阻害要因(塵、スモッグ、水蒸気など)が無い地域に住んでおられ、自宅近くから、天気の良い月のない夜には、いつでも天の川が見られる、うらやましい限りの方々以外は、遠征、が、より綺麗な星空を観望する手段です。地面に寝っ転がって(戦場ヶ原ひたぎ嬢がとなりにいればなおよし)、天の川を眺めるのは、星空観望をするヒトにとって、何よりのヨロコビだと思います。

光害地から逃れるには、水平方向にかなりの距離、そして垂直方向にも移動できれば尚更好ましいので、移動の手段に公共交通機関を使うのには、制約があります。夜中に山奥の標高の高い地点に到着できる交通機関は少なく、つごう、半日~一日以上を費やして、徒歩で行軍したり、宿泊施設を利用することになります。宿泊施設の中には、天文観測施設、機材を備えて星空観望をアミューズメントとして積極的にウリにしているトコロもあります。ただ、天候の変化しやすい山地においては、徒歩、宿泊とも、観望が空振りに終わったときは、いろんな面で、痛手です。

以上の理由、そして観望機材の運搬にも便利なクルマでの遠征が、星空観望の主流です
移動、休憩、支柱、仮眠、食事、などなど、数々のユーティリティー、しかもナビを備えた昨今、夜の山道を徘徊する強い味方でもあります。中にはピックアップトラックやルーフオープンのワンボックス、キャンピングカーに軽自動車のピックアップダンプ等に、移動天文台めいた造作を施したクルマもおられます。

そして、最大の付加価値なのですが、遠征先の選定、ロケーション、宿の吟味など、旅行やドライブの楽しさが、星空観望に加わることも見逃せません。実際、天候に左右されるという避けがたい事由のために、商品としてのツアーパッケージこそあまり見かけませんが、星空観望旅行は、魅力的な非日常を生み出します。純粋に物理的な移動に加え、星の宇宙、時空に向かう精神的な移動。trip travel tour journey 全ての意義が多様に詰まった旅行が可能なのです。

連載:星空観望のお勧め 03

2012-05-14 12:57:44 | 連載:星空観望のお勧め
連載第二回では、星を観る楽しみについて述べました、連載第一回では、なかなか綺麗な星空は見られない状況をお伝えしています。
必然的に、見たいのに見られない苦しみが生じることになります。

で、苦しみから逃れるためには、星空観望の障害を排除、回避、乗り越える必要があります。

基本は天候です。
雪や雨を含む雲の多い日、霧、スモッグ等のガスが発生する日、は当たり前ですが、星空は見えません。

先ずはじめに、折りに付けて、空を見上げ、雲のない綺麗な晴れの夜空は観望日和です、自宅、近所から、お手軽観望するのにちょうどイイ日です。

本格的には、星空を見ようとする地域、遠征先の天候について、天気予報などで、事前にじっくりと調査しておき、予報によっては、場所を変更したり、日時をずらしたり、あきらめたりします。

どちらの場合においても、天候の確認は様々な手段にて実施することが必要で、いきおい、天気予報オタクっぽくなってしまいます。

ワタシの場合、tenki.jp やYahoo天気の星空指数GPV気象予報AstroGPVなどの予報を参考にしています。
他にも国土交通省 防災情報提供センターリアルタイムレーダーなど、GPV(Grid Point Value)データは、かなり参考になります。
実際、遠征地でも、到着したときには、全くの曇天でも、GPVデータを信じて待ち続けて、スカッと綺麗な星空観望ができた経験もあります。

星空観望でもうひとつ大きな障害は、月です。
月を見たいヒト以外には、その明るさのポテンシャル故に、強大な邪魔モノである月について、月齢カレンダーや、出没時刻・方位角などを、見たい対象、上記の天候と重ね合わせて考慮する必要があります。新月と、月照による影がクッキリとできる満月では、全く星の見え方が違いますし、明るさは、目や光学機器の性能を直接に阻害します。
月と見たい星々の相関については、PC用、スマホ用のさまざまな天体観測アプリケーションが便利です。
特にiPhoneはじめとするスマホやNintendoDS用の天体観測アプリケーションは、GPS機能などと連携して、便利に観望したい天体を誘導してくれます。PC用は、幾多のソフトにより、シミュレーションとしてそこそこ美しい星空をも再現してくれます。

ホントなら、先のGPV気象予測データと、天体シミュレーションを統合したようなソリューションがあれば、一気に容易になると思うのですが、今後の楽しみにしています。

連載:星空観望のお勧め 02

2012-05-09 19:46:15 | 連載:星空観望のお勧め
・・・星空観望の楽しさとは、何でしょうか。ワタシの考えを、順に述べます。


・見る楽しみ―きらめく星々、星雲、星団、星座、天の川、流星、彗星、月、人工衛星などなど、単純に見ることによってその美しさや興趣深い姿形、イベントを楽しむ

・知る楽しみ―全天の星空は、平面の本や写真、星座絵とは、スケール感、見え方の違う実際の星を知る、また星にまつわる様々な話題、伝承等を反芻して楽しむ

・カノープス等見えにくいとされている天体、あるいは肉眼では見えない星を、様々なデバイスを使って征服し(一夜での全惑星観望やメシエ天体制覇等)、またその結果、写真等を披露しあう、星々を自らのものにする楽しみ

・新しい天体を発見する!



などが有るかと思います。
視覚的な美の追究知的探求、好奇心の追究ハンターの心理開拓者の栄誉などと言い換えてもいいでしょう。

他にも、星見のロケーションや、同好の仲間とのコミュニケーションを楽しみにするのも大いにアリです。
どれかひとつでも、組み合わせても、楽しみ方には、それぞれワクワクするものがあります。

そう、星空観望は暗い夜に、暗い場所で、望遠鏡などを設置して、割とチマチマしたイメージがあるかもしれませんが、実は全く逆に、星見をしているヒトにとっては、胸躍る、興奮を伴う、ダイナミックな楽しみなのです。

連載:星空観望のお勧め 01

2012-05-08 21:10:40 | 連載:星空観望のお勧め
今日から不定期に標題の「星空観望のお勧め」なる記事を書いていきます。
いままでにも、他のカテゴリで書いてきたことと思いっきり重複する内容になるかとも存じますが、拙ブログも200件以上の記事を連ね、ココのブログの仕様も、あまり過去記事参照に向いた仕組みではないので、まだこれから星見を始めようという方への何らかの参考になればと思いまして、ド素人のワタシなりに、ひっそりとまとめていきます。



ある程度以上の年齢の男性なら、星が見える夜空の北天を見て、北斗七星のヒシャクを数え、8個だの死兆星だの、いわゆる北斗の拳ネタに突入するのは、お約束になっているハズです。

また、秋から春にかけては、三つ星を見つけて、オリオン、と指摘するのも、然り。






ただ、悲しいことに、大半のヒトビトが居住する地域は、いまや光害地となっており、雲やスモッグや雲や霧や明るい月や雲などに邪魔されて見える機会の限られてしまう星空を、殊更に遠ざけています。



せめて、テレビや雑誌の星占いを気に掛けるヒトと同じくらいの数のヒトが、星空を恒常的に愛でるようになってくれればと思っていますが、前述した様々な制約により、ムズカシイ状況なのも事実です。

旅行先で、普段と全く違う美しい星空に感嘆するのは、ごく自然な感情だと思うのですが、そんな僥倖を普段の暮らしの中に、些かでも取り込もうじゃないか、というのが星空観望のお勧めです。