EDCという言葉は元々、ライト、ナイフ、アウトドア小物、工具などを、普段の生活でもそのユーティリティを発揮すべく、常時携帯するようになったところから発生した言葉です。概念として、常時携帯するのに邪魔にならない大きさ(小さいこと)、利便性などが備わった、キーホルダー感覚の小物を表すようです。
上の写真はこのブログで何度も紹介していますが、ツァイスの”ポケットグラス”Carl Zeiss Conquest Compact 8×20 T*、Nikon遊4×10、Seek4×13、6×18 単眼鏡です。
ポケットグラスは本格的双眼鏡として唯一のZ型折りたたみのおかげで、収納時の最大厚みが35mmで、胸ポケットにすんなり収まるのが何よりの特徴。
ケースに入れた遊とほぼ一緒の大きさで、他の8×20の双眼鏡と比べて収納時の厚みが1cm以上薄いのです。
やはり、じっくりとなにかを見ようというときは8×20が最低限のスペックになると思います。他に、最高の見え味を誇るNikon8×20HG L、そしてずっと高価なスワロポケット、ライカ、ツァイスビクトリーコンパクトなど、見え味を重視したら、他の選択肢もありますが、超絶に薄く軽い(185g!)このポケットグラスは、躊躇なく持ち歩けるという性能において抜きんでています。
電車の車窓から、景色を見るとき、双眼鏡を使っているヒトは珍しいと思います。違和感があると同時に、やはり振動、揺動する電車から、8倍の双眼鏡では視界が安定しません。遊は、額にかざす手のひらにスッポリと収まり、4倍ゆえに、揺れ、振動も気にならず、それでいてその小さなレンズからは信じがたい素晴らしい見え味で、遠い景色を豊かに見せてくれます。被写界深度もかなり深く、無限遠に合わせた状態で、7~8m先のものでも、さほどボケて見えるようなことはありません。スペックよりずっと開放的に感じる視野の中の良像範囲も充分に広く、双眼鏡を固定したまま視野の中を瞳で追うことができます。スマートな外観も魅力です。
Seek4×13は、遊より30%大きい視野角のおかげで、覗いた瞬間に、目標を捉えやすく、遊に較べて狭い良像範囲も、目標を視界中央に捉えてしまえば、さほど気になりません。なにより、ワンプッシュでケースより鏡筒が出て、パンフォーカスで見られる機動性の高さは、電車よりちょっと忙しい、自動車の窓から、信号待ちや一旦停止中に、気になる対象を詳しく見るのに最適です。視野の明るさと中心解像度の高さは、倍するお値段の単眼鏡と遜色ありません。実用的、機能的に過ぎるデザインはあまり好きではありませんが、ただ嗜好的な感覚でしかないのです。
6×18単眼鏡は、Seek4倍と製造元が一緒です。倍率が高くなっても、色収差等に悪化が見られないのは流石です。Seek4倍と同様、ワンプッシュ、ピント調整含めても片手でできるのは好ましい特徴です。この単眼鏡はいまひとつ目の届かない距離、小ささ、の対象を、詳細観察するのに好適です。この単眼鏡でもよく見えないモノがある場合、本格的な双眼鏡やフィールドスコープが必要になりますが、この単眼鏡の限界は相等に高く、コンパクトさに見合わない解像感を持っています。
つまり、
ポケットグラス-もちろん双眼鏡的用途、手帳に近い感覚で持ち歩ける。
遊-電車バス飛行機車窓用、観劇もOK
Seek4倍-自動車の車窓用、走行中に見ると、怖い迫力
6倍単眼鏡-ジャック・バウアー用
となります。もしかしたら、4つもEDC?邪魔じゃないの?と思われる向きもあるかと存じますが、4つ合わせた体積でも、厚めの新書サイズなので、大丈夫です。