テキスト主体

懐中電灯と双眼鏡と写真機を
テキスト主体で語ろうとする
(当然、その他についても、語ったりする)

長雨

2013-06-19 23:35:37 | Outdoor
過去にもっとも長時間屋外で過ごした経験が釣りのときでした。
雨は、釣り、に意外と影響を及ぼします。
フレッシュウォーター(淡水)での釣りでは、雨粒で水面がかき乱されることにより、溶存酸素量が増大し、活性の増す魚種がいること。溶存酸素量というのは重要な要素で、水槽や池では、ブク(エアーポンプ)で直接空気を入れたり、循環した水を水面に落として、空気を混ぜ込んだりしていますし、海外の湖の釣りなどでは、コンプレッサーで一晩空気を送り、魚を寄せてから釣るような輩もいるそうです。
ソルトウォーター(海水)の釣りでは、あまりにも大量の雨は、塩分濃度を一時的に下げ、変化を嫌う魚種は、その影響を避け深場に潜ったり、あるいは、海面を打つ雨音に紛れるよう(水中では音がもっとも重要な情報で、多くのフィッシュイーターは、小魚の泳ぐ音を頼って捕食を行います)、海面近くに上がってくる魚種もいます。

そのときは、某地区のシーバスダービーの二日目で、一日目に釣り場の選択を間違えて、釣果が無かったので、二日目は朝まずめから、地磯に立って、サラシ狙い、ヒラスズキ狙いの釣りでした。季節的に波が高く、磯の周りには充分なサラシ(波が砕けて出来る白く荒れて泡だった海面)ができ、よさげな雰囲気でした、もちろん波しぶきが噴きまとうので、レインスーツを着て、スパイクブーツを履き、ヒップガードを締め、ライフジャケットを着込んで、竿と幾ばくかの替えルアーをウエストバッグに入れて、降り出した雨のなか、釣りをしていました。
止むだろうと思っていた雨は本降りになりましたが、もともと完全防備だったので、気にせず、良いサラシを求めて、より先の方へと、ギャフを杖代わりに突きながら磯巡りをしていました。60センチに満たないヒラスズキとしては小物が釣れ、ストリンガーに掛けて、潮裏のよどみに放り込んで、雨の中釣りを続けました、雨が流れて目に入らないよう、カッパのフードの上から被ったキャップのツバから、ボタボタと滴が流れます、サラシに潜んでいるかもしれないヒラスズキの大物を狙って、何度も何度もルアーを投げ、リールを巻きます。午前中に一匹釣れたので、今日、ここには魚がいる、と確信して釣りを続けます。前の年は体調も万全でなく、坊主でしたので、意地になっていたのかもしれません。ライフジャケットのポケットに入れていたコンビニおにぎりを、自分の上半身で雨から覆うようにして食べ、冷たくなった缶コーヒーを飲み一息入れた後も、釣りを続けます。根掛かりしたルアーを外すため、磯を大きく回り込んだり、いろいろと忙しくしていましたが、ずーうーっと雨だったので、時間が経つ(太陽の位置が変わる)のも全く意識できず、空がかげり出すまで、12時間以上、けっこう激しい雨のなかで釣りしていました。
流石に暗くなる前には引き揚げないとヤバいので、ストリンガーを回収して、磯から上がり、木の下で雨宿りしながら、コーヒーの空き缶を灰皿代わりに、雨を見ながら、帰りに何を食べようかと考えて、いつものうどんやにするか、牛丼にするか、どっちでもいいかと決め、砂利浜でスズキをしめ、血抜きをして、クルマに戻り、ポリ袋に魚を入れ、むやみに大きいクーラーボックスに、濡れた衣類と一緒に放り込んで、半裸のままクルマにのって、乾いた服を着て、帰りました。帰り道もずっと冷たい雨で、その年も、シーバスダービーでは検量もしなかったのですが、降りしきる雨音に、波の砕ける音がまじる奇妙に静寂めいた音をずっと聞き続けた後、クルマのオーディオからは、耳馴染みの曲が流れていましたが、妙に新鮮で、なんとなく、雨で良かった、などと思ったのでした。


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