斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

夏の開放プールの監視術

2018年07月24日 12時47分56秒 | 斎藤秀俊の着眼
学生時代に10年近く公営のプールで監視員のアルバイトを続けていたため、様々な経験を積むことができました。
学校などで開放プールに時期になり、お父さん、お母さんなどもプール監視を行う機会があると思います。

昨日は、高知県にて小学3年生のお子さんが開放プールで溺れたなど、事故も報告されている中、プールの監視についてとても心配なことと思います。

全てを心配してもしょうがないので、プール溺水とけがの優先順位をつけましょう。
1.溺水事故のほとんどは、入水直後におこります。小学1年生は背の立たない場合があり、深さを確認しないで入水すると溺れます。
2.背が立つかたたないかの境目の深さで溺れることもあります。

意外に思われるかもしれませんが、呼吸原生の心停止に至る場合は、この2つです。だから、
1.監視員は入場者より早くプールサイドに上がり、入場者が退出してからプールサイドを下りるのが鉄則
2.プールで背の立たない子どもが誰かきちんと把握

これで、最悪の事態はほぼ避けることができます。ただ、急病による溺水の場合には背が立つ、立たない、の差はありません。急病ですから、一刻も早くプールから上げて、119番通報して、救命処置にとりかかります。
そのため、子供の動きの変化を常に見ている必要があります。

入水監視の必要性
監視員がそれなりの人数がいるのであれば、入場者と一緒にプールに入っている監視員も必要です。入場者の気持ちになった監視ができます。子供が集まっているところで何やらこそこそやっていないか、調子の悪そうな子供はいないか、友達に無理なことをさせられていないか、こういうことは陸からではほとんど気が付きません。

プールサイドは熱い
以前測定したら、プールサイドのタイルの上では60℃以上の表面温度になっていることもありました。学校プールで開放するのであれば、その時には常にプールサイドに水をまきます。裸足では熱くて歩けなくなるからです。だから、子供はプールサイドを走ってしまうのです。監視員のお父さん、お母さんなどは、そのまま暑い中監視をするのではなく、交代でプールに入って水中監視をおこなってください。監視員が暑さで役に立たなかったら、どうしようもありません。プールの水の量は人体の体積より断然大きいので、体温を超えていなければ、体温を下げる効果があります。さらに、水から上がれば風で水が蒸発し、気化熱として体から熱を奪います。これもバカにできません。したがって、水温が体温より低ければ、水中にいた方が体は冷えます。

すべって怪我をするとき
普通に乾いたプールサイド、あるいは濡れたプールサイドを走ってもそうそう転ばないのですが、乾いたところから濡れたところに足を踏み入れた時に転びます。かなり派手にころぶので頭を強打することもあります。そのため、プールでは走らないことが鉄則です。とはいっても、プールサイドの表面は熱いし、熱い体を冷やしたいしで、子供は本能的に動いてしまいます。ということで、プールサイドは常に水で冷やし、プールに入るときにはプールに背を向けてプールサイドをつかんではいる、という原則をきちんと教えて、ちゃんと実行することです。

とにかく、入水の時に一番事故がおこるということをしっかりと頭に入れてください。

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