僕の仕事部屋は、いつも押し入れの扉が開いている。
紙に描く仕事が多かったので、それに関する物が、束になって置いてある。
それが湿気でフニャフニャになるのが気になるので、押し入れの扉が閉められない。
一年中ずーっと開けっぱなし。
「片付けなきゃなあ」と思いながら年月は流れた。
たまに探し物をして、どこに何があるのかを確認する事はあるけれど、よくもまあこんなに描いたものだと思いながら、再び押し入れにしまい込む。
そこには今の仕事を助けてくれるヒントやアイデアもない。
他人が見たらゴミの山にしか見えないかもしれないよ。
そんな押し入れの中を眺めながら、人の記憶ってどうなっているのかと、ふと思った。
タンスの引き出しに喩えて、しまっていた言葉を探してる絵を浮かべることがある。
言葉をどこにしまったか忘れて、けっきょくは間違った言葉を取り出してしまうのだ。
笑われても、本人は気づかない。
話しは飛ぶけれど。
近頃、言ってる事が崩壊していくインテをyoutubeで見かける。
頭の中のタンスや押し入れが、愛着のある様々な物で溢れかえっているのだろう。
物凄い愛着は伝わってくる。
でも僕の押し入れ同様に、おそらくはゴミの山だ。
ゴミと言っては失礼か。
宝物?
その宝物は、湿気でカビが生えてないか?
風通しをよくした方がいいんじゃないか?