みなさん、おはようございます。
少し、時が経過しているが、
大事な社説と感じ、投稿とした。
東京新聞Webより全文転載
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【社説】
規制委が「活断層」認定 安全を優先する国へ
2013年5月23日
原子力規制委員会が原発直下に活断層を認めたことは、日本の原子力史上の大きな転換点である。
経済性よりも安全を優先させる、新しい一歩にしたい。
きのうは、この国の原子力機関が、原発に初めて「ノー」と言った日だったとも言える。
これで原発の安全神話はやっと過去のものになり、安全の文化、安全の科学の未来をひらくこともできるだろう。
規制委は、昨年末の独自調査に基づいて、日本原子力発電(原電)敦賀原発2号機(福井県敦賀市)の真下を走る
「D-1破砕帯(断層)」を活断層と断定した。
原子炉の直下で地層の大きなずれが起きれば、原発やその周辺が壊れかねないということだ。
◆もはや廃炉は免れない
規制委が再稼働に必要な審査をしないという以上、その原発は動かせない。
2号機をどうするかは、原電次第である。
だが、核燃料がそこに存在する以上、安全とは言えず、管理にも費用がかかる。速やかに廃炉するしか道はないだろう。
原電は「活断層の証拠は一切ない」として、追加調査を続けていく方針だ。
これまでに規制委が現地調査を実施した関西電力大飯原発(福井県おおい町)や東北電力東通原発(青森県東通村)でも、
事業者は活断層の存在を認めていない。
象徴的なのは、全国で唯一稼働中の大飯原発3、4号機の安全性に関する関電の姿勢である。
大飯原発近くの若狭湾には、二本の海底断層が走っており、陸側の熊川断層と影響し合う三連動地震の恐れがあるという。
そのため規制委は関電に、想定できる最大の危険に備えるよう求めている。
ところが、関電は「自社調査では連動しない」と拒み続けている。
電力側が活断層の存在を否定するのは、ある意味当然とも言えるだろう。
しかし、地域、国民の安全より事業者の利益を優先させてきたような旧来の規制行政のあり方が、
安全神話をつくり上げ、福島事故につながったのではなかったか。
だから国からも事業者からも独立し、最新の科学に基づいて判断できる規制委が必要になったのではなかったか。
もちろん、大地震はいつ起きるか分からない。
調査の長期化は、危険性を日々増大させる。
安全を優先させた規制委の判断を支持したい。国民の大方も支持するところだろう。
◆疑わしきは「クロ」だ
残念ながら日本は世界有数の地震国である。
フィンランドのように古くて硬い岩盤に覆われた国とは違う。
断層が走り、掘れば水が出る。
原発の立地にはまず適さない。安全を優先させれば、原発は減らさざるをえない国柄なのだ。
徳島県は昨年末、日本最大の活断層帯である中央構造線周辺で公共施設を造る時、
事業者に活断層調査を義務付け、場合によっては建設を制限できる条例を制定した。
地震の多い米カリフォルニア州では、活断層付近の建物建設を州法で禁じている。
規制委は今後、北陸電力志賀原発(石川県志賀町)1号機など五カ所で断層調査を予定している。
こと地震に関しては「疑わしきはクロ」の方針を貫いてほしい。
安全最優先の視点からすべての原発を自ら調査し直すべきである。
規制委が孤立しているという声を聞く。
しかし、独立と孤立は違う。原子力ムラからの孤立なら、国民の安全にとってはむしろ望ましい。
原発に頼る暮らしがどうなるか。住民の不安は地元のみならず、日本の課題である。
原発銀座といわれた敦賀では、国内有数の良港と発送電のインフラなどをいかした液化天然ガス(LNG)発電基地の構想が
持ち上がっている。
国策の誤りに対して、国は支援を惜しむべきではない。
◆廃炉から新たな雇用を
原発技術の蓄積は、廃炉ビジネスに応用されるべきである。
北ドイツのルブミンという町では、旧東独時代の原発を廃炉にしたあと、国が費用を負担する廃炉、解体が、
新たな雇用を生み出した。
脱原発とまちおこしの両立には、出力世界最大の東京電力柏崎刈羽原発を抱える新潟県柏崎市の関係者も、関心を強めている。
3・11からやがて二十七カ月になる。だが、福島原発事故は、いまだ続いていると言ってもいい。
事故に至った数々の過ちをもう一度よく反省し、命と安全優先への進化を図るべきなのは、規制委や電力事業者だけではない。
私たち生活者も過去に学び、未来に備えねばならない。原発に頼らない国へと、私たちはもう歩きだしているのである。
日本を変えつつあるのだ。
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規制委が「活断層」認定 安全を優先する国へ
2013年5月23日
原子力規制委員会が原発直下に活断層を認めたことは、日本の原子力史上の大きな転換点である。
経済性よりも安全を優先させる、新しい一歩にしたい。
きのうは、この国の原子力機関が、原発に初めて「ノー」と言った日だったとも言える。
これで原発の安全神話はやっと過去のものになり、安全の文化、安全の科学の未来をひらくこともできるだろう。
規制委は、昨年末の独自調査に基づいて、日本原子力発電(原電)敦賀原発2号機(福井県敦賀市)の真下を走る
「D-1破砕帯(断層)」を活断層と断定した。
原子炉の直下で地層の大きなずれが起きれば、原発やその周辺が壊れかねないということだ。
◆もはや廃炉は免れない
規制委が再稼働に必要な審査をしないという以上、その原発は動かせない。
2号機をどうするかは、原電次第である。
だが、核燃料がそこに存在する以上、安全とは言えず、管理にも費用がかかる。速やかに廃炉するしか道はないだろう。
原電は「活断層の証拠は一切ない」として、追加調査を続けていく方針だ。
これまでに規制委が現地調査を実施した関西電力大飯原発(福井県おおい町)や東北電力東通原発(青森県東通村)でも、
事業者は活断層の存在を認めていない。
象徴的なのは、全国で唯一稼働中の大飯原発3、4号機の安全性に関する関電の姿勢である。
大飯原発近くの若狭湾には、二本の海底断層が走っており、陸側の熊川断層と影響し合う三連動地震の恐れがあるという。
そのため規制委は関電に、想定できる最大の危険に備えるよう求めている。
ところが、関電は「自社調査では連動しない」と拒み続けている。
電力側が活断層の存在を否定するのは、ある意味当然とも言えるだろう。
しかし、地域、国民の安全より事業者の利益を優先させてきたような旧来の規制行政のあり方が、
安全神話をつくり上げ、福島事故につながったのではなかったか。
だから国からも事業者からも独立し、最新の科学に基づいて判断できる規制委が必要になったのではなかったか。
もちろん、大地震はいつ起きるか分からない。
調査の長期化は、危険性を日々増大させる。
安全を優先させた規制委の判断を支持したい。国民の大方も支持するところだろう。
◆疑わしきは「クロ」だ
残念ながら日本は世界有数の地震国である。
フィンランドのように古くて硬い岩盤に覆われた国とは違う。
断層が走り、掘れば水が出る。
原発の立地にはまず適さない。安全を優先させれば、原発は減らさざるをえない国柄なのだ。
徳島県は昨年末、日本最大の活断層帯である中央構造線周辺で公共施設を造る時、
事業者に活断層調査を義務付け、場合によっては建設を制限できる条例を制定した。
地震の多い米カリフォルニア州では、活断層付近の建物建設を州法で禁じている。
規制委は今後、北陸電力志賀原発(石川県志賀町)1号機など五カ所で断層調査を予定している。
こと地震に関しては「疑わしきはクロ」の方針を貫いてほしい。
安全最優先の視点からすべての原発を自ら調査し直すべきである。
規制委が孤立しているという声を聞く。
しかし、独立と孤立は違う。原子力ムラからの孤立なら、国民の安全にとってはむしろ望ましい。
原発に頼る暮らしがどうなるか。住民の不安は地元のみならず、日本の課題である。
原発銀座といわれた敦賀では、国内有数の良港と発送電のインフラなどをいかした液化天然ガス(LNG)発電基地の構想が
持ち上がっている。
国策の誤りに対して、国は支援を惜しむべきではない。
◆廃炉から新たな雇用を
原発技術の蓄積は、廃炉ビジネスに応用されるべきである。
北ドイツのルブミンという町では、旧東独時代の原発を廃炉にしたあと、国が費用を負担する廃炉、解体が、
新たな雇用を生み出した。
脱原発とまちおこしの両立には、出力世界最大の東京電力柏崎刈羽原発を抱える新潟県柏崎市の関係者も、関心を強めている。
3・11からやがて二十七カ月になる。だが、福島原発事故は、いまだ続いていると言ってもいい。
事故に至った数々の過ちをもう一度よく反省し、命と安全優先への進化を図るべきなのは、規制委や電力事業者だけではない。
私たち生活者も過去に学び、未来に備えねばならない。原発に頼らない国へと、私たちはもう歩きだしているのである。
日本を変えつつあるのだ。
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