今年も師走になった、12月になると自室でベートヴェンの第九をかけて年末ムードを楽しんでいたが、ここ10年くらいはバッハ「クリスマス・オラトリオ」を聴いている、これが実に素晴らしく、クリスマスムードに浸れ、厳かな雰囲気にもなるので気に入っている
第九のコンサートはたくさんあるがクリスマス・オラトリオを聴かせる公演がないのが残念である
ロンドン旅行中にロイヤル・オペラ・ハウス(ROH)に観劇に行ってきた、演目はEncounters: Four contemporary ballets (出会い:4つの現代バレエ)、夜7時半開演、公演時間は2回の休憩を含めて約2時間40分、満席だった、ROHは仕事で来た時も前を歩いたりして場所は知っていたが観劇する時間的・精神的余裕がなかった
海外でオペラ劇場に行くときは、オペラを鑑賞したいが普段ほどんどオペラを聴かない嫁さんと一緒に行くので、わかりやすいオペラでないと苦痛になり、昼間の観光で疲れて眠くなるだけだ。魔笛、セビリアの理髪師、こうもりなどであればセリフがわからなくても音楽を聴いて見ているだけで面白いが、今回滞在中の公演はホフマン物語、ラ・ボエムなので無理だと思い、バレエとした、バレエはセリフがないので誰でも楽しめる
今回はバレエと言っても現代バレエなのが難点だが、演奏時間が休憩も含めて2時間40分なので何とか飽きずに見れるかなと考えた
ROHには日本人バレエダンサーが何人もいる、最高位のプリンシパルには高田茜、平野亮一、金子扶生が、First Soloistsに前田紗江などがおり、今夜は前田紗江が出演するので楽しみだ
前田紗江は15歳で英国に渡りロイヤル・バレエのスクールで3年、カンパニーで6年経験し、もう10年目に入っているという、彼女のインタビュー動画を見たら明るい性格でルックスもよく、常に感謝の気持ちを忘れないこと、いつも小さい目標と大きな目標の両方を持ち頑張っているとか実にしっかりした考えを持っている方だとわかり感心した、プリンシパルまで昇格してほしい
そして、今夜の彼女の演技は素晴らしかった、背も高いし、ルックスも上品な感じで健康的で知的な印象を与える女性ダンサーと見えた、頑張ってほしい
さて、今夜の演目であるが、
音楽/ライアン・ロット、テッド・ハーン、マリーナ・ムーア、オーウェン・ベルトン
振付/21 世紀の振付師 4 人、カイル・アブラハム、パム・タノウィッツ、ジョセフ・トゥーンガ、クリスタル・パイトによる大胆な現代作品を通して、動きを通して人間の感情を探ると題している
4幕物の現代バレエで、それぞれが独立した話になっている、指揮者も振付師もダンサーもそれぞれ異なる面白い試みの現代バレエである
ストーリーはわかりずらいというか全く理解できないが、バレエを観てる分には十分楽しめた、ただ、舞台の演出がクラシックバレエに比べて抽象的で豪華さがないので物足りない感じがした
幕間には劇場内を散策した、劇場隣接のカクテルエリアは外から見てもわかるようにガラス張りの建物になっており、夜になると大変華やかな感じで大いににぎわっていた
そこから上のフロアーやテラスにも行ってみたがそこにもバーカウンターがあり皆さん飲みながら大いに盛り上がっていた
ドレスやタキシードで着飾っている人もいたが、カジュアルウェアの人も多く気楽に観に行ける雰囲気になっていると思った
楽しめました、来てよかったし、また来たい
第1幕:『The Weathering』/Geoffrey Paterson指揮
愛、喪失、記憶についての穏やかな瞑想であるカイル・エイブラハムの『ザ・ウェザリング』を作曲家ライアン・ロット ( 『Everything Everywhere All at Once』)の音楽に合わせて踊る、『ザ・ウェザリング』は、アメリカ人振付師がロイヤル・バレエ団のために手がけた最初の一幕物、ダンサーは、Melissa Hamilton, 前田紗江, Lukas Bjørneboe Brændsrød, Joshua Junker, Liam Boswell
第2幕:パム・タノウィッツの「Or Forevermore」 新作/Geoffrey Paterson指揮
以前の成功作『 Dispatch Duet』をさらに発展させた新作で、振付師パム・タノウィッツはトレードマークのウィットと明るさでダンスの慣習をひっくり返す、ダンサーは、Anna Rose O'Sullivan, William Bracewell
第3幕:ジョセフ・トゥーンガの「夕暮れ/Dusk」新作/Charlotte Politi指揮
振付師ジョセフ・トゥーンガは、クラシックバレエとヒップホップの表現法が融合したカンパニーでの2作目のメインステージ作品を発表する、ダンサーは、Charlotte Tonkinson, Nadia Mullova-Barley, Marianna Tsembenhoi, Benjamin Ella
第4幕:クリスタル・パイトの「声明/The Statement」
振付師クリスタル・パイトの魅惑的なダンスドラマ、4 人の登場人物が主導権をめぐって戦う、スポークン ワードに合わせて振り付けられた「The Statement」は、人間性と役員会の政治の暗い深淵を探る、ダンサーは、Ashley Dean, Kristen McNally, Joseph Sissens, Joshua Junker, Calvin Richardson, Liam Boswell