9月の産経新聞に連載された元駐米大使の藤崎一郎氏へのインタビュー記事を読んでみた、藤崎氏は昭和22年生れ、外務省北米局長、外務審議官、駐米大使などを歴任、退官後も重要な役職を歴任されており、日本のエリートの一人であろう
この連載は記者による日本外交や藤崎氏の来し方に関するいろんな質問に藤崎氏が答える体裁をとっている、全部で29回の連載なのでそれなりの内容になっていて、非常に参考になったが、違和感を覚えたところも少なくない、その点について藤崎氏の発言を引用し、自分のコメントを書いてみた
藤崎氏
日本は安全保障を米国に委ねてはいるが、米国に遠慮しすぎて当然視されてはいけない(第2回)
コメント
日本が安全保障を米国に委ねているという考えがおかしいのではないか、自国は自国で防衛するというのがまず第1で、アメリカ軍は応援するということではないのか、ドイツ首相は「ドイツの安全保障はNATOに委ねている」などとは発言しないでしょう
藤崎氏
私は正直、中国の習近平主席の優先順位は台湾ではないだろうと思っている(第3回)
コメント
独裁者というものを分かっていない、ロシア軍がウクライナに迫っているとき、プーチンもバカじゃないのでウクライナを侵略するはずないと言っていた識者が大多数だった、独裁者は西側の理屈では動かない
藤崎氏
最も重要な貿易相手国である中国との関係は大事だ、決して無用な摩擦はすべきではない(第3回)
コメント
無用な摩擦はすべきではないが、時に必要な摩擦は避けてはいけないのではないか
そもそも摩擦を繰り返し起こしているのは中国であり、戦前と同じだ、尖閣列島に対する挑発行為、日本人の不当拘束、駐日大使の「火の海」発言、ブイの設置、領空侵犯、靖国神社への落書、NHKラジオにおける不適切発言、日本人の子供の殺害・・・これらの横暴に対して「摩擦を起こしてはいけない」という理由で対抗措置が取れていないのが日本だ、中国はそこに付け込んできており、どんどんエスカレートしてる、このような日本の外交は問題の解決どころがさらなる悪化を招いている
藤崎氏
「言うべきことを言え」とか言われるが、そんなことは当然やっている、それ公にするかだ(第5回)
コメント
やっている部分も当然あるでしょうが、もし本当に常にそうしてるならば、相手国の行動に何らかの変化が出るでしょう、また、国際世論に訴えることももっとすべきだ、そして言うだけではダメだ、状況が改善しなければ対抗措置をとるべきでしょう、どうしたら二国間の緊張を増大させず国際世論が納得する対抗措置がとれるかを考えるのが官僚や政治家の仕事でしょう、そういう姿勢が感じられない
藤崎氏
国家にとって大事な国益は、安全保障、経済的繁栄と国の尊厳だろう(第5回)
コメント
戦後外交は国の尊厳を軽視してきた、具体的な事例はきりがない、例えば、教科書問題、慰安婦問題や徴用工問題で事実を内外に向かって説明せず、相手国が騒ぐとその場しのぎの譲歩をし、日本の名誉を貶めた、海外にいくつも慰安婦像が建つのを防げていない、隣国との外交戦で国益を確保できていない
藤崎氏
溜飲の下がる外交は中長期的に危ない、考えてみると、背伸びしない外交をやった典型的な事例がポーツマス条約を締結した小村寿太郎と、国際協調路線を打ち出した幣原喜重郎だ、彼らは当時、「軟弱外交」のそしりを受けた(第5回)
コメント
- 溜飲の下がる外交をしろとは誰も言っていない、国益の確保より「相手を刺激しない」ということが最優先になっている現状に疑問を呈しているだけだ、相手国との友好が国民の安全や領土、国家の尊厳より大事であると考えているのではないかと懸念しているだけだ。やるべきことを粛々と実施すればいいだけで、例えば韓国に対する半導体関連材料3品目の輸出規制強化措置などは溜飲の下がる外交ではないだろう
- 幣原外交を評価しているようだが、幣原は英米との協調重視を主張していた点で評価できるが、中国軍による居留外国人民に対する殺害事件(昭和2年の南京事件など)に対し日中友好を重視して日本だけが軍事的対応を取らず、現地日本人を犠牲にした、しかし、事態はさらに悪化し関東軍が勝手な行動を起こすきっかけを作った点で評価できない
続く
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