近くのシネコンで映画「コヴェナント 約束の救出」を観てきた。シニア料金1,300円。2023年、米‣英‣スペイン、監督ガイ・リッチー、原題Guy Ritchie's the Covenant。監督のガイ・リッチーはイギリス人で54歳だ。この映画は、ガイ・リッチー監督がアフガニスタン問題とアフガン人通訳についてのドキュメンタリーに着想を得て作った映画。
2018年のアフガニスタン、タリバンの武器の隠し場所を探す部隊を率いる米軍曹長ジョン・キンリー(ジェイク・ギレンホール)は、優秀だが生意気で癖のあるアフガン人通訳アーメッド(ダール・サリム、イラク人)を雇う。部隊は爆発物製造工場を突き止めるが、タリバンの攻撃によりほぼ全滅してしまう。
キンリーとアーメッドはアフガンの岩山の中を必死に逃亡するが、タリバンの攻撃でキンリーが瀕死の重傷を負う。そのキンリーをアーメッドが救出し遠く離れた米軍基地まで手押し車で必死に運ぶ。そして、ついにアメリカ軍に保護され祖国に帰還を果たすがアーメッドはアフガンでタリバンから裏切り者の烙印を押され逃亡生活を余儀なくされる。自分を助けたためにアーメッドがタリバンに狙われていることを知ったキンリーは、彼を救うため再びアフガニスタンへ向かう。
観ていて感じたことを書いてみたい
- 映画全体を通じてハラハラ・ドキドキが満載でよかった、それも前半のタリバンの追跡からの逃亡劇、最後のアフガンからの逃亡劇、2度もクライマックスがあるのがよかった。
- アフガンの岩山の台地、過酷な気象、埃が立ち込める街の描写、いかにもアフガニスタンとはこういうところだろうなと思わせる映像がよかった、ウィキによれば撮影はスペインのアリカンテというところで行われたとあるが、スペインも気象条件の厳しい土地だというの本で読んだことがある。
- タリバンの兵士たちの描写もいかにもあり得るな、と思わせる演技だ。埃で汚れた車に白いタリバンの旗をなびかせて、「パトゥー」と呼ばれるマフラーのようなもので口から首を隠した兵士がライフルをもって米軍を神出鬼没で攻撃しまくる。そして、映画の中では現地人がタリバンを好きでないと言う場面もあり、パレスチナのハマスも同じような感じなんだろうなと思った。
- そのタリバンなどが使っていた車がほとんど全部、日本メーカーの車だったのは皮肉だ。タリバンに直接売ったわけではないのだろうが良い気分はしなかった。
- 映画の最後に米軍は2021年にアフガンから撤退した、そして米軍に協力した通訳たちのうち300人とその家族が(救出されずに)そのまま現地に残され、悲惨な状況になっていることが説明された(ピザの発行を約束して協力を求めていたが反故にした?)。そして米軍撤退後、タリバンが現地を再び支配していると出た。ソ連のアフガン侵攻、それに反抗するタリバンを含む勢力への支援、ところが9.11後はタリバンへの攻撃・・・この地を巡る大国同士の争いの醜さ、自分勝手さ、中東やアフリカも同じだろう。
- 最後のアフガニスタンからの脱出を目指して逃げるジョンとアーメッドの二人の弾薬も底をつき、絶体絶命になったとき、事態が急展開するというのがいかにも映画らしいが、ちょっと出来すぎで白けた。スピルバーグ監督、トム・ハンクス主演の「プライベート・ライアン」も同じような終わり方だったが、ここがアメリカやアメリカ人が主人公になる映画らしいと言えばそうなのだろう。もうひとひねりほしいところだと思った。
娯楽映画として面白い映画だと思った。
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