No Room For Squares !

レンズ越しに見えるもの または 見えざるもの

花巻温故知新②~花巻モード

2024-12-24 | 街:岩手




ここも恋焦がれる花巻スポットである。街中のエアポケットのような立地にあり、いくらGoogleマップ(ストリートビュー)を眺めても決して検索することは不可能な場所だ。縁がなければ一生足を踏み入れることはないだろう。僕は何かの縁に導かれ、初めて花巻の街を歩いたその日、わずか十数分で此処に辿り着いた。それはちょっとした奇跡だと今でも思っている。小っ恥ずかしいけど、僕が花巻と恋に落ちた瞬間だった。

初めて見た時点で、テル美容室は閉店してから長い時間が経っていることは明らかだった。それでも、その佇まいからすぐに分かった。少しだけ昔、お洒落な花巻娘(今では大々お姉様)は、この店に集っていた。新しい髪型、流行のセットをここで整えていたに違いない。花巻の流行はこの場所から発信されていたのだ。今では店は眠りにつくけど、往時の凛とした姿を保っている。そのことも奇跡だと思う。毎回同じ写真しか撮らないが、花巻に来れば必ずここに顔を出す。変わらぬ憧れの美女に会うために。時折、本当はこんな場所は存在せず、僕の心の妄想が作り出した幻影ではないかとも考える。さて真実は・・・。

X-PRO3 / Voigtlander NOKTON 23mm F1.2 Aspherical


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花巻温故知新①〜ベルエポック

2024-12-23 | 街:岩手


みな食堂(昨日掲載)に限らず、花巻には以前から気になっていて今でも変わらず気になっているものが多い。その幾つかを紹介しようと思う。まずは旧マルカンデパート近くの三田商店。地元民以外、この店に用事がある人はまずいないと思う。それでも建物の壁面に描かれたロートレックを彷彿されるペイントは誰の眼も奪う。一体何故、これを描いたのか。店主が本当は画家になりたかったけど家業を継いだ。その交換条件が壁面にペイントを描かせて貰うことだった、とか。まあ勝手に妄想を働かせている。マルカンデパートは廃業し(別形態で復活した)、周囲の建物も変化した。それでも花巻のロートレックは変わらずここにある。

X-PRO3 / Voigtlander NOKTON 23mm F1.2 Aspherical

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時は来た、それだけだ〜みな食堂で過ごす時間

2024-12-22 | 街:岩手






タイトルは、あの橋本真也の名言から引用した。僕がこういう言葉を使う場合、大抵それは店が廃業したとか、建物が解体されたケースになるが、今回違う。みな食堂で食事をしたという話である。みな食堂というのは、岩手県花巻市の食堂であり、食堂前の路地を勝手に「みな食堂の路地」と呼び、もう10年以上前から写真を撮っている。鉛温泉で泊まった帰路で立ち寄ることが多いので、時間が合わず一度も利用したことがない。そういうチャンスに巡り合っても、混み合って入店できなかったり、違う店に行ってしまったりしていた。みな食堂の近くにはライバル店(?)の高権という店があり、そちらに行ってしまったのである。その高権も閉店して久しい。

そんなわけで、今回とうとう「みな食堂」に入店した。客は僕ともう一人だけだった。ラーメンと半チャーハン(更に少なくしてもらった)を注文した。想像通りの優しい味だった。しみじみと染み渡る味であり、正直インパクトは弱い。でも何度も通いたくなる味である。長い長い付き合いの常連ができる味だ。店も非常に親しみやすい雰囲気に満ちている。大女将らしき人が、僕の隣の席に座り(多分そこが定位置)、テレビに映る「なんでも鑑定団」を熱心に観始めた。感嘆の声を出したり、くすくす笑ったり。本人評価額が200万円の掛け軸が2万円と評価された時は、手を叩いて大笑いしていた。こちらと話したそうな素振りだったけど、もう少し通ったら僕も話し掛けます。普段は常連と話しながら一緒に見るのだろうな。何度も何度もモデルになってくれた「みな食堂」。これからはお布施として食事をさせて頂きます。いつまでも営業を続けて下さい。


GRⅢ

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土器色の愛しい人

2024-12-19 | 街:秋田



茶色とマゼンタが入り混じった光景が、東北の町には溢れている。一口に茶色といっても、そのバリエーションは実に豊富である。一つの物の色だってグラデーションのように色の幅を持っている。「◯◯色」と単純に言い切ることは出来ないし、10色の基本カラーで表現することも難しい。そこで今回の3枚の写真。どの部分を取るかで判断は分かれるだろうけど、一応はどういう色なのかを調べた。上から順に、①栗皮色、②土器色、③駱駝色、が最も近いようだった。カメラの設定や画像処理エンジンによっても異なると思う。

ご注意戴きたいことは、街の色が豊富であることの例えで使った色名である。一般論でいえば、奥方やパートナーに向って「その土器色のセーター良いね」等とは言わない方が良いだろう。・・・。誰もそんな風に言わないか。

X-PRO3 / XF23mm F2R WR

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モノクロの街に雪が降る

2024-12-18 | 街:秋田





東北では、特に北東北では基本的に冬季には傘を差さない。僕は不安なので常に傘を持っていくが、殆どの人は傘すら持たない。一つには傘があまり役に立たないからである。どっちにしろ雪を防げないし、傘自体に雪が積もって重くなる。視界が悪くて足下が危険だし、積雪で狭くなった歩道などでは行き違いも困難である。またもう一つには、そもそも外を長距離歩かないからでもある。クルマで目的地まで行き、駐車場から建物までは早足で歩く。かつての商店街にはアーケードなど屋根付きのものが存在したが、老朽化と共に消えていった。人々は郊外のショッピングモールに集中し、本来は便利だったはずの中心地の商店街は廃れていった。・・・。その辺の話は長くなるので割愛する。

では傘を差さずにどうするかといえば、フード付きのダウンジャケットなりで歩き、建物に入るときは雪を払う。そもそも靴だって外を歩くのであればスノーシューズか長靴がデファクトスタンダードとなる。それでも最近の若者は驚くべき薄着で冬を過ごし、靴も普通にスニーカーを履いていたりする。あれは一体寒くないのだろうかとオヂさんには理解できない。まあそんな子たちは写真のような旧市街を歩いたりはしない。東北なりの都市部で過ごすのである。僕が歩くのは所謂「旧市街」。そもそもモノクロで撮れば雰囲気が良いところに、雪が降る。こういう光景にはモノクロが似合うのである。

追伸:ここ数日の降雪で、既にこの場所は真っ白になりました。恐らく写真のような状態に戻るのは3月になってからでしょう。

X-PRO3 / XF23mm F2R WR
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