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レンズ越しに見えるもの または 見えざるもの

かみのやまショートトリップ②〜エメラルドの都

2020-10-09 | 街:山形









僕が「かみのやま」の町に初めて行ったのは、2008年のことだ。それは偶然に導かれたのだが、その経緯は以前にも書いたことがあるので割愛する。十数年の間、上山の町の変遷を見続けてきた。なかでも、今はもう撤去されてしまった古い煙草の自動販売機。あの存在は忘れられない。上山に行く度に毎回撮った。その自動販売機を師匠・上原稔さんも撮っていて、「これを意図を持って撮っている人間が、自分以外にいるとは思わなかった。僕と同じ嗅覚だ」と言って頂いた。自信を付けさせるために過剰に褒めたとしても、無勝手流でやってきたことが報われた、そんな強い感動を覚えた。その出来事を昨日のことのように思い出す。少し前に掲載した「越後路」シリーズの際に、「臆病なライオン」の話をした。捕らえられたドロシーを救うために頑張ったライオンは、オズの魔法使いから勲章を与えられる。でも、その勲章が勇気の印ではないのである。勇気は最初から自分の心にもあり、必要な時に行動することにより発動される。その事実にライオンは気づいたのだ。勲章よりも、勇気を称えるオズの魔法使いの言葉で、ライオンは自信を獲得したのである。僕はライオンではない。だがオドオドした気持ちで町を撮っていた自分が、「自動販売機」を通じて何かを見つける経緯になった。そういう意味で、上山は「エメラルドの都」であり、師匠は「オズの魔法使い」なのである。

その上山の町のことは相変わらず好きだけど、見知った建物が消えて、空き地や新しい建物が増えてきた。次の10年後、町の様相は全く別物になっているかもしれない。ふと思いついて、カメラの設定を少しだけ変えた。最近はそういうことも少なくなった。これはオズの魔法使いの啓示だな。変わりゆく町並みが、最初に見つけた時と同じ色で見えた。あの頃の親密な気持ちが蘇る。歩こう、そして撮ろう。もう少し時間はある。

X-PRO3 / XF23mm F2R WR

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4 コメント

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Unknown (たたら)
2020-10-09 06:52:09
お邪魔します(*- -)(*_ _)ペコリ
イイ感じのカエルとタヌキに、ふっと笑ってしまいました。
カエルのつぶらな瞳が可愛い…(笑´∀`)
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たたらさん (6x6)
2020-10-10 17:05:29
瀬戸物屋さんみたいなところの店頭に並んでいます。
店的に売れた方が良いのでしょうが、行くたびに「まだ売れないでいてくれ」と思います。
もう10年経っても売れていないようであれば、買おうと思います(笑)。
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勇気やエールをもらえる場所 (ダム)
2020-10-11 22:45:14
勇気は最初から自分の心にもあり~(中略)そういう意味で、上山は「エメラルドの都」であり、師匠は「オズの魔法使い」なのである。

僕にとっての「その場所」は、お寺であれば浄蓮華院(京都市左京区大原)、三十三間堂、当麻寺(奈良市)、岩屋寺(南知多町)、大御堂寺(美浜町)、大善院(常滑市)。釣り場だったら、南知多町の各漁港かなと、改めて考えています。

「その人」は、大学の恩師だったり、件のご住職だったり、作陶家だったりします。最近では、約10年ぶりに多紀頴忍住職(浄蓮華院)に拝顔がかなった時のことを改めて思いだしています。
→ 参考URL https://www.kyoto-chishin.com/tv/2018/10_21.html

いくつになっても、自らが希望(発信)さえすれば、自らに目をかけてくださる方々から、ご教示(励まし)を頂戴できる…。

今の僕の支えであり、添加剤です。
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ダムさん (6x6)
2020-10-12 06:24:34
ダムさんは、お寺さんに行く時間を大切にされているのですね。僕はその辺は疎いので、興味深く拝見しました。
敢えて共通していることを探せば、「何故そこか」という論理的な理由があるのではなく、大袈裟にいえば「魂」レベルで共感する場所ということでしょうか。
参考になりました。リンク先、じっくりと読んでみます。
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