No Room For Squares !

レンズ越しに見えるもの または 見えざるもの

羽根沢温泉を目指す稀有な方へ

2022-05-25 | 街:山形










先の記事で述べたように、羽根沢温泉は山形県鮭川村にある小さな温泉街だ。鮭川村は典型的な農村で、人口は4千人を下回る。土地の殆どは出羽山地に属する山間部であり、村名の由来となった鮭川が流れている。村の北部は真室川町、南部は戸沢村、東部は新庄市と接している。西部も一応、酒田市と接する形にはなっている。だが直通の道路は未舗装の狭い林道であり、現実的には迂回するしかないだろう。そんな鮭川村の奥まった所に羽根沢温泉はある。といっても、山形新幹線の新庄駅からクルマで約30分。本数は極めて少ないが、直通バス(なんと200円!)も走っている。決して人里離れた秘境ではない。

しかし、である。秘境ではないからといって、わざわざこの温泉を選ぶ人はどれほどいるだろうか。少なくとも大人の休日倶楽部のCMで、吉永小百合が来ることは決してない場所だ。東京方面から来る一般的な温泉ファンはどうだ。遠路はるばる山形の内陸奥地まで足を運ぶのであれば、銀山温泉や上山温泉に行く方が無難と考える可能性が強い。なにしろ羽根沢温泉に行くということは、時間的にも距離的にも前後の観光は殆ど放棄することを意味する。県を跨げば、福県島の会津東山や飯坂、土湯、宮城県であれば鳴子、白石など他にも良い温泉がある。岩手まで足を伸ばせば星の数ほどの温泉地が選び放題となる。それでも敢えて、羽根沢温泉に来る人がいるのである。僕もそうだけど、それは別のケースだ。クルマで無理なく日帰り移動可能だから来るのであり、犠牲を払って来るわけではない。頭が下がるのは、遠路はるばる犠牲を払ってまで来る方たちのことだ。好きだね〜、と思う。この日も、北関東からハーレーダビッドソンで来ている男性が一人いて、共同浴場で一緒になった。羽根沢温泉の秘密を知る同志みたいな気持ちになり、嬉しくなる。難しいのを承知でいう。機会があれば是非、羽根沢温泉を訪ねてみて欲しい。娯楽なんか何もない(宿に泊まれば美味しいご飯がある)。立ち寄り入浴であれば共同浴場に入り、唯一の食堂で特に美味しくもないけど、決して不味くもない、普通の普通のラーメンを食べよう。これぞ温泉傾奇者の愉悦のひとときである。


X-PRO3 / XF18mm F2R
(一部 iPhone13 PRO)


コメント (2)    この記事についてブログを書く
« 羽根沢温泉共同浴場に入る | トップ | 幻のとりそば、ついに喰らう »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
6さんへ (のびた)
2022-05-25 09:49:46
クラブツ゚――リズムにも 温泉大好きクラブというツアー同好会があって 秘湯巡りも あるいは 一日数か所も巡ったりしていました
でもね(笑)羽根沢温泉聴いたことはありませんでした
立ち寄る方が居るから さびれていても経営が存続されるのですね
日本の秘湯? いつまでも残って欲しいです
返信する
のびたさん (6x6)
2022-05-26 06:07:37
温泉大好きクラブというツアー同好会、それはとても楽しそうです(笑)。
ここも更にもっと山奥だとか、一軒宿だとか、特徴があれば秘湯マニアに注目されると思います。
多分、知る人ぞ知る、とか秘湯と宿側すら思っていないのかもしれません。
でも、この特徴的なお湯、勿体ないなあと思います。「◯◯の湯」とか、その名すらありません。良い湯なんですけどね〜。
返信する

コメントを投稿