東京日記
静岡県焼津市、藤枝市、北海道の札幌市にあるIT企業グループの経営者 松田敏孝の日記です。




一昨日の立教大学ホームカミングデーで 服部栄養専門学校校長・医学博士また食育研究家として活躍されており、立教大学の先輩でもある服部幸應先生の「食育のすすめ」という講演を聴く機会がありました。たいへん素晴らしいお話でしたし、先生は「この話を5人の人に話して下さい」とおっしゃっていたので、こちらのブログに要録を記載させていただきます。本当はジョークもいっぱいで、とても笑いが多い、楽しいお話でしたが、そこまでは伝え切れませんが、ご容赦のほど (^_^;) 。

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私は将来の栄養士、調理師を育てているのですが、その学生たちに「食事日記」(朝食、昼食、夕食で食べたものを記録する)をつけてもらいました。すると学生たちの食生活がひどく乱れていることがわかりました。2年間かけてみっちり教育し、試験では90点、100点を取っている学生たちに、再び「食事日記」をつけてもらったのですが、何%くらいの学生が食生活を改善できたと思いますか?

なんと6%です。つまり理論はわかっても生活習慣は変えられないのです。18歳では遅いのですね。中高年になってもラーメンの汁を最後まで飲んでしまう人がいますが、これも習慣。「わかっちゃいるけどやめられない」ってやつで、なかなか習慣は変わりません。正しい生活習慣を身につけること、間違った生活習慣は早い時期に変えていくことが大切です。

17,8年前から 知育、徳育、体育だけでは足りない、食育を加える必要があると思い始め、9年前から政府に働きかけを行い、3年前に法制化することができました。それによって義務教育の中に「食育」という科目が含まれることになります。食育とはどんなものかというと大きく3つに分かれていて

1.家庭や農家や食品メーカーが、健康的で安全な調理方法や生産方法の知識を身につけること。
2.衣食住の伝承と躾を行える家庭環境を作ること。
3.食糧自給率の問題をはじめ、国の政策や方針などを知識として習得すること。

など、幅広く、体系的に学ぶことが求められています。

以下、暗いデータが続きますが、講演では、服部先生がとても明るく、希望がもてる形で、わかりやすく話して下さいました。

今、42%の先生がお箸を正しく持つことができない。
地球の人口は67億人、そのうち豊かに生活できている人は6億2,000万人(日本人はすべて含まれる)。水不足に悩む人は11億人。年間900万人は餓死している。「40%を切ったらあぶない」と言われている食糧自給率、日本は40%。イギリスは80%、ドイツは98%、フランス、アメリカは100%以上(数値は聞き間違いで正確ではないかもしれません)。日本の年間の食糧消費は9,200万トン。うち2,160万トンが残飯となっている。1,960万トンはまだ食べられる部分の残飯であり、これはEUの3倍で、多すぎる。

こういうデータを世界各国ではしっかり教育しているが、日本ではこういった数値も知らず、意識もしていない。日本人は「他の人のことを気にしない」人になってきた。成人の日にお祝いのスピーチをすることが多いが、15年前くらいからおかしくなってきた。人の話しを聞いていられない、おとなしく座っていられない新成人。その頃20歳だった人が今、35歳で親になっている。モンスターペアレンツが増え、先日ある学校の学芸会で子ども達が「桃太郎」の芝居をやったが、なんと全部の子どもが桃太郎役。さるの役をやらせると親が怒るので、全員平等にするとこうなるらしい。鬼の役はなんと先生。これに合わせて凶悪犯罪の件数も増えている。年間980件は10年前の20倍(数値は聞き間違いで正確ではないかもしれません)。未遂に終わったものも含めれば件数はさらに増える。

これらのことはどこに原因があるのか。


対策としては幼稚園、保育園、小学校の親、先生に食育の話しをしていくのが一番効果的。

0~3歳では子守歌を聴かせたり、絵本を読み聞かせたり、親子の絆を作る。今の3歳の子にとって父母との距離は昔のおじおばの距離になっている。これを変える。

3~8歳では好奇心を育て、いいこと悪いことの判断力をつける。姿勢とか箸の持ち方とか、8歳までに正しくしつける。昔は学校がなくても、家庭の食卓で一般常識を教えたので独り立ちできた。今は学校があっても一般常識がない子どもが上がってくるので、独り立ちさせることができない。人間でも動物でも共通の親の役割は「子どもを独り立ちさせること」。今、人間はそれができなくなってきている。子どもを独り立ちさせるコツは「ほめて叱ってほめる」こと。ほめるだけではダメだし、叱るだけでもダメ。叱られ慣れていない子が学校に来て、先生に突然しかられると「むかつく」「キレる」ということになる。食卓で子どもに一般常識を教えられるようにするコツは「テレビを消すこと」。テレビを見ながら食事をとるというのは世界的には非常識。これを変える。

高校生に対して「先生を尊敬していますか?」と質問したとき、多くの国々で80%以上の子どもが「尊敬している」と答えているのに対して、日本は21%と劇的に低く、「親を尊敬していますか?」という質問に対する答えでも「尊敬している」という回答は25%。

こういった状況を変えていくために 「早寝早起き朝ごはん運動」を実施中。

今、知育、徳育、体育に加え、食育が必要になっている。食育の意味は広く、まだまだ正確に把握している人が少ないのですが、皆さん、この話しを5人の人にして、食育を広めていって下さい。

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本当に共感すると同時に「自分もできていない!」と反省することしきり。
「食育」というと子どもの躾の一種で、栄養とかの話だと思っていた。
日常仕事をしているだけでは、こういった情報は少なすぎる。

今の日本にとってとても大切なことだと心から思うので、自分も食育の普及になんらかの形で貢献していきたいと思った。


コメント ( 2 ) | Trackback ( )



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コメント
 
 
 
Unknown (sukki-)
2008-10-30 06:29:40
ありがとうございます。
ここに書いて頂いて教えて下さったことに感謝!

それにしても素晴らしいヒアリングと要約力ですね。
加えて滑らかで読みやすい文章。

私もこれを5人に伝えるのに、このまなまコピペして使わせてもらうってのはありですか?

 
 
 
ありですよぉ~♪ (としたか)
2008-10-30 08:17:14
はい、ぜんぜんありですので、遠慮なくコピって使って下さい。その方が先生も喜ばれると思います。いい話はどんどん広めたいですよね。その5人の方々がさらにコピって使うのもありですよね。そうやって食育が広がるといいな。
 
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