「新しいフリーを理解する者が、今日の市場を粉砕し、明日の市場を支配する」
強烈なメッセージがちりばめられたこの本は、やはりビジネスマン必読だと思う。21世紀のフリーは20世紀のフリーとは違う。新しいフリーのキーとなるのは「デジタル時代のテクノロジーの進歩」で、いかなる業界でも この「進歩」をうまくビジネスに活かしていく会社が勝ち残る。全部で350ページもある厚い本だけど、「なかなかそんなに読む時間がなくて」という人は322ページから始まる巻末付録①~③だけでも読むことをおすすめします。このページ数ならすぐに読めるし、ここにはエキスが圧縮されて書かれているから、むしろ理解しやすいかもしれません。巻末付録のタイトルだけを書き出しておくと
① 無料のルール
② フリーミアムの戦術
③ フリーを利用した50のビジネスモデル です。
「フリーミアム」というのは、無料のお試し版を使ってもらうことで、有料の製品を買ってもらうビジネスモデルで、これは20世紀からあるモデル。ただし20世紀の「フリーミアム」は、無料版と有料版の差が大きく、無料版を配られた人の95%は有料版に移行することを想定していたけど、21世紀の「フリーミアム」では、無料版は有料の製品版と遜色なく、95%の人が無料版をそのまま使い続け、残りの5%の人がさらに高機能な有料版に移行する。そしてそれでもビジネスになる!ように設計されているのだ。
そんな比率を可能にするのも、新しいフリーのキーワード、「デジタル時代のテクノロジーの進歩」ということになる。その「進歩」の実態を示しているのは、「情報処理能力のコストは2年ごとに半分になり、通信帯域幅と記憶容量のコストはそれ以上のペースで下がっている。インターネットはその三つから成り立っているので、コストは相乗効果で低下する。その結果、オンラインの世界における正味デフレ率は年50%近くになる。それはつまり、現在のユーチューブの動画配信にかかる費用が、1年後には半分になっていることを意味する」という部分。
つまり インターネットから提供されるサービスは、コストゼロに向かう ということだ。
だから5%の人が有料版に移行するだけでもビジネスは成り立つ。
むしろ無料版と有料版の差をなくし、できるだけ多くの無料版ユーザーを獲得することで、有料版ユーザーの5%の実数を大きくすることが重要なのだ。
これはインターネットからサービスを提供するIT業界だけが活かせる進化ではなくて、どの業界であっても活かすべき進化だと思う。
たとえば食品メーカーが、商品である食材のレシピをサイトで公開する というようなことはよく行われることで、サイトを公開し続けるコスト(情報処理能力、通信帯域幅、記憶容量のコスト)は年々下がる。もちろんサイトを制作するコストはかかるけど、そのレシピサイトを見てくれる人が増えれば増えるほど、そしてその商品を買ってくれる人が増えれば増えるほど、そのサイトのユーザー一人当たりの制作費用は、ゼロに近づいていくことになる。レシピをダウンロードできるサービスを実施しても、ダウンロードする人が何人増えても、事実上それによって増えるコストはゼロに近い。つまりこのWebサービスは「フリー」に近づいていくことになる。むしろIT業界以外の方々の方が、こういったビジネスモデルを明確に描きやすいと思います。
IT業界の渦中にいる自分たちが、どのような取り組みをしていくのか というと、それは以前に「無料のサービスと組み合わせたビジネス展開を考える」ということで、このブログにも書いたけど、今、フリーの代表選手といえば、なんといってもグーグルなので、グーグルの「フリーパワー」と共に伸びたいと考えるのは、自然の流れで、具体的なアクションを始めている。
そういった代理店的な動きではなくて、今の自社Webサービス、システム開発をどう取り組んでいくか、という部分に関しては、さすがにここでは割愛させていただくけど、ますます楽しみな状況になると思っています。
書評のつもりが展望になってきてしまったけど、いずれにしてもこの本は必読、参考になります。
サンロフトのお客様で、「自社のビジネスにフリーを取り入れるにはどうするの?」って思われた方は、遠慮なくご連絡下さいませ。一緒になって考えますね (^^;) 。
| Trackback ( )
|
|
としたかさんが挙げた食品メーカーの例をとれば、
無料のレシピをダウンロードするお客様が増える
ことと食品メーカーの収益が向上することが、
必ずしもうまく結びつかないと思うのです。
「自社のビジネスにフリーを取り入れるにはどう
するの?」って思ってるので、ぜひ「一緒になって
考え」て下さい。
お願いします。
書評のアップが遅くなってしまい失礼しました。
駒ヶ根は銀世界でしたでしょうか。後ほど、「磯輪日記」におじゃまします。
「東京日記」は、土曜日がゴルフネタだったので、日曜日は書評をアップするんじゃないか、って磯輪さんが思っているんじゃないかなぁ~って、気になっていました (^^;) 。バタバタして申し訳ありません。
レシピに限らず、サイトの常連さんになっていただくことは、「フォロー」と「顧客化」の部分で効果がありますから、サイトのアクセスと商品の売上が、うまく結びつかないケースばかりではないと思うのです。
Webサービスの無料版から有料版に移行してもらうような、直接的なつながりではないので、難しいところもありますが、商品によっては、知恵と工夫でそれなりの効果はだせると思います。
ISOWAさんにおける、効果の上がるフリーの活用については、私たちの社内でもじっくり考えてみます。次回の東京出張で日程的に重なるところがあれば、時間を作って都内でお会いしたいですね。明日、携帯に電話させていただきますね。
明日は終日在社していますので、ご連絡お待ちしています。
楽しみです。
駒ヶ根は、そうでしたね。失礼しました。磯輪さんとacbさんがいなくても、社員同士が交流できるようになるのが理想でした。失礼しました。
はい、明日ご連絡します。楽しみですね。