去年の6月24日に始まった「経営者オフサイトミーティング 名古屋場所」。今回で一周年となりました。第1回のときと比べると参加者も増え、この会自体が成長しているのがわかります。写真をみていただくとわかるとおり、とても和やかで楽しい会です。でも決して楽しいだけではありません。真剣です。
今回のオープニングのプレゼンを飾ってくれたのは交運社 社長の田村さん。テーマは「もがき」。社長の子息として経営に加わった田村さんと経営陣との確執や、一方で若手社員にも伝わらない自分の思いに苦しみながらも、再度経営陣と話し合っていく決意をし、若手社員と本音で向き合う今の状況を語ってくれました。
毎回思うことだけど、いい会社を作るために真剣に経営している現役社長の言葉ほど参考になるものはなく、まさしく生きた教材って感じがする。
それから今回のパワーポイントを使ったプレゼン、田村さんの構想力、表現力が素晴らしく、そちらも印象に残った。田村さん、どうもありがとうございます。勉強させていただきました。
その後は「会社における成果とは何か」ということを全員で真剣に話し合った。
ただ、自分はなんとなくこの議論に違和感を感じてしまい、会話に入れなかった。
「会社における成果は利益ではなく、利益は結果である」という方向の議論が、自分の中で「本当にそうなのだろうか」とひっかかってしまい、過去のいろいろなことを思い出して先に進めなくなってしまったのだ。
今は景気が厳しく、多くの会社でも「利益が○%ダウン」と言っているけど、基本的にまだ黒字で、これまでの蓄えもある場合は、余裕がある。これが「利益ダウンではなく、赤字」となり、これまでもさしたる蓄えがない会社の場合、「会社における成果は、イコール利益」となり、利益そのものが目的になる。社長といえどもそんなとき冷静でいられるほど強い人は少なくて、会社がそういう状況になったときは、「会社における成果は利益」と言い切ってもいいのではないか。そういう思いが強くなってしまったのだ。
そのときacbさんが「それは、利益ではなくて存続なんじゃないの」とおっしゃってくれてハッと思った。そう、大切なのは存続。「存続し続けることが成果」。それの方が確かにしっくりくると思った。
一般的に社員数10人とか、それ以下というような零細企業の場合は、大きな案件をこなすだけの体力がないし、強い顧客基盤ももっていないから、財務体質も脆弱な場合が多い。地域密着で努力していたそんな零細企業にとって「サブプライム」とか「リーマンショック」などというのは何のことかもわからない。とにかく世の中は不況になり、派遣社員よりも先に切られるのが下請け企業で、会社は赤字に転落する。こういう状況のときの企業の成果は「存続」が一番。「存続していく」ことこそ、素晴らしいと思った。
磯輪社長が「(成果は)それぞれの考え方があって当然」とおっしゃっているのもその通りだと思った。大企業、中小企業、零細企業では、視点が違うし、そのときの業績によっても変わってくる。業績には振られない方がいいけど、そうも言っていられないときもあるだろう。当然社長の考え方によって成果の定義は異なると思う。
ここ数年、自分も「今期の方針」などで、あまり数値的なことは言わなくなっていた。
でも、4月から始まっている今期は、実は、数字を全面的に出し、日々その数字達成に向けて社員を鼓舞するようにしている。自分も陣頭にたち営業しているつもりだ。大きく変化していく時代の中で、どうしても「これだけの数値を確保したい」という思いが強くなり、方針を変えたのだ。
社内の雰囲気は悪くなっていないと思う。もちろんお客様に向かう姿勢も変わっていない。数字に向かう真剣さは増していると思う。自分を補い論理的に「数字」を説明してくれる社員もでてきてくれる。本当に社員のみんなに感謝しないと。
とにかく毎回経営者オフサイトは勉強になる。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
それから尊敬するD社のH社長が勇退されることになり、今回の参加が最後になるとのことでした。これは本当に残念です。品格と聡明な分析力、オーナー経営者もびっくりの情熱。とても素晴らしい方で、もっと指導していただきたかったです。多くの社員の皆さんもそう思っているのではないでしょうか。残念です。ぜひまた顔をみせて下さいませ。
泡オフ(経営者オフサイトの後の懇親会)では本物大好きさん、241さんとiPhone、iPad談義で盛り上がりました。今、この話題をふられると、もう止まらないのです。あっという間に帰らなければいけない時刻がきてしまいました。途中で失礼することになってしまいましたが、次回は実機をもってきますので、それを見ながらまたお話ししましょう。
今回も、とても楽しく、勉強になりました。参加者の皆さま、それからいつも準備していただけるISOWAの皆さま、どうもありがとうございます。
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存続そのものが成果。おかれている状況によっては
十分ありうる話だと思って聞いていました。
次回、御殿場には参加されないとのことですが
8月?にまたお会いできることを楽しみにしております。
今、会社の成果って状況によって変わっていいのかなって、再度考えています。なんか軸がなくなってしまうみたいで社員はやりにくいかなぁって。
8月にまたお会いできるのを楽しみにしています。
としたかさんの疑問提起に・・・一瞬 オレは甘いんだろうか・・・って思っちゃったんですが・・・
考えてみたら 去年はまさにそういう状況!
利益・・・と言うより 仕事量の確保だったり 売り上げだったのかもしれません。
初めての危機に怖くなったことを思い出しています
ただ・・・本当の恐怖は むしろ今で・・・
仕事量がまだまだ戻っていない段階で 社内が忙しくてたまらない・・・みたいな雰囲気になっていて・・・
むしろ今の方が 利益って言いたくなっちゃうのですが・・・
やっぱり利益は結果であり 風土改革を続けるための手段というか燃料かな・・・って
例として適切かどうか分からないのですが・・・
あの高収益のエーワン精密
彼らがやっているのは 刃物の再研磨だったり コレットの製造だったり・・・
技術的には競合可能な会社がいっぱいあるんです
受注2分後には現場の担当者に情報が届いて 時間をおかずに仕事に取りかかる・・・
あんなこと出来ないよなぁ・・・と一瞬思うのですが・・・よ~いドン!で走るのは小学生でも出来ること
要はやるかやらないかなんだと・・・
自分の会社で真似しようと思ったら・・・成果定義は決して利益じゃなくて すぐやる・・だったり 最高のチームを作るだったり・・・
自分の会社と思う・・・って言うことなのかなぁ
そんなことを考えていますが・・・奥の深いテーマですね。
長くなっちゃいました。
おはようございます。
今回、田村さんの発表を聞いていて「僕も何もしていないんだろうなぁ・・・」と大反省でした!!
「やっているつもり」だったのではないか?
「本音のトークをしていたのか」?
今回はオフサイトで皆さんの意見交換した内容よりもこ心に「ぐさっ」っと来ました。
「よし、やるぞ」と言う強い思いを持続することって難しいなと思いました。
iPadのこと教えてください・・・・(*^-^*)
自分には「利益自体が成果」という意識になっていた時期が確かにあり、その頃の社内の雰囲気がよかったのか?と言われれば、確かに悪かったのですが、その頃も精一杯仕事には取り組んでいたので、その頃の自分を否定する気持ちにはなれませんでした。
ただ「成果=利益」というよりも、それって「成果=存続」だったわけで、その一言をいただけて、自分の気持ちに整理がつきました。口にでる言葉は「もっと儲けよう」というようなことでしたが、すべては「存続」のためだったんだ、と。
エーワン精密さんの取り組みはやはり参考になるのでしょうね。「すぐやる」ということが、結果として高収益につながり、その利益を燃料にして、さらにいい会社を作っている経営者からすると、利益を成果にして汲々としている経営者は、経営者のうちに入らないのかもしれません。
自分は今期、社員に対してまた数字のことを積極的に言うようにしているのですが、自分たちの会社には「お客様に喜んでいただく」ということに主眼をおくあまり、「その仕事が利益を上げているか」ということが忘れられる傾向があるので、その点は指摘していきたいと思うのです。やはり利益が上がっていない事業は、最終的には「存続」しなくなってしまうし、存続しないこと自体がお客様にとって最大の不利益になってしまうと思います。顧客満足と会社の利益のバランスをとるようにしていきたいです。
アドバイス、どうもありがとうございます。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
田村さんのプレゼン、素晴らしかったですね。
りんごの木がでてきて、果実の部分がお客様に届く製品やサービスだとすると、幹部は根。この根っこの部分で養分を吸収できるようにする、とおっしゃていました。この考え方がわかりやすく、素晴らしいと思いました。
ただ吸収された養分もきちんと渡らないと果実はできない。そのきちんと伝える部分が本音トーク(骨トーク)になるでしょうね。波風が立ちそうなことは言わない というのは本音トークの逆ですから、本音トークを続けていることは、骨がおれる仕事だと思います。でもそのことを続けていく決意をしている田村さんは、きっと見事な果実を実らせると思います。
自分も本音トークはできていないなぁ、と反省しきりでした。まずは社員と話す時間を作ることから始めようと思っています。
どうもありがとうございます。
実は、あの時、松田さんの意見伺って、ほっとしました。
私もあの議論に違和感を感じてしまっていまして、、、
「会社の社会価値」と「社員さんの成果」って、別の事じゃないのかな?と思いながら、皆さんの話を聞いていました。
ただ、皆さん、それをイコールにしたくて、「もがいて」いらっしゃる。
私には、岩崎さんが仰った「厳しい家族主義」がしっくりきました。
>仕事量がまだまだ戻っていない段階で 社内が忙しくてたまらない・・・みたいな雰囲気になっていて・・・
>むしろ今の方が 利益って言いたくなっちゃうのですが・・・
泡オフもありがとうございました。
iPadの実機でのレビュー、楽しみにしております。
自発的に成果を上げるには、ワクワクするような
内発的動機が不可欠で、そうでなければそれは
偶然の産物か、やらせだと思います。
継続的に企業が少なくとも存続し続けるには、
経営者も社員も同じようにワクワクするような成果を
定義し、それを一緒に追及することじゃないでしょうか。
成果=業績と言う場合に、社員にとっての、生存の
欲求レベルでなく自己実現レベルでの働きがいを
説明することが私にはできません。
どうでしょうか?
>「会社の社会価値」と「社員さんの成果」って、別の事じゃないのかな?
>と思いながら、皆さんの話を聞いていました。
>ただ、皆さん、それをイコールにしたくて、「もがいて」いらっしゃる。
>私には、岩崎さんが仰った「厳しい家族主義」がしっくりきました。
そうですね。それがイコールになった状態は、生存レベルの欲求からワンランクレベルアップした欲求をもつ状態で、だれしもその状態にいきたいのだと思います。ただ、今またこういう厳しい時代がやってきて、それさえも難しく、もがく状況になっている経営者も多いのでしょうね。
先日のような素晴らしい場所で、素晴らしい皆さんと議論できただけでも十分幸せなことだと感謝しています。
iPad談義が途中になってしまい残念でした。次回は実機を持ち込みます。楽しみにしていて下さいね。
たいへんお恥ずかしい話しなのですが、私が社長に就任したのは1992年。以降4期連続で会社は赤字でした。ありがたい後ろ盾のおかげで倒産はまぬがれましたが、さすがに5期目のときは、「今期赤字ならクビだ」と言われていました。その5期目も11か月間、累計利益では赤字。最終月が単月黒字で、なんとか累計でも黒字に転換しました。累計黒字を達成したのはその最終月のみ。利益額は88万円でした。涙がでるほどうれしかったのを覚えています。
その頃の自分がもしオフサイトミーティングに誘われていたら。。。おそらく参加しなかったと思うのです。とてもそれだけの余裕はありませんでした。
その頃の自分は傲慢で(今もまだまだですが)、公然と「成果=実績」というようなことを口にしていたと思います。確かに甘い経営者でしたが、そういうことも含めて、あの頃から今でも残ってくれている社員のためにも、すべて必要なことだったと思いたいです。
よく言われることですが、横軸に利益、縦軸に品格として、企業は右肩上がりに成長できるのが理想ですよね。でも、現実的には理想通りには進まなくて、一時期は地をはうように、ひたすら横軸を進む。そしてその後、あるタイミングで縦軸を上げるよう努力をする。
「品格は後回しでいいのか」と言われてしまいそうですが、そういう経営もあると思うのです。今でも「生存の欲求レベル」しか社員に示せていないかもしれません。「自己実現レベル」の働きがいが二の次になっているかもしれないのですが、それでもついてきてくれる社員のために、全力で経営に打ち込みます。
いつも発言が少なくて申し訳ありません。でも、経営者オフサイトに参加させていただいて、とてもうれしく思っています。たとえば大手企業グループの社長の方々の視点は、自分のような者の視点とは異なっていて、はるかに視野が広く、示唆に富んでいて勉強になります。もちろん風土改革に取り組む磯輪社長の取り組みも生きた教本のようで、実際に社員の方々とお話しする機会をいただくとますます「こういう会社を作りたい」という思いが強くなります。
まだまだの自分ですが、きっと「自発的に動ける社員に支えられた、自己実現レベルの目標を掲げる会社」にしていきますので、これからもどうぞ、ご指導のほど、よろしくお願いいたします。
本当にいい出会いがいただける素晴らしい会ですよね。
D社のHさんと出会えたことも、感謝の気持ちでいっぱいです。
刈谷におじゃましてお聴きしたHさんのプレゼンは忘れられません。私たちのような経営者を「大海で泳ぐ」、ご自分のことは「プールで泳ぐ」ととても謙虚にお話しされておりましたが、私たちよりもはるかに広い視野をお持ちで、風土改革に強い情熱をもって取り組まれている姿に感銘を受けました。
どうか社長を退任された後もお話しする機会がいただければ、こんなにありがたいことはありません。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
どうもありがとうございます。