東京日記
静岡県焼津市、藤枝市、北海道の札幌市にあるIT企業グループの経営者 松田敏孝の日記です。




久しぶりの大前研一さんの本。還暦を過ぎても相変わらず明快。相変わらずワールドワイドな視点からズバッと、気持ちいいくらいに指摘されている。読むこちら側は 一刀両断という感じで切られてしまうんだけど、たくさんの示唆があるから心地よいし、元気がもらえるし、がんばろうという気持ちにもなれる、そんな本だ。

今回は 「先見力」 「突破力」 「影響力」 「仕事力」 「人間力」という5つのパワーの磨き方を語っておられ、最後に「いまなぜビジネス力なのか」という総括的な章がある。具体的に見ていこう。

■ まずは先見力。「先を見通す力」のことだ。先を見通すためには、ひとつの現象を見たときに、「なぜそのようなことが起きているのか」を観察することが先見力の第一歩だと言う。そうすると「そこで働いている力」が見えてくる。

たとえば都心の商業地の地価が上がりだしている。観察してみると、そこには「サラリーマンの都心回帰」という力が働いているということが見えてくる。「そこで働いている力」がわかったら、今度はそれをFF(早送り)してみるというのだ。
とすると、東雲や豊洲、木場のように丸の内、大手町に20分圏内なのに、地価は青山の1/3だったり、世田谷や田園調布などの高級住宅街は、この圏内に入ってこない、など様々な現象が見えてくる。

そこで 先見性のある不動産業者なら、豊洲や木場などに2LDKや3LDKのファミリー向けのマンションを建てることになるという。
う~ん、わかりやすい。これは応用が利きそうだ。

■ 突破力。21世紀はジャングルを切り開いて自ら道を作っていくような突破力が必要だと言う。そこには崖、大岩、大河、猛獣、何があるかわからない。それらをもろともしない突破力が求められる。

そのための秘訣の一つが「細分化」。どこから手をつけていいかわからない場合は問題を具体的に細分化して、一つひとつ解決していくといい。これは自分も社内で再三言ってきたことなんだけど、多くの人はどこから手をつけていいかわからない仕事に直面すると、それを後回しにして、他の仕事をしだす。でもそのことが重要な仕事だとすれば後回しにしてはいけないのだ。そんなときにこの「細分化」のテクニックはとても役に立つ。

突破力強化のためには「執念」とか、「絶対弱音をはかない」とか、根性論っぽいことも述べられている。こういう根性論を持ち出すと それだけで、「考える力がないからそんなことを言う」とか言う人もいるけど、根性と言うものは目には見えないけど、確実にあるし、突破力を高めるためには必要に決まっている。
本の中では そういう気持ちの部分を高めるためには「偉業などを成し遂げた人に、できるだけ直接会い、そのオーラを浴びること」と書かれている。絶対正解だと思う。

■ 影響力。これも21世紀には必要なもの。でも日本の多くのビジネスマンの頭の中は未だに20世紀のままだから、影響力の強化は立ち遅れてしまっているとのこと。

影響力を強化するには「型をもて」と本書では語られている。たとえば大前研一さんであれば、「ボーダレス経済と地域国家論」のエキスパートであり、その部分では強固な「型」をもっている。だからこそ、コロンビア政府から招かれても、決してコロンビアという国のエキスパートではないけれど、「どうすればその地域が繁栄するか」という理論があてはまるので、ストレスなくレクチャーできるのだという。

「型」はある意味「基本」と言ってもいいと思うのだけれど、そこがしっかりしていれば「応用」がきくのだと思う。

ではそういった型を身につけるためにどうするか。これは武道とまったく同じで「反復練習」と言う。「今、自分が課長だったらどうするか」「部長だったらどうするか」「社長だったらどうするか」 いつも考える習慣をつけていれば、「思考の型」が身についてくるという。独自の型をもたないような人間が他の人に影響を与えるなど とてもできないし、その型は、日々のたゆまぬトレーニングがなければ身につかないと語られている。

■ 仕事力。ここではダンドリについて語られる。実は自分も感じていることなのだけど、「仕事力 = ダンドリ」というのは、かなりの部分であたっている。

ここで示唆に富んでいるのは、「仕事というのは自分ひとりで完結するものは少なく、複数の人が関与するのが普通」と考え、「周囲を含めた仕事をダンドリ」を考えるという発想。自分一人のダンドリではダメなのだ。

ある人が仕事が遅いとわかったら、その人には 常に仕事をはやめに頼むのはもちろん、依頼してからも進捗をまめに確認するのを忘れないこと。また前もって「できあがりのイメージ」をできるだけ具体的に伝えておくことが重要となる。
些細なことかもしれないけど、これでこなせる仕事の量はずいぶん違ってくると思うし、仕事上のストレスも減らせると思った。

■ 最後に人間力。やはり仕事が楽しいと感じ、充実感を感じながら仕事に打ち込んでいる人は魅力的だ。ただし、それには重要な前提がある。ここは見落としがちなところだけど、そうやって仕事に楽しく取り組めている人たちは「仕事を楽しめるだけの基礎力が身についている」ということだ。前述の「型」もそうだけど、そういう基本ができている人たちの話なのだ。

そういう基本ができていないのに、「仕事は楽しく」などと言っていたら単なる「仲良しグループ」や「アマチュア集団」になってしまう。
「仕事でも趣味でも、下地をつくっている最中は、楽しむどころではない。でも地道に努力して手に入れたスキルは、必ずあとで人生に、大きな稔りを与えてくれるのである。そして、そのスキルを手にするためのハードルが高ければ高いほど、手にする果実は大きい」と書かれている。

本当にそう思う。そういうハードルを乗り越えたプロフェッショナルたちは、どんな職業の人であれ、自信に裏づけられた共通な魅力がある。そういう言葉にしがたい雰囲気のようなものを称して「人間力」というのかもしれないが、それらを「楽しい」だけで手に入れられるとは到底思えない。

まずは「基本」や「型」をしっかりと固め、その上で仕事に前向きに、楽しく取り組んでいくことがポイントなのだと思う。

以上、5つの力について、まとめてみました。

久しぶりの大前研一さんの本、あっという間に読めてしまいました。実際はもっと詳しく、いろいろな事例を示しながら解説して下さっています。理論は 明快、痛快で、元気もいただけます。自分も一つひとつ、着実に実践していきます。

今、仕事に悩んでいる人、先見力や突破力などを身につけたいと思っている人。大いにおススメです。

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