東京日記
静岡県焼津市、藤枝市、北海道の札幌市にあるIT企業グループの経営者 松田敏孝の日記です。




週刊東洋経済1月31日号では「テレビ・新聞 陥落!」という特集が組まれている。読みごたえがあるので関心のある人にはオススメだけど、その中で日本テレビの氏家取締役会議長のインタビュー記事が掲載されていて、それが。。。あまりにもインターネットのことがわかっていないので、びっくりしてしまった。以下、抜粋しながら反論。

>インターネットはしょせんハード。問題は、そこにどういうソフトを流すか、だ。

インターネットがハードというならテレビ放送網もハード。インターネットを介してニュースをみたり、音楽を聞いたり、メールを送ったりすることを称して「(インター)ネットする」と呼んでいる。テレビ放送網を通じて届けれられるニュース番組をみたり、音楽番組をみたりすることを称して「テレビをみる」と呼んでいる(別にテレビという映像機器をみているワケではない)。どういうソフトを提供するかが問題なのはネットもテレビも共通のテーマで、ハード、ソフトを云々することではないし、インターネットだけを「しょせんハード」という言い方はおかしい。

>読売で言えば150年新聞をつくってきた信用であり、その信用と一緒になって
>55年番組をつくってきた日本テレビの信用。これを直ちにやろうと思っても、
>何兆円かけたってできない。

読売や日テレの「信用」というのは怪しい。読売のスポーツ記事が中立だと思っている人が日本中にどれだけいるのか。新聞販売店への押し紙などの問題も周知の事実。日テレ系の番組ではなかったけど「発掘!あるある大事典」で捏造が行われ、凄まじい制作費のピンハネも明らかになった。これも他山の石ではないはず。いまや新聞やテレビの信用が高いとは言えないのではないか。

>もし、ブログに書いてある内容をそのまま信じてしまうような人がいるなら、
>客観的な考え方ができない人だろう。

Web2.0のもっとも根幹をなす考え方は「大多数の人が言っていることは、案外正しい」ということ。この感覚をもってネット内の情報を取捨選択できるスキルが重要なのだ。「ブログでまともなことを言っているのは100人に1人くらいしかいない」というけれど、ということは「何万人という、まともな発言者がいる」ということなのだ。「きざし」のような便利なツールも開発され、ブログに書かれている意見を参考にするのは、もはやマーケティングの常識だ。

ちょっと前のガソリンの価格が高騰した頃、テレビのニュースで「中国、インドなどの新興国で石油の需要が増えたから、原油価格が高騰するのは当然なのだ」と力説していた学者先生は今、何と言っているのだろう。テレビでコメントすることが認められている「その道の権威」みたいな人たちの意見は、案外その人の事情やしがらみで偏った意見を言っているケースは多々ある。テレビのニュースをそのまま信じてしまうような人がいるなら、客観的な考え方ができない人だろう。

>テレビがインターネットに食われると言う人がまだいるけれど、まったくの
>ナンセンスだ。

テレビの視聴率の低迷の理由はもちろんネットだけではないけど、明らかに「ネットの普及」はかなり大きな要因になっている。注目すべき点は「若者のテレビ離れ」だろう。今は、テレビをよく見ているのは、NHK放送文化研究所の調査によれば、実は高齢者の方なのだ。では若い人たちはどこにいったのか。携帯も含めたネットなのだ。


自分は別にテレビの未来を悲観しているわけではない。むしろ大きな可能性を感じている。その一例が冒頭、一番上の写真。最近電車に乗るとよく見かける鉄道車両内のデジタルサイネージ。街中に設置されたデジタルサイネージも含めて とても大きな可能性を感じている。「家の中のテレビが若者にみられなくなってきているなら、若者がいる場所にテレビを設置していこう」という前向きな発想のメディアだ。この最大の特徴はデジタルであること。動画、静止画、テキストの表示はもちろんのこと、埋め込まれた小型カメラからディスプレイの前にいる人の年齢や性別などをキャッチして、表示するコンテンツを変えていくこともできる。

もちろんテレビのコンテンツがそのまま使えるワケではないが、このデジタルサイネージの一例を取り上げても、これまでのマス広告を進化させ、最先端のメディアであり続ける、最先端への最短距離にいるのはテレビ局だと思う。しかし、いかんせんしがらみが多く、上層部の高齢化も激しく、上記の発言をみても、ネットを敵視するような風潮があるから、ネット企業やIT企業の台頭を許すことになるのだろう。

かつてテレビが新興メディアだったころ、隆盛を誇っていたのは映画だった。そのときも、テレビという新しいメディアを運営し、最先端であり続ける最短距離にいたのは映画会社だったはず。でも、なぜか映画とテレビは反目しあい、結局 映画は主役の座をテレビに譲ることになる。

過去の教訓は活かされず、今、テレビがメディアの主役の座を譲るときが確実にせまっているのだと思う。



今日は新木場の会社で打ち合わせでした。

コメント ( 5 ) | Trackback ( 0 )



« ITに強いっ... 瑞江のモスバ... »
 
コメント
 
 
 
Unknown (通りすがりの者)
2009-02-01 17:30:41
貴方はネット社会を過大評価しすぎです。
半年前の毎日新聞でネット情報の9割がゴミとゆう
記事を読みましたがホントにそうだと思います。

無料で提供されて、責任も希薄な情報媒体がこれ以上成長するはずもありません。
せいぜい今の状態が限界です。

人々の精神が成長すれば別ですが。
それはないものねだりです。

私はgooのランダムブログでネットサーフィンを暇つぶしにやりますがそれで、ろくなブログにあった試しがありません。


 
 
 
ネットの可能性 (としたか)
2009-02-01 22:08:44
通りすがりの者さんへ

参考になるブログ、勉強になるブログ、読んで楽しいブログもたくさんあると思うのですが、「ろくなブログにあった試しがない」ということでしたら、それは残念ですね。

ぼくは、ネットがなければ出会えなかっただろうと思える人と出会えたり、距離的な問題もあって、なかなかお会いできない人との距離と時間を埋めてくれたりするところに、ネットの可能性を感じています。

>毎日新聞でネット情報の9割がゴミとゆう
記事を読みました

ネットに限らず、情報を取捨選択するスキルは確かにとても重要になってきましたね。
 
 
 
Unknown (にゃー)
2009-02-03 17:42:47
確かに、各個人にとってネット情報の9割は不要だという意見はあながち外れていないと思います。

しかし、情報の重みという意味では他のメディアを圧倒するのではないでしょうか?

例えば「鉄道に関する詳細なブログ」があったとし
て、私個人としては価値のない情報ですが、鉄道マニアにとっては宝の山のはず。
そのようにセグメント化された(偏った)ニーズに対しての情報源・サービスとして、ネットは有益だと思います。

ちなみに、私もネット業界(特にケータイ)で働いている人間なので「モバゲー」に何度かチャレンジしたのですが、「モバゲー」の良さがさっぱり分かりません(笑)


 
 
 
私も東洋経済の記事を読みました (にゃー)
2009-02-03 22:25:54
テレビ・新聞のビジネスモデルが成り立たなくなっているのは、朝日新聞が赤字・キー局の一部が赤字になっていることから自明の理でしょう。

このままの状態が続けば、TBSのように独占放送のブランド力を利用して不動産や小売業(先日ソニプラを買収)など別事業で本業の赤字を補填しなければならないでしょう。(他のキー局も)

それが本当にマスメディアとして正しい経営の姿なのか疑問を持ちます。

リクルートが「タウンマーケット」というテレビ番組表と折り込みチラシ広告のみを無料で宅配してくれるサービスを始めました。
このような他業種からの参入も含めて、新聞社のビジネスモデルも危ういと思います。
 
 
 
新しいメディア (としたか)
2009-02-04 09:26:11
にゃーさん、2つもコメント どうもありがとうございます。

東洋経済、読まれましたか。あれ、読み応えありますよね。すごい特集です。

ご指摘のとおり、ネットはセグメント化しやすいところが特徴ですよね。膨大な与えられた情報を自分の意思でセグメント化することで価値を増大させることができる。これまでも興味のある新聞記事を切り抜いて、スクラップブックにしてもっていることもできたのですが、圧倒的に情報が増え、扱いやすくなっていますよね。

それからこれまでのように全国ネットで電波を独占し、護送船団を組むことにあまり意味がなくなってきているのも大きいですね。テレビ番組はYouTubeの投稿動画とも視聴率争いをしなければいけなくなっていて、それって新しいメディア(ネット)との戦いを意味しますよね。

たくさんの人が利用して、そこから情報を得る ということが定着すれば、それがメディアなんだなぁってつくづく思った次第です。

とにかく目が離せないし、これからチャンスが広がっていますね。ではでは。
 
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。