東京日記
静岡県焼津市、藤枝市、北海道の札幌市にあるIT企業グループの経営者 松田敏孝の日記です。




あれは何年前だろう。寒いときだったから多分忘年会だと思うのだ。藤枝駅前の居酒屋で開かれたウチの会社の飲み会は荒れに荒れた。別に口論があったわけではない。ただ多くの人が飲み過ぎて、ほとんど正体がなくなってしまったのだ。目の前にどのくらいのお銚子が並んでいたのか、いずれにしてもとてつもない量だったはずだ。

全体の雰囲気としてはとても楽しかった。酔った勢いでKが暴力事件をおこしたが、「しょうがねぇなぁ」の範疇だ。そこには「飲めない人は無理しなくていいよ」みたいな良識はなく、Yを中心に「オレの酒が飲めねぇってのか」というような理不尽が公然と渦巻いていた。TもMも吐いたはずだ。Kも後から吐いてたな。それも「しょうがねぇなぁ」の範疇だ。【ここに登場するK、Y、T、M、みんな今ではウチの会社の部長以上になって、まじめでもないけど(^_^;)仕事してる】飲めない自分は「これはたまらん。いい加減にしてくれ」と確かにその時はそう思っていたけど、しかし一方で「これも伝統だ!」などと無責任に盛り上がっていた。

はっきり言って行為自体はしょうもない。でも忘年会など、そもそも「暮れになったから一杯やろう」など、何の根拠もない。そんな無意味なものがなぜ「忘年会」なる呼称をもらい、多くの会社で毎年脈々と受け継がれるのか。
たとえば自分達の地元 焼津の夏の荒祭りにしても神輿をかつぐことなど重たいだけで行為自体にはなんの意味もない。【汗くさいし、足は踏まれるし、転んだら危険だ。自分はかつがない(^_^;)】しかし、そんな無意味なモノを「伝統だから」の一言で地域で守り通していたとすればそれは痛快なことだと思う。

一つには昔の人の知恵に違いないと思っている。忘年会は組織を強くするための知恵。祭りは地域を強くするための知恵なのだと思う。考えてみれば繊細で合理的な議論だけで運営されている会社が強いはずがない。想像を超えた力は合理性だけでは生まれっこないのだ。

「今日は徹夜してくれ」とか「その掃除のやり方ではいかん!」とか平気で言い合える会社。その人間関係こそ会社の財産であり、強さだと思う。新人たちがきれいに掃除した会社にお客さんが訪れ、先ほどまで威張っていた先輩社員が満面笑顔でお客さんと話している様子をみれば、新人も思うところがあるはずだ。そんな後輩社員を先輩社員はかわいがり、育てる、そういう「伝統」と呼べるようなものがある会社。

IT企業にあるまじきなんと旧式な思想と笑われても ウチの会社を、そんなたくましい会社にしていきたい。こんな感じでIPOまでいけたら、それはやっぱし痛快でしょう。

夏の夜。焼津の自宅にて つれづれなるままに、でした。


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