古きよき

黒石川流域は古きよき時代の焼津を思わせるエリアだ。漁師の家や水産加工業を営む家が多く、昔からの蔵も点在している。今は水産加工の工場も加工団地や旧大井川町の方に移ってしまい、操業しているところは少なくなっているのかな。このあたりは自分の小学校時代の遊び場で、当時はこのように整備された川ではなかったけど、今よりも子どもが多く、活気があったような気がする。



黒石川の両岸は遊歩道のようになっていて、そこにはこんな水路もある。昔は確実になかったけど、でもなんとなくいい感じで歩く人を和ませる。



こんな感じの工場っぽい家がいっぱいあるんだけど、普段は操業しているのかな。平日は来ることがないのでわからないけど、焼津っぽい感じではある。オートメーション化して大量生産に向かう時代だったから、工業団地に広い土地を求めて出ていってしまうのはいたし方ないんだけど、うまく観光的な要素を取り入れて、昔ながらの手作り生産みたいな形で古い工場も活用できたらいいと思う。



この路地の突き当たりは「浜通り」と言って焼津港と小川港を結ぶ形でいちばん海側を通っている道だった。浜通りの向こう側は石積みの堤防があり、その向こうは海だった。今思えば、この黒石川、浜通り、堤防、海が一体となったエリアはもっとも焼津らしいエリアで、迷宮のようにＤＥＥＰで子どもには格好の遊び場だった。当時子どもだった自分は、その頃は感じるすべもなかったがこの焼津らしい風情の中で遊んでいたわけで、しあわせなことだと思う。



今は、浜通りの向こう側の石積みの堤防は壊され、海を埋めてこんな感じの道ができてしまった。これは惜しかったな。こうなってしまうと海岸線から昔の面影は完全に喪失してしまった。とてもいい感じだっただけに残念でならない。

２０世紀から２１世紀になってずいぶん価値観が変わってきていると思う。
２１世紀にふさわしい、古きよき時代の焼津がうまく保存され、活気が戻ることを願っている。