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帯とけの枕草子〔二百七十〕屋は
言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」のみ。「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。
清少納言枕草子〔二百七十〕屋は
文の清げな姿
小屋は、丸太小屋、東屋。
原文
屋は、まろや、あづまや。
心におかしきところ
女は、自分よ、(男の)吾妻か。
言の戯れと言の心
「屋…家…言の心は女」「まろ…自称の代名詞…自分自身…自我」「まろや…丸太柱草葺き屋根の小屋…自分自身よ」「や…詠嘆の意を表す…疑問の意を表す…反語の意を表す」「あづまや…東屋…草葺きの壁のない小屋…吾妻や…(男の)吾妻か」。
催馬楽の「東屋」を、同じ「聞き耳」で聞きましょう。
東屋の、まやのあまりの、その雨そそぎ、われ立ち濡れぬ、とのど開かせ、かすがひも、とざしもあらばこそ、その殿戸、われささめ、おし開いて来ませ、われやひとづま。
清げな姿
「東屋の、真屋の軒端の、その雨滴そそぎ、我は立ち濡れた、殿戸を開いておくれ」
「かすがいも、戸閉まりも、しているなら、その殿の戸、わたしは閉めるでしょうが・していない、押し開いていらっしやい、わたしは人の妻か・君の妻」。
心におかしきところ
吾妻ではないの、間やの余りの、そのお雨そそぎ、わたしは立ち濡れ寝る、との門開いてよ、かすがいも、戸ざしもあるじゃなし、そのこの門、わたしが閉ざすかしら、おし開いていらっしゃい、わたしは人の妻か・君の妻よ。
「屋…女」「殿……女」「戸…と…門…女」「ま…間…女」「あまり…屋根の余り…軒…有り余れるところ…おとこ」「その雨…軒の雨滴…おとこ雨」「ぬ…完了…してしまった…寝」「ささめ…閉ざすでしょう…ささ女…よき女」「さ…美称」「め…女」「や…疑問の意を表す…反語の意を表す」。
伝授 清原のおうな
聞書 かき人知らず (2015・10月、改定しました)
原文は、岩波書店 新 日本古典文学大系 枕草子による。