情報と物質の科学哲学 情報と物質の関係から見える世界像

情報と物質の関係を分析し、波束の収縮問題、心身問題、クオリア、時間の謎に迫ります。情報と物質の科学哲学を提唱。

測定誤差は波束の収縮問題を無意味にする

2023-02-10 15:04:03 | 物理学
当ブログでは波束の収縮問題が擬似問題であることを様々な角度から指摘してきました。
今回は、測定誤差という観点から波束の収縮問題を議論することが如何に無意味なものであることを指摘します。

光子や電子の大きさは0です。
0の大きさの量子の真の位置を有限の大きさをもつ検出器で測定することは不可能です。
検出器には検出精度があるため検出面に到達した無限個の位置をそのまま測定値として示すことは出来ません。
検出面の多数の異なる位置に到達した量子に対して検出器は同じ測定値を示すだけです。

このことは、検出器の測定値は検出面に到達した個々の量子の位置を正しく反映していないことを意味します。
量子の大きさが0であることを考慮すると、量子が検出面に到達した位置を検出器が正しく示す確率は0です。
従って、検出器は常に同じ偽の位置を示していることが分かります。

量子力学では、波動関数がこの偽の位置に対応する波束に収縮する過程がシュレーディンガー方程式で説明できないことを議論しているのです。
これが波束の収縮問題の正体です。
このような空虚な議論に一体どのような物理的意味があるのでしょうか!



量子力学の”幽靈波”

2023-02-04 10:53:59 | 物理学
山田克哉『量子力学のからくりー幽靈波の正体ー』、講談社、ブルーバックスB-1415
(2003.7)
の中で著者は波動関数のことを”幽靈波”と名付けています。
その理由は、波動関数は複素数なので観測できないからだというものです。

当ブログでは、波動関数はボルンの確率解釈を用いて量子の位置、運動量、スピン、偏光などの情報を与えるので波動関数を”量子情報波”と名付けています。

今回のブログではこの幽靈波という用語を波動関数に対してではなく光子や電子の波に対して使います。

量子力学では1個の光子や電子に対して振動数や波長を与えています。
しかし、振動数や波長は時間あるいは空間軸上に無限の拡がりを持つ正弦波に対して成り立つ概念です。
それを微小な対象である光子や電子に対して適用するのは矛盾です。
従って、1個の光子や電子に対する波という概念は幽靈波であると言えます。

なお、この幽靈波と前述書の幽霊波とは密接に関係しています。
何故なら、波動関数は超時空独立量子集団に属する1個の電子に対するものだからです。


波動関数における決定論と確率論

2023-01-30 09:25:00 | 物理学
シュレーディンガー方程式を満たす波動関数の状態変化は決定論的であると言われます。
このときの決定論という用語の意味は、古典力学における決定論の意味とは本質的に違います。
古典力学における決定論は、時間の経過とともに物質の状態が決定論的に変化するもので、あくまでも実空間における話です。

一方、波動関数における決定論は複素空間におけるものです。
複素空間における波動関数の値は初期状態が決まると同時に決まります。
時間の経過とともに変わるというのではありません。

波動関数の決定論についてはどの教科書にも書かれていますが、先のブログで指摘したように波動関数には確率論的性質もあるのです。

波動関数における決定論は、量子の波動的性質によるものです。
波動関数における確率論は、量子の粒子的性質によるものです。

シュレーディンガー方程式は検出された電子には適用できない!

2023-01-28 11:04:29 | 物理学
当ブログでは観測による波動関数(波束)の収縮問題が擬似問題であることについて様々な角度から指摘してきました。

今回は、そもそもシュレーディンガー方程式は検出された電子には適用できないことを指摘します。

その理由は至極簡単なことです。
検出された電子の位置は確定しており、これが波動関数の収縮を意味しています。
この電子は静止しているので運動量 p は0です。
ド・ブロイの関係式 λ=h / p によれば、この電子の波長 λ は無限大になります。

ということは、電子の波動関数 exp( ( kx - ω) ) という概念自体が成り立ちません。
つまり、検出された静止している電子にシュレーディンガー方程式を適用することは出来ないのです。

このことは自明だと思いますが、なぜ物理学者はこれに気づかないのでしょうか。
私の推測では、本能的に物理学者は現象を時間発展的に捉えるためだと思います。
更に、基本方程式ですべての現象を説明しようとする習性があるからでしょう。



量子のサイコロとそれを振る機械とは何か

2023-01-26 10:11:59 | 物理学
アインシュタインは”神はサイコロを振らない”と主張して量子力学を批判しました。
しかし、量子にはもともとランダムな性質があるのでアインシュタインの主張には無理があります。

ところで、”量子のサイコロ”とは一体何を意味しているのでしょうか。
それは、波動関数のことだと思います。
何故なら、検出前の量子の状態は波動関数で表現され、波動関数には以前のブログで示したように確率的性質があるからです。
波動関数が意味するサイコロは抽象的な乱数サイコロです。

電子の位置やスピン、光子の偏光などの量子の状態を検出する機械が検出器です。
検出器はこれらの情報を出力します。
従って、検出器が量子のサイコロを振っているということになります。