情報と物質の科学哲学 情報と物質の関係から見える世界像

情報と物質の関係を分析し、心身問題、クオリア、時間の謎に迫ります。情報と物質の科学哲学を提唱。

シュレーディンガーの波動関数は超時空独立量子集団の振る舞いを記述する波動である

2022-12-30 15:50:45 | 物理学・量子力学
量子力学は、超時空独立量子集団の振る舞いを説明する理論です。
この超時空独立量子集団とは、時間や空間を超えた互いに独立な粒子からなる集団のことです。
以下にその理由を示します。

いま、同じ二重スリット実験装置を多数用意します。
(1)一つの装置を使って繰り返し実験すると通常の干渉縞ができます。
(2)この装置を使って1年後、2年後、等々繰り返して実験しても(1)と同じ干渉縞ができます。
(3)多数の装置を別々の宇宙において1回づつ実験した結果を集計しても(1)と同じ干渉縞ができます。

これらのことは、二重スリット実験装置による干渉縞が時間や空間を超えた概念であることを意味します。

(1)~(3)における粒子は互いに独立しています。
これらの粒子からなる集団のことを”超時空独立量子集団”と名付けます。

波動関数は確率分布に収束する」というブログで証明するようにシュレーディンガーの波動関数には確率的性格があります。
従って、シュレーディンガーの波動関数は1つの電子の振る舞いを記述するものではなく、超時空独立量子集団の振る舞いを記述するものとして理解すべきものなのです。

この超時空独立量子集団という概念は古典力学における分子の統計集団などとは本質的に違ったものであり、実に奇妙極まりないものです。

多世界解釈が間違っていることの明白な理由

2022-12-23 09:41:41 | 物理学・量子力学
多世界解釈についての新しい解説書が出ました:
和田純夫『量子力学の多世界解釈ーなぜあなたは無数に存在するのかー』、
講談社ブルーバックスB-2219(2022.12)
著者は、これまでにも 多世界解釈に関する解説書を多数書いています。
多世界解釈の代表的研究者であり伝道師でもあります。

多世界解釈はSF的要素もあるので熱心なファンが大勢います。

多世界解釈を提案したエベレットは”量子力学がこの世界の根本原理であるならば、原子一つ一つのみならず、それから構成される物体、人間、天体、そして宇宙全体も同じ原理で説明されるべき”(前掲書、p.86)としました。

この考え方は、すべての物質は人間も含めて原子から構成されるのでこれらは量子力学で説明できるとする物理(還元)主義と同じです。

物理主義は当然すぎるように思えるので、物理学者はこの主義のもとで宇宙全体のすべてを物理法則で解明しようと日夜研究しています。

しかし、冷静に考えてみると物理主義には意外な落とし穴があります。
例えば、パソコンやスマホについて考えてみましょう。

言うまでもなく、これらは原子から構成されているのでその物質現象は量子力学だけで完全に説明できます。

しかし、パソコンやスマホの機能を説明するにはソフトウエアの概念が必要です。
もし、ソフトウエアがなければそれこそ単なる物体に過ぎません。
物理法則からこのソフトウエアを導き出すことは出来ません。
言い換えると、ソフトウエアは物理法則に還元できないのです。
これらのことは自明であり中学生でも分かります。

パソコンやスマホに関する現象には物質現象とソフトウエアに由来する情報現象の両方があります。
物理主義者は情報現象があることに気づいていません。

この簡単な例でも分かるように物理主義には限界があるのです。
音楽、絵画、小説などなどを物理法則から導き出せるでしょうか。
頑迷な物理学者といえどもイエスとは言えないはずです。

物理主義に限界があることは以前のブログで証明しています:
こちらも是非ご覧ください。

物理主義に基づく多世界解釈が間違っていることは明白なのです。

なお、物理学者全体でみると多世界解釈の支持者は少ないようです。