食料が動物の生存に必要なことは常識です。
一方、情報も動物の生存に必要なことには関心がありません。
情報という言葉が日常的に使われているためです。
動物が食料を得るためには外界のどこにあるのかを知る必要があります。
それには、動物が外界の様子を観測することが不可欠です。
”外界から動物の感覚受容器に様々な情報が入る”という言い方が蔓延しています。
専門家がそのような説明をするので、一般人が外界に情報が存在していると錯覚します。
しかし、この説明は間違いであり情報概念の本質を見誤る原因になります。
何故なら、外界にあるのは物質だけだからです。
外界には非物質的な情報は存在しません。
動物の感覚受容器に外界からの物質が入ります。
受容器にはその物理的刺激から情報を創発する機能があります。
専門家は、受容器にこのような特異な機能があることを認識していません。
ここで、わざわざ創発という用語を使う理由は、物質から非物質的な情報が出現するという特異な現象を強調するためなのです。
専門家が使う変換という用語にはこのような意味合いはありません。
受容器で創発された情報はパルス列で表現され感覚野に送られます。
感覚野にはパルス列の情報からクオリアを創発する機能があります。
この段階で動物による外界の観測が完結します。
以上の説明で分かるように外界の観測には情報という概念が不可欠です。
この事実は、検出器や測定器が物理量を検出値や測定値という情報を創発することと全く同じです。
この状況を嗅覚器と検出器で比較すると両者の情報創発機能が全く同じであることが分かります。
嗅覚器:特別の分子が受容器に入るとその情報を創発しパルス列で表現して出力します。
検出器:特別の分子が検出器に入るとその情報を創発しパルス列で表現して出力します。
この例で嗅覚器は有機的な検出器であることを確認できます。
この事実は、感覚受容器には情報を創発する機能があることを示しています。
外界を観測して食料を探したり、敵から逃げたりすることで動物は生存できるのです。
従って、動物の生存にとって情報概念は不可欠であることが分かります。