Akatsuki庵

日々と向き合って

陶芸 かたちとの出会い

2023年08月16日 20時30分23秒 | 美術館・博物館etc.

『陶芸 かたちとの出会い』
サンリツ服部美術館 9月18日(月・祝)まで サイト

今年2度目のサンリツ訪問。
展覧会が目的~ではなく、単に信州を訪れたついでに立ち寄った、だけ。

なので、前日まで何が掛かっているかを把握していなかった。 ^_^);
(まぁ、よほどのことがない限り“ハズレ”なしという信頼あったけど)

前夜、音声ガイドのサイトにアクセスして、一足先に展示解説を聴いた。
眼をつぶって解説を聴きながら想像し、見どころを予習した。

今回は形状からの切り口で陶芸鑑賞を楽しむ趣向。

まずは「かたちの名前」から。
「盤」「皿」「碗」「鉢」「壺」「瓶」「盃」でそれぞれ特徴のある作品が並ぶ。

景徳鎮の黄地青花花果文盤 黄色の交趾っぽい感じが明代を象徴する器なだなぁ。
古九谷の色絵花鳥文輪花皿は地味な色と文様。
雨漏茶碗は小堀遠州が和歌にちなんで「鈴鹿山」と銘をつけ、その後に松平不昧公が所蔵したという。
 (雨漏茶碗はちょっと染みが不衛生な印象を受けるのだけど、これは上品な印象で染みも気にならないいい感じ)

次は「かたちを作る技」
南蛮芋頭水指(東南アジア 16世紀) 蓋は後から合わせて作ったもの。
黒楽茶碗、大樋焼、伯庵茶碗、織部四方蓋物、朝鮮唐津州浜形向付などそれぞれに特徴的な形の器が並ぶ。

更には「形と装飾」
印象に残ったのは織部手鉢。いつも見かける織部とは文様の系統が違うような?
「弥七田織部」と呼ばれるそうだ。(弥七田古窯というのがあるそうで)

独立ケース
景徳鎮窯の五彩算木形瓶(青磁の算木形瓶はちょいちょい見かけるけど、鮮やかな文様の五彩の算木は珍しいと思う)
伊賀耳付花入。畠山記念館の「からたち」と似た印象

今回、「不二山」のお出ましはなし。次回の展覧会に展示される予定とのこと。

特別企画展『描き継がれる日本の美 琳派』
 2023年10月7日(土)ー 12月3日(日)
 前期:10月7日(土)ー 11月12日(日)
 後期:11月14日(火)ー 12月3日(日)

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漆と蒔絵

2023年07月31日 05時30分39秒 | 美術館・博物館etc.

令和5年度夏季展『漆と蒔絵 茶道具の伝統とオリジナルデザイン』 湯木美術館
 ※8月6日(日)まで

年間パスはもう買っていないけど、訪れやすい場所にあるので大阪に行った時はついつい寄っちゃう。

今回は漆器がテーマということで照明暗めの展示室が更に暗かった。
なので、蒔絵の細かい文様が見えづらかった。てか、ほとんど見えなかった。残念。
最初の1個にだけ虫眼鏡越しに拡大されて文様を観察できたけどねぇ。

ケース3・4でやっと蒟醤(きんま)莨入や唐物独楽菓子盆、存星菊形菓子盆の特徴が見えてホッとした。
唐物籠手の莨入、古すぎるのと暗すぎて編みが細かすぎて籠という特徴が全くわからなかった。

ケース5の片輪車の文様特集が面白かった。
佐野長寛作の片輪車蒔絵菜盛椀、すてき。隣には10代中村宗哲(9代宗哲の妻)の写しも。
単なるコピーではなく文様とか整理して丁寧に仕上げられているのがよかった。9代と10代の関係性は知らなかったので感心した。
当代の宗哲さんも女性だし、先代の宗哲さんも女性だ。
繊細さに男女差があるのかどうかはわからないけれど、あのシャープさは心地よい印象。佐野長寛の本歌もよかったけどね。

ケース5は漆芸にゆかりの方々のお軸。
琳派の酒井抱一の乙御前図。原羊遊斎とのコラボあったよねぇ。
その原羊遊斎に発注していた松平不昧公。
尾形光琳は文箱の作品もある。
そして柴田是真の力強い意馬心猿図。思わずプッと噴き出してしまった。

後半のケース7は懐石系の食器。
7代中村宗哲の網文酒次。朱色にお馴染みの網模様。宗哲家の十八番の文様だねぇ。
酒井抱一下絵の絵替蒔絵朱盃7客。いずれも「ふ」のつく物を描いている。「筆」「文箱」「笛」「富士」「ふぐ」「福禄寿」「舟」
佐野長寛作の溜塗菊箔絵椀。キラキラと光る赤。いいなぁ。
柴田是真の七夕蒔絵盆。←実は覚えていない。
澤田宗沢斎、神戸雪灯といった初めて見る作家さんも。いずれも明治を中心に活動した金沢の人。
5代川端近左作の食籠も。(近左って「近江屋」の「左兵衛」からきているんだ!

ケース8は香道具が添った香箪笥。全然、見えなーい。雰囲気だけ、ちゃっと鑑賞。

ロビーでもらったチラシの中に興味深いものが。

京阪神間でこの秋に茶碗を中心にした展覧会がかかるようで。
対象となる美術館の半券もって次の対象美術館に行けば割引特典が受けられるみたい。
(後日、一覧表で紹介する予定)

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細川家の茶道具―千利休と細川三斎―

2023年07月17日 12時50分57秒 | 美術館・博物館etc.

『細川家の茶道具―千利休と細川三斎―』 永青文庫 ※7月17日(月・祝)まで 

7月の三連休は暑かった。
2日目、3日目と外出も危ぶまれる猛暑という天気予報だったので、
平日の疲れが残る中を曇天の初日=7/15(土)=午前中にお出かけした。

細川家の茶道具ねぇ。
たぶん、観たことあるものばっかりだよねぇ。
サイトのPDF目録を閲覧しても、なんとなーく見覚えがあるんだよねぇ。
ふぅん、前後期で入れ替わったものも結構あるのかぁ。

会期開始の5/20(土)からこんな調子。
「そのうち、時間に余裕があれば(行こうかな)」と思っているうちにはや会期切れ目前。
観た事あるものばっかりでもいい。とにかく3連休、1か所ぐらいはどっか行っときたい。
そんな気持ち。

永青文庫は文京区。遠いんだよなぁ。
でも、皇居(てか旧江戸城)の西側の縁を回っていけば新橋から徒歩100分かぁ。
早起きしたらウォーキングがてら?
とは目論んだものの、週末で体力が落ちまくっていたのと蒸し暑さ半端なく無理っ。

頑張って1駅歩いて有楽町から地下鉄を利用。
有楽町-江戸川橋だと180円。初乗り料金だけど、そもそも180円の初乗り料金って。
いつの間にこんなに値上がりしたのっ!
もともとキャッシュレス利用だったから交通費って実感なかったけど、改めて確認すると驚く。

でも、江戸時代の武家屋敷の雰囲気が残る界隈はいい。

 石垣を転用した江戸川公園。

ちょっと早めに到着したので肥後細川庭園を散策。

 

「→永青文庫」の案内板に導かれて斜面を登った。

 おぉ。見える。開館前で門扉が閉まっていたのでベンチでしばし待つ。

そうやって、10時すぎに入館。
細川家の方々の肖像画って、細川幽斎の印象強い。
息子である細川三斎(細川忠興)も活躍した大名なんだけど、肖像画ってあまり印象に残っていない。
観たことはあるハズだけど、改めて観て「ほー。こんなお顔だったのかぁ」。
司馬遼太郎の『関ケ原』に出てくる神経質な忠興の印象そのもの。

その三斎が削った茶杓が2本。
「けつりそこなひ」と「くろつる写」
どっちだったかなぁ。パッと見「『ゆがみ』に似ている」と思った。腰をちょっと捻った感じが。

少し離れたところに利休茶杓『ゆがみ』も展示されていて、これは何度も拝見したものだけど、
改めて観て「やっぱり、さっきの三斎作のと似ているよねぇ」。
解説文を読んで意外に思ったこと。
三斎はこの『ゆがみ』を他の人(平野某)に贈っていた!
それを100年くらい後の時代になって平野家から細川家に返されていた。

って、そんな来歴はフツーに知られていることなのに今更ながら気がつくとは。(^^;

千利休が失脚して京都から堺に戻る時に淀川べりから見送った古田織部と細川忠興に対し、
その御礼と別れの印にと、利休は織部には茶杓「泪」、忠興には「歪み」を贈った。
と、これは茶道を習い始めた時に読んだ入門書に書いてあった。

織部は筒に入れて位牌代わりとし、肌身離さず所持していたという話も知っている。

なので、てっきり、三斎も肌身離さずとはいかぬまでも大事に持っていたものだとばっかり。
だから細川家に遺っているもんだと思い込んでいた。
師匠から贈られた遺品の茶杓をあっさり他人にプレゼントしちゃうんだぁ。
戦国大名って明日をも知れぬ命だったりするから、物に執着しないのかなぁ。
(織部は執着することが仇になって、逆に最期には切腹してお家断絶になって大事な茶杓も徳川家に没収されちゃったってこと?)

あまりにも両極端な茶杓の扱われ方(?)に唖然とした(ホントに今頃になって!)。

他は「あ、久しぶり~」みたいな。
大西浄清の四方釜「とまや」。かっこいい形~
瀬戸の「出雲肩衝」に呼継茶碗、伝・長次郎の黒楽茶碗「おとごぜ」、粉引茶碗「第高麗」。
南蛮芋頭水指(ベトナムの産だよねぇ)、利休尻ふくら、瓢花入「顔回」。

今回、注目したのは添え状。
茶杓「ゆがみ」の添え状。
まさに三斎が平野長泰に送った書状。ずいぶんと長い。なんて書いてあるかは知らん。
(やっぱり、茶道具って周辺道具までセットで鑑賞しないとちゃんと理解したことにならないねぇ)

「顔回」の添え状(利休筆)も。

あと興味深かったのは「花伝書書抜書」の文書。
古田織部が細川忠興に宛てた書状が3通。茶カブキの記録が3通。
「へぇ~。こういうのがあるんだぁ。初めて観た~」と思ったら、初公開だった。(だから当然)

意外?に感じたのは三斎とガラシャの息子・忠利が沢庵推しだったということ。
肖像画をわざわざ京都まで持参し(←持参したのは家来だと思うけど)賛を書いてもらってた。
他にも沢庵筆のものが多数。

後半は近現代の細川家当主の作品。細川護立氏、細川護貞氏、細川護熙氏。
この辺りはサラッと流して観ておしまい。

細川家の人々が住まわれていた洋館は階段を下りる時もキシキシという音がする。
気のせいか、以前よりもその音が大きくなったような、そしてより軋みを感じるようになったような。

いつまで、このお屋敷が美術館として存在できるのだろうか。
それがちょっと心配。

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(茶道具の)銘をたのしむ

2023年06月10日 08時49分24秒 | 美術館・博物館etc.

『銘をたのしむ』 滴翠美術館 ※6月11日(土)まで

1年ぶりの訪問。
滴翠へは何度も訪問しているが、確かにお道具の銘も意匠も個性的なものが多い。

特に印象に残ったのは黒釉金彩肩衝長茶入。銘「しらね」 野々村仁清(仁清窯)
すごーいノッポさん。正面の釉薬の△が富士山に見える。まさに「富士の高嶺にふれる白雪」って感じ。

ほかは2週間経った今では記憶が薄くなって、書く言葉が見つからない。
だけど、美術館の展示目録がカラーの写真つき(代表的な幾つか)でとても見やすいものになったので
目録を眺めながらなんとなーく思い出せるのがいい。

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大名茶人 織田有楽斎

2023年06月04日 06時27分27秒 | 美術館・博物館etc.

★四百年遠忌記念特別展『大名茶人 織田有楽斎』 京都文化博物館 ※6月25日(日)まで

2年前、特別展『承久の乱』と途中で終了しちゃった京都文化博物館!
今回こそはと3月に大阪を訪れた際に前売り券を購入しておいた。

織田有楽斎の存在を知ったのは中学生の時に読んだ司馬遼太郎の小説『城塞』だったろうか。
その時は淀君の叔父(か伯父)としてアドバイザー的な存在ながらも、我儘な姪の説得に匙を投げて大阪城を出た老人~
という風に描かれていたように思う。
織田信長の歳の離れた末弟で兄と違って気が優しく、戦国武将に向かないような性質という印象が残っている。

東京の有楽町は、この人が後に徳川家康に仕えてもらった屋敷があった場所に由来~ということもこの時に知った、ような。

故に、有楽(「織田有楽斎」よりも「織田有楽」として覚えたような気がする)が茶人でもあることを知ったのは
たぶん漫画「へうげもの」を読んでからだったかも~
そこにいたのは海千山千の老人ではなく若々しく粋でおしゃれで育ちが良い戦国武将茶人の姿。

それからは「茶人」として認識して、有楽井戸茶碗や明月椀とかゆかりの道具を鑑賞するようになった。
「冬の京都」で正伝永源院を訪問したのは2011年2月のことだったっけ。→こちら

そんなことを懐かしく思い出しながら会場へ。
いきなり「本能寺の変」からでビックリした。
焼けた本能寺の瓦は他で見た事もあるので今さら驚くこともないが、変の時に織田信忠を行動を供にしながら脱出したことから
「逃げた武将」と呼ばれていたとは。。。
そういえば『城塞』に書いてあったっけ。(故に少し屈折した暗さがある老人のようなキャラクターだったっけ?)

そこから交友関係。
そこは利休七哲の一人だし、信長の弟だし、家康に仕えたし、書状の数々を観ながら納得しながら進む。

そこを抜けてやっと「茶人」としての展示。
とはいうものの、孫(織田三五郎)宛の遺言状やら茶湯日記など史料がつづき、少しうんざりしかけたところで
漸く茶道具出てきた。

正直なところ、印象に残ったのは明月院所蔵の桜花螺鈿椀(明月椀)・牡丹唐草螺鈿膳のセットとマスプロ美術館所蔵の青磁茶碗「鎹」ぐらい。

明月椀は初めてではないけれど、なんせ本歌だからねぇ。その古さに「おぉ」と思う。
(明月院、今頃は紫陽花がきれいだろうなぁ。でも、人出の多さに訪れる気がしない)

青磁茶碗「鎹」は再見。
前回観たのは10年以上前(2012年3月に瀬戸へ青磁展を観に行った時だからねぇ。懐かしかった。→こちら
でも、なんでコレがここへ? 展示解説を読まなかったのでググってみた。
平重盛→足利将軍家(義政が修理に出し鎹が打たれて戻る)→織田三五郎へという流れ。(かなり大雑把な来歴)

後半は正伝永源院の寺宝ばっかりだったので、サーっと流し鑑賞。

唯一、如庵のCG体験は面白かったなぁ。
三井記念美術館の展示室でも写しは拝見するし、都内の神谷町で写しの茶室で一服いただいたこともあったけど、鱗板の効果で広く感じる素敵な空間。

あの茶室を設計した有楽斎の感性って、やっぱいいよね。

グッズ売り場でも旅先ということもあり、食指が動かず購入はしなかった。

まぁ、来年? サントリー美術館に巡回することからその時に改めて観ようかなぁという感じ。

時間に余裕があったので総合展(常設展)の方もゆっくり見た。

やっぱり、京都って時代がミルフィーユ状態だから面白いねぇ。地層みても顕著だし。
企画展示の桃山デザインも面白かった。

特別展と常設展併せての1,380円(当日1,600円 前売1,400円のところを金券屋で購入)はお得。

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茶席の掛物と陶磁器

2023年05月30日 05時45分08秒 | 美術館・博物館etc.

★令和5年春季展『茶席にみる掛物と陶磁器の展開』 湯木美術館 ※6月25日(日)まで

ケースごとに掛物がかかって、その前に茶道具の取り合わせが並ぶ展開。

ケース1は墨蹟「座禅秘訣」(愚中周及筆)の前に唐物青磁管耳花入(龍泉窯)、禾目天目と根来天目台
  室町時代の堅い、というか格式の高い濃茶席だな~

ケース2も墨蹟「什モ(←漢字が出せない)」(江月宗玩筆)に宗旦作の瓢花入。
  堺の豪商・天王寺屋宗及の息子。大徳寺の孤篷庵(こほうあん)、龍光院。黒田長政との関係も。
  そこに同時代を生きた宗旦の花入。くびれの下にある大きな穴。面白い。
 そこに古備前壺形花入(江戸時代の初め頃?) 遠州から近衛家に伝わったとか。

ケース3は掛物なし。古瀬戸十王口水指(室町時代)
私が大好きな色絵扇流文茶碗(仁清窯)、同じく仁清窯の色絵丸文茶器。
扇流文の茶碗はデザインという少し凹ました形といい、最高っ!
戦が終わって、やっと天下泰平の世が訪れたという江戸時代の初めの京都の平穏な空気感が漂うような。
今回、少し無理をしてでも湯木美術館に寄ったのはこの茶碗が出ていたから。

ケース4も掛物なし。瀬戸肩衝茶入「有明」に長次郎作の黒楽茶碗「五月雨」
道入作の赤楽茶碗「是色」。できたばかりの頃はもっと赤かったのかなぁ。経年劣化で朱の釉薬がはげたのかなぁと思うくらいの暗い赤色。「色即是空」の「是色」。

ケース5も掛物なし。遠州高取水指に膳所耳付茶入「五月雨」。細長いのっぽさん。正面の流れが雨だれみたい。不昧公所持。
黒織部沓形茶碗はなんとも表現できない正面の柄(「一」の文字?)と形。
小ぶりな唐津沓形茶碗。

ケース6は奥正面の掛物エリア。
清巌宗渭(せいがんそうい)の一行物「風颯々水冷々(かぜさつさつみずれいれい)」
大胆な筆跡だなぁ。

不昧公の書状「銭足らずの文」。福知山藩主の朽木昌網宛。
広沢茶入(現在は北村美術館蔵)がほしいけど手元に700両しかなく、うち350両は使途が決まっている。残り350両だけではどうにもならぬ。今年は諦めます。またお声がけください。
といった内容が細い字でびっしり書いてある。惜しい思う和歌まで。
よっぽどほしい気持ちが伝わってくるけど、そこまで内情を暴露する大名って。
と、2020年9月に鑑賞した時も思った。→こちら
結局、姫路酒井家(不昧公とも交流があった雅夢)が購入。

仙厓義梵(せんがい ぎぼん)筆の利休絵賛。ホッとする。

ケース7は酒井抱一の色紙「もれ出る(夜這星の画賛)」
不昧公が欲しかった広沢茶入を買った酒井忠以(ただざね)の弟の軸が脇にあるのって、偶然じゃないよね?

銭足らずの文に圧倒されて、後は仁清窯の色絵結び文香合しか記憶にない。

ケース8は唐物蓮華王茶壷(中国広東省 16世紀)

ケース9(茶席)は畠春斎さんが他の作家さんと合作した切合朝鮮風炉釜が印象に残った。
現代作家を中心にした取り合せだからね。
立花大亀老師作の茶杓「思い出」に「最近のかぁ」と思ってしまう。
木地建水が橋村萬象作。かつて見た個展を思い出した。

湯木美術館は年間パスを買わなくなり、今回は地下鉄カードの割引もなく、700円払った。
展示室1室だけど、その価値はあると思う。
夏場は開くといいな。行けるのにな。

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THE ATAKA COLLECTION 101

2023年05月21日 10時41分30秒 | 美術館・博物館etc.

『大阪市立東洋陶磁美術館 安宅コレクション名品展』 泉屋博古館東京 ※5月.21日(日)まで

最近、美術館に足を運んで茶道具や陶磁器を鑑賞するということが億劫に感じている私。
今回の展覧会もやっていることは何となーく頭の片隅にあったけど、「安宅コレクションは何度か拝見してるしなぁ」と食指は動いていなかった。

が、テレ東の『ぶらぶら美術・博物館』の見逃し配信を視てるとつい行きたくなっちゃった。
週末に行くのはしんどいし~と週半ばに午後半休を入れて、午後からぶらぶら~と出かけた。

手元にある東京都区分地図は1995年に購入したもので、かなり古くなって、ビルとか施設などが大きく変貌しているけれど、
「地図」として機能はまだ有効なので、まだよく開いている。
この美術館のある場所は「住友会館」と記載されている。

私がこの場所を初めて訪れた2005年8月。当時は泉屋博古館東京分館で江里佐代子さんの截金展を観に行った。
以来、何度か訪れたハズ、、、 最後に来たのは2014年のようだ。
長らく休館していたことも気がつかなかったし、リニューアルオープンしていたことも知らなかった。
「分館」が取れたのネ。

過去の訪問時ではたしか六本木一丁目駅から泉ガーデンを抜けてたか、
神谷町駅からテレビ東京とホテルニューオークラの間のぐるっとカーブする坂を登ったかだったと思うが。
今回は神谷町緑道を通って少しずつ勾配を登るルート。とってもゆったり気持ちで尾根に出た。

びっくりしたのはリニューアルして入館料がほぼ倍増していたこと。
サントリー美術館のメンバーズカード提示で1,000円になったこと。
そして、中が混雑していたこと!
前に来た時はガラガラだったのに。平日だから空いているだろうと思ったのは甘かった。

まぁ、サントリー美術館も根津美術館も藤田美術館も、リニューアルしてぴっかぴかにカッコよくなっちゃうとそうなる性質(さが)よねぇ。
年金世代の方が圧倒的に多かった。(そして、その方々は御夫婦で来ている割合が多い)

軽く後悔しながら、まずは「ぶらぶら」でも紹介されていた「唐のヴィーナス」こと「加彩 婦女俑」を鑑賞。

かわいいなぁ。

陶磁器は茶陶をはじめとする器(うつわ)ばかりに注目してきたから、過去の安宅コレクション鑑賞でも視界に入ってこなかった。
茶道の呪縛から解放されたのかな。少し視野が広くなったかも。

国宝の東洋陶磁の2巨頭? 油滴天目茶碗と飛び青磁。
いつ観ても堂々として美しい。
木の葉天目茶碗は大好き。何度観ても嬉しい。そして、ちょっと悲しくなる記憶も蘇る。

安宅コレクションに「三種の神器」なるものがあったということ、「ぶらぶら」を視て初めて知った。

景徳鎮(明代・萬暦)の五彩盆、釣窯(明代)の紫紅釉の盆、定窯(北宋時代)の白磁刻花(蓮華花)の器(筆洗? それともだたの洗?)

たぶん、それぞれに鑑賞した覚えはある。だけど、安宅英一と廣田不孤斎の間に譲渡?を巡るエピソードがあったなんて。
廣田コレクションといえば、ちょいちょいトーハクの本館でお目にかかるけど。
そして、3点並んで展示されるのは初めてなのだとか。

後はね、中国陶磁器と朝鮮・高麗陶磁器。
これが安宅英一のコレクションの中心であり、大阪市立東洋陶磁美術館はそのために成立したものだから当たり前なんだけど、
「うっ、また」と満腹状態になって、さら~っと。

コレクションが安宅産業の破綻で散逸しないように手を差し伸べたのが当時の住友銀行だったという縁から、今回の展覧会が企画されたのだとか。
(そして、大阪の美術館はリニューアルで長期休館中~)

まぁね、久しぶりに安宅コレクションを東京で鑑賞できたのはよかったと思う。

初めて観た時のインパクトがあまりにも強かったので、ちょっと新鮮味を感じられなかったのが残念だけど、それはあくまで個人的なもの。

東洋陶磁美術館もリニューアルオープンしたら混み混みなるのかしらん。

★泉屋博古館のバックナンバーリストはこちら
★大阪市立東洋陶磁美術館のバックナンバーリストはこちら

 

 

 

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木米

2023年03月15日 06時45分08秒 | 美術館・博物館etc.

『没後190年 木米』 ★サントリー美術館 ※3月26日(日)まで

先月訪れていたのに、タイミングを逃していた。

青木木米といえば、煎茶道具の陶工で京焼の中でもかっちりした真面目な作風~という印象だった。

その印象に違わず、煎茶の茶碗、風炉は見事。
抹茶の茶碗も焼いていたようで点数は多くないけど、いい感じ。

「仁清のコピーみたいのも焼いていたのね」と思っていたら、後から仁清そのものの茶碗が展示されていたのだと気づいた。
(戻って見直そうかと思ったけど、面倒くさいのでやめた)

後半は「文人」としての姿。
他の文人たちとの交流、絵画作品など、意外な一面に触れた。
(窯の事故で耳が聴覚を失ったことを初めて知った)

肖像画をみて、「あれ? 以前に出光美術館で観たっけ」
13年前(2010年)のこと。→こちら

江戸時代後期の文化文政文化感じることができた。
同時代やその前後の陶工~仁阿弥道八、永楽保全~との比較的な展示もおもしろかった。

サントリー美術館のバックナンバーリストはこちら

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向付の展覧会

2023年03月05日 15時35分27秒 | 美術館・博物館etc.

『向付 心躍る懐石のうつわ』
サンリツ服部美術館 ※3月5日(日)まで サイト

久しぶりの諏訪訪問。約1年半ぶり。

3つのテーマ「もてなしの心をうつす」「季節を感じるうつわ」「造形をたのしむ」に沿って様々な向付が並ぶ。

「もてなしの心をうつす」では折敷に飯椀と汁椀、そして美濃焼の黄瀬戸胴紐向付が載った展示。

やっぱね、湯木美術館でもよく目にする黄瀬戸の向付は憧れだなぁ。
(実際の懐石でお目にかかったことはないけど)

唐津の割山椒向付も楽美術館(楽焼)でお馴染み。
鯛のこぶ締めをこんもり持ったりするとよいかも。
でも、焼き物や強肴を一緒に盛ったりするには不向きな方tだね。

そこへ行くと、織部扇面向付はお刺身以外にいろいろ盛付られそう。
清めにくそう。でも、一つ一つの文様が違っている手作り感がいい。
(マス目に点は絞り染の文様。着物を反映)

明代の嘉靖赤絵牡丹唐草文碗(金襴手)は豪華。

「季節を感じるうつわ」はます銹絵槍梅文碗。蓋付き。「乾山」印。寒い時期に蕪蒸しとか持ったらいいね。
嘉靖赤絵吉祥文向付(景徳鎮窯)はひな祭りの時期によいとか。
色絵阿蘭陀四方向付。オランダ商館を通じて現地に特注したもの。
花弁にピンク色の釉薬がいかにもヨーロッパの色。それで形はあくまで日本好み。不思議。

南京赤絵牡丹蝶文六角皿。うすいお皿。柄がなんとなくヨーロッパっぽい。
虫食いとかが渋い古染付葉形向付。脚に波模様が描かれていて、波間に舞う葉っぱをイメージ。(でも、ほとんど脚の模様は見えない)

織部向付が1つ。お茶碗でも使えそう。

「造形をたのしむ」は信楽の百合形向付(これも他の焼き物で見かける形)。
また渋い錆釉薬染付鷺文皿。うーむ。これには何を盛ればいいんだろう。
朝鮮唐津州浜形火入。火入だけど、深向付として作られたのだろう。
同じく深向付だったと思われる志野四方筒火入。
極寒の時期に夜話など懐石の品数が少ない場合の茶事にピンポイントで使われる際に登場するのが深向付だったっけ。
なかなか使いづらい。

青織部で型打ちの典型のような織部舟形向付。やっぱ、こういう大ぶりで重厚感がある器はかっこいい。
吉祥沓茶碗。織部を意識した歪みを加えた形。内側が藍色一色。茶碗だけど、やっぱり本来は向付。

天啓赤絵手付向付。景徳鎮窯。形は明らかな織部焼のコピー。柄もそうだけど、色合いが天啓赤絵。とても華やか。
織部が男性的なら、こちらは女性的。これも日本からの注文品。

会期切れギリギリ。青春18きっぷを買ったので、来てみた。
茶室展示をのぞいて向付オンリーだったから地味だったけどね。
どんなお料理を持ったら、器が映えるのかなぁと想像力を働かせながら鑑賞した。

諏訪通いもあと何回来られるのかなぁ。
これが最後かもしれないなぁ。

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早春展「春の茶道具取合せ」

2023年01月15日 08時44分18秒 | 美術館・博物館etc.

早春展『春の茶道具取合せ』 湯木美術館
 ※3月21日(火・祝)まで 前期は2月12日(日)まで 後期は2月15日(水)から

実は前回の秋季展も開幕早々に訪問したのが、感想記を書きそびれてしまった。
今回も開幕2日目に訪問。
祝日の午後イチにも関わらず、館内は既に数名の見学者が思い思いのペースで鑑賞を楽しんでいた。少々ビックリ。

あ、そっか。
以前は平日に訪れることが多かったから“貸し切り”状態だったかナ。

などと思いつつ、ケース1へ。

途端に「春だなぁ」。
心はすっかり弥生の気分。桃の節句が来たような錯覚に陥った。

そこにあった茶飯釜をみただけなのに。
なぜか、それだけで今はまだ寒中だということがスッと抜けてしまうのだから不思議。

高山寺の明恵さんの「釜の文」。井戸茶碗「長崎」(←銘は医師の苗字に由来)

ケース2は呉須有馬筆香合(小さい) 黒楽茶碗なのに朱釉で赤光?の一入作の「曙」
古唐津茶碗「富士」

ケース3は重文の熊野懐紙(飛鳥井家の祖、藤原雅経筆)
青磁耳付香炉(不昧公の箱書き)

ケース4は瀬戸肩衝茶入「春山蛙声」。小ぶりでちょっとおデブで独特な色合いの茶入。
何度も拝見したお道具なので、ホッとする。
その隣には御所丸茶碗「由貴」。白さがいい。

ケース5は省略、ケース6は西村道仁の大霰尾垂釜の立派さと宮崎寒雉の「富士山釜」

ケース7は表千家9代の了々斎の一行「福海寿山千古春」
備前耳付水指「キカ猿」の。今回は了入作の蓋を見なかった、ような。(後期登場かも)
宗入作の赤楽茶碗「福寿草」に長入作の彫三島茶碗。どちらも春らしいと思う。

ケース8は酒井抱一筆の短冊「梅一里」
ケース9(茶室の設え)はいつもと違う様相。鈴木其一の四季草花図屏風が迫力。その前は待合のお道具。

佐竹本三十六歌仙絵「在原業平」は拝見できず。後期展示だって。

3月に再訪しようかな。

※湯木美術館のバックナンバーリストはこちら

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おまけ。畠山記念館

2022年12月31日 07時54分53秒 | 美術館・博物館etc.

東京都美術館からの帰り道、高輪台の辺りを通りがかった。

もう3年も休館されている畠山記念館へ寄ってみた。

唖然。

なにやらすごい大がかりな工事だ。

 かろうじて茶室は残っているみたい。

裏に回ると大がかりぶりがはっきりわかる。

根津美術館も以前の面影がほとんど感じられないほどにリニューアルし、
藤田美術館もそうだった。

どちらも庭園はそのままとはいえ、建物が建て替わっているかねぇ。

畠山記念館もそうなるのかなぁ。
リニューアル、間に合うかなぁ。

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『茶の湯』展

2022年11月28日 22時50分48秒 | 美術館・博物館etc.

特別展『京に生きる文化 茶の湯』 京都国立博物館 ※12月4日(日)まで

3年前だったら考えられないところだけど、事前に開催を把握していたにも関わらず食指が動かなった。
9月に大阪へ行った際に金券屋で阪急の回数券を購入した際に招待券が出ていて、つい購入。

「だったら、正倉院展とセットで行っとこかな」と漸く重い腰が上がった次第。

訪れたのは11月12日(土)の朝9時。
事前予約ではなかったし、到着したのは開館10分前だったんだけど、行列の長さも思ったほどではなく、
チケットも持っていたし、コインロッカーにも寄らなかったので、ほぼ一番乗りで会場に入った。

まぁ、ほとんどが「既に一度は見たことあるもの」だったこともあり、
この15年間にせっせと鑑賞記をブログに綴ったこともあり、その記憶を思い出しながら「懐かしいなぁ」という気持ちで鑑賞。

逆に「おっ」と目を引くものは個人蔵だったり、それこそ滅多にこういう展覧会に出さないもので
その区別がつくことに自分でびっくり。

久しぶりに拝見できて嬉しかったのは、喜左衛門井戸やムキ栗。
金沢文庫・称名寺所蔵の金沢貞顕所蔵。
青磁鳳凰耳花入の「万聲」と「千聲」が並んで展示されていたのは感動。
(一緒に並んでいるのを観たことって、前に1度あったかな? いやなかった、かも)
なんとなく、たぶん知っていたと思うけど、改めて「万聲」の方が一回り大きくて立派。

久しぶりに青磁下蕪花瓶(アルカンシエール美術財団所蔵)や遠浦帰帆図(京博所蔵)に会えたのは嬉しかったなぁ。
秀吉の小姓が割ってしまって危うく手打ちにされそうになったのを細川幽斎がとっさに短歌を詠んで救った逸話で知られる大井戸茶碗「筒井筒」。

初見で印象に残ったのは灰被天目「夕陽」(たぶん個人蔵)、伊賀塁座水指「破袋」(五島美術館のは別物だけど、似てる。たぶん個人蔵。そして重文指定)。

なぜか唐招提寺が所蔵している「後西院御茶之湯記」も興味深かった。

展示替えで拝見できなかったものもあるけど、特に残念な思いも湧かず。
まぁ、こういう鑑賞は“ご縁”だからね。

のんびり、リラックス鑑賞して1時間。とても長く感じられる時間だった。

今は茶道具鑑賞どころじゃない心境なんだけどね。
また、こういう美術館鑑賞を楽しむ心のゆとりが持てるようになりたいものだ。

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響きあう名宝―曜変・琳派の輝き―

2022年11月21日 21時42分52秒 | 美術館・博物館etc.

開館記念展 静嘉堂創設130周年・新美術館開館記念展Ⅰ
『響きあう名宝―曜変・琳派の輝き―』
★静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内) サイト ※12月18日(日)まで

今年もそろそろ終盤に入って来た。
で、急に焦りだした次第。(-_-;

移転前の二子玉川(世田谷区岡本)を訪ねたのは旧美術館の最終日だった。

あれから1年半。
楽しみにしていたんだけど、今一つ丸の内に足を運ぶ意欲が湧かない。
だって、展示目録をざっと見たら、既に観た記憶があるものばかり~(当然だが)
それを場所が変わったからといって、観に行くのもねぇ。
(入場料も値上がりしたし、時間指定だし)

と思いつつ、BS日テレの『ぶらぶら美術館』を視て「やっぱ、行っとこ」と予約して、文化の日に行ってきた。
(俵屋宗達の源氏物語屏風~旅立ち展でも観たんだけど~も改めて観たくなったので)

めっちゃ混んでた。
藤重が大阪城から欠片を拾い集めて漆で修復した2つの茄子茶入はもう幾度も観たので新鮮味はなかったけれど、
稲葉天目は専用のケースで真上から曜変のかがやきがよく見えるように工夫された照明で四方から鑑賞できるように、
真上からもしっかり鑑賞できるようにと展示台を低めにしたというだけあって、
より美しさがわかるようになっていた。

青磁の浮牡丹太鼓胴水指(龍泉窯)も「やっぱ、静嘉堂文庫美術館ねぇ」と思った。

場所は変わっても静嘉堂は静嘉堂なんだ、というか。

ただ、あの混雑はちょっと。

安田生命館の1階で中心が休憩かねたスペースになっていて
その周りをぐるっと回るように展示室が配置されているんだけど。

なまじいずれもかつて鑑賞したことがあるものだし、混雑しているし、疲れてるし、

って感じで、頭がクラクラ~

自分ではちゃんと一周して展示品は一通り見たつもりで30分ほどで外に出ちゃったんだけど、
「もしかして見ていなかった展示室あったかも?」と後から不安になったり~

目録を見直して「たぶん、一通り展示室は巡ったハズ」と言い聞かせる始末。

ミュージアムショップもねぇ。
人が多すぎるのとあまりにも稲葉天目関係のグッズが多すぎて、逆に購買意欲が失せてしまった。

実物大の曜変天目ぬいぐるみ、おもしろかったなぁ。
あれ、いつになったらフツーに買えるようになるのかなぁ。

それにしても、次に訪れるのはいつになるかなぁ。
(第二弾、第三弾の予告みても、1,500円払ってまで足を運ぶ~ということは個人的になさそ)

静嘉堂美術館のバックナンバーリストはこちら

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懐石の器

2022年08月03日 20時22分21秒 | 美術館・博物館etc.

『懐石の器』 8月14日(日)まで MIHO MUSEUM

MIHO MUSEUMは遠い。てか、とても不便な立地にあるので訪れるのに苦労する。
だけど、バズレがない。

だから、「行きたいっ!」と思った時はその気持ちに素直に従った方がいい。
そして、「行きたいっ!」と思うキッカケはポスターなのだ。
初めて「行きたい」と思ったのも湯木美術館で見かけたポスターだったし、
今回も野村美術館か北村美術館で見かけたポスターだった。

テーマは懐石の器。
根来塗の折敷の上に蓋をされた飯椀と汁椀、鼠志野?の向付。
懐石の一番初めに出されるセット。それがとってもいい感じの写真。

展覧会そのものは3月19日から始まっていて前期は6月5日まで。
この期間は炉の時期に出される趣向。
そして、7月9日から始まる後期は風炉の趣向。

今から思うと前期のその時期は3回も関西へ行ったのだから調整すれば行けなくもなかったんだけど、
展覧会の情報を知ったのがGWだったからね。やっぱ、無理だったかも。

そういうわけで、後期は無理をしてでも行きたかった。
貴重な機会なので、事前に展示リストを印刷し向かう電車内で目を通した。

まずは導入部。
一通りの懐石の器が進行に合わせて並んでいた。
桃山時代の織部向付。室町時代の根来丸盆。
へぎ目の溜塗角丸折敷が優美だなぁと思ったら渡辺喜三郎の作だった。

八寸は現代のもの。高取焼桃形鉢は江戸時代。
と、昔のものと近代のものが取り合わされているのが絶妙でいい。

絵唐津桃型向付もよかったなぁ。
黒掻合塗飯汁椀に挽目溜塗煮物椀、へぎ目溜塗通い盆に飯器と杓子は喜三郎。

型吹き葡萄文蓋物。江戸時代のものだけど、とてもモダンな茶碗。
織部渦巻文小鉢なんて、まるで現代の感覚。

そして、やっぱり喜三郎の挽目溜塗むぐら椀。

丸盆に四つ椀(飯椀、汁椀、坪椀、平椀)の展示もあった。

第二章は「席入り」。
宗峰妙超の墨蹟に芦屋霰巴地紋真形釜と唐銅朝鮮風炉、寸松庵敷瓦。

ほーと思いつつ、第三章「向付の器」。いよいよ展覧会の神髄。
高取焼の桔梗形向付、よかった。
萩の割山椒向付、脚のカーブがゆるいところがよかった。
絵唐津の矢文向付。矢の文様が一つ一つ違うのはお約束。

展示物のケースの上には実際の料理を盛りつけた写真パネルも紹介されていて、それもよかった。
乾山の色絵雪杉図向付には鮒鮨が、銹絵染付藤図向付にはさよりのお刺身、銹絵百合形向付には鱧(←益田鈍脳旧蔵)。
同じ乾山でも色絵竜田川図向付は井上馨旧蔵。こちらは鯛のお刺身。

まだ乾山は続く。銹絵絵替向付(丸くて平たい器)にはヒラメ。

狩野探幽下絵による鉄燗鍋もあった。
根来の角切折敷も素敵。
古染付の寄向付は余所でも見たことあるけど、ほんとバラエティに富んでいて楽しい。

別々の窯元による寄向付は渋くてかっこいい。

第四章は「煮物椀」。
室町時代の桃漆三つ椀「秀衡椀」、巾着漆絵三つ椀(秀衡椀)は「身」が浅い。

植物文漆絵三つ椀(大椀・小椀)は「身」と「蓋」の大きさの比率にビックリ。
蓋が大きい。身に対してズボッと入ってくる感じ?
蓬莱漆絵椀 椿漆絵三つ椀(秀衡椀の中椀・小椀)も同じく。蓋が身に深く入る。
「昔は汁の量も少なったのかな?」とも思う。

青漆絵替蒔絵螺鈿椀。蓋裏に螺鈿。
朱漆松蒔絵菓子椀は原羊遊斎の作(個人蔵)

秋野漆絵椀は佐野長寛作。蓋に特徴。小ぶりでちょっと変わっててよかった。写真パネルには胡麻豆腐が盛りつけてあった。

第五章は「焼き物の器」
高取に織部に信楽。一通りの有名どころの窯によるお皿や鉢が並んでいた。

第六章は「強肴(預け鉢・酒盗)と漬物鉢」
仁清の白釉円孔透鉢。畠山?所蔵のもいいけど、こちらもすてき。
後はみたけど、省略。

そして、第七章「近衛予楽院の茶会記から」
近衛家熈さんのことですねぇ。肖像画も拝見できた。
白磁無地金彩馬上盃は薩摩から近衛家に献上されたもの。
島津家とは関係性が強いからねぇ。

茶会記から再現された懐石の盛付?料理がユニークだなぁと思った。○とか△とか□。

第八章は「菓子器」
黒漆菊花形盆に根来菓子盆、砂張菓子盆。
黒塗の縁高は渋かった。
切子丸形ガラス三段重に龍安寺蒔絵縁高と菓子を圧倒する器が多くて、ちょっと食傷気味。

第九章は「ガラスの懐石」
ここも凄かったなぁ。
ぎやまん!という感じのもあれば、繊細な切子から彫絵が描かれたものまで多彩。
江戸時代のガラス技術、すごい!

中でも薩摩切子銅紅被せ十字文碗。紅色の鮮やかさがすてき。
ミュージアムショップにクリアファイルがあったので、購入。

ここまで来てかなり疲れた。

第十章は「後座」
懐石は終わり、中入りを経て、茶事ではメインなんだけど、懐石の器をメインに鑑賞してきたので、「もういい」状態。
さらっと流す。
信楽の一重口水指、唐物の丸壺茶入、大井戸茶碗「小一文字」、茶杓「無事ゝゝ」(沢庵作)など。
仁清の流釉輪花水指も出ていたのだけど、ちょっと記憶にない。
一閑張茶器はかろうじて覚えてる。初代一閑かぁ。

最後にMIHO MUSEUMが建設されるビデオを少し見た。
1995年秋かぁ。
そういえば、東京に来てから「ん? 滋賀のそんなところに美術館あったっけ?」と思ったなぁ。

というわけで、滞在時間は2時間。
今回も堪能した展覧会だった。

MIHO MUSEUMのバックナンバーリストはこちら

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茶碗が紡ぐ ものがたり

2022年08月01日 05時21分01秒 | 美術館・博物館etc.

樂歴代 特別展『茶碗が紡ぐ ものがたり』  ※8月21日(日)まで 楽美術館

以前は3カ月周期で年4回かかっていた展覧会が昨年あたりから年3回になった。
新型コロナの影響か、はたまた代替わりで現家元の考えなのかはわからない。

今回の展覧会もGW開始(4月29日)からお盆明けまでの4カ月間の会期。
だから、GWの連休中は寄らなかった。(代わりに白峯神宮へ行っちゃった)
「夏までに1回は京都に来るハズ」と思ったから。

祇園祭のタイミングで京都に来られるとは確証なかったんだけどね。( ^^;

予め展示リストを印刷しておき、行きの電車内で予習した。

直入さんの猫割手。あぁ、野良猫と飼い犬のバトルで割れちゃったという焼貫茶碗ね。
常慶の黒木。階段上の段差がある大ぶりの黒楽茶碗。
道入の赤楽茶碗「僧正」。うーむ名前は憶えているけど、どんなんだっけ? 印つける。
一入の赤楽筒茶碗。たぶん、あれかなぁ。
宗入の黒楽茶碗「亀毛」。腰がくいっと入ったバロックな茶碗。
左入の黒楽茶碗「姥捨黒」。これも名前は憶えている。
長入の白釉葵御紋写し茶碗。 わかる。
得入の赤楽筒茶碗。たぶん、やさしい赤い釉薬がかかったの。
了入の黒楽稲妻写茶碗。 光悦の黒楽茶碗「稲妻」って、たしか官休庵所蔵だったっけ? あれの写しかぁ。
旦入の掛分黒楽茶碗。たしか黒と灰色の釉薬が半分ずつ。(私は「ツートン」と呼んでる。あれか)
慶入の黒楽菊文茶碗。見たら思い出すんだけど、、、頭の中でイメージがぼんやりしてる。
弘入夫妻の双鶴之絵赤楽茶碗「福禄寿」って、、、、?
惺入の刷毛目の平茶碗と覚入の黒楽茶碗もわからん。
当代(16代)の今焼茶碗については、完全に「見たことない」。だって、個人蔵だし。

と、イメージをしてから鑑賞に臨んだ。

道入の「僧正」は、赤楽の正面に白釉で□が斜めに3つ並んだ文様のもの。過去に見たことあった。これが「僧正」かぁ。
慶入の菊紋。あ、なるほど。
弘入夫妻の福禄寿、想像とちょっと違った。
当代の茶碗は灰色。その色の釉薬か、土の色で透明釉をかけたのが、ちょっとわからん。

第二展示室。
向付や小皿など、懐石の器。これは以前に見たことある。
折敷の上に取り合わせで並べてあるので、実用の姿がわかりやすくてよかった。

後半は大物。
慶入の鵞鳥大香炉。あまりの大きさに「初めて見る?」と思ったら、いつも持ち歩いている楽家歴代展で買ったクリアファイルに大きく写ってた!

直入さんのおフランスの土で製作されたお茶碗、懐かしいい。
弘入の菊置上金箔建水、パッと見は金属製に見える。

第三展示室。
長次郎の「面影」、道入の「青山」、光悦の「村雲」。
紀州徳川家のお茶碗はさらっと流し見。
ラストは直入さんの皪釉(れきゆう)楽茶碗「梨花」。
一度、送り出して(売られていって)戻って来た茶碗だということは過去の展覧会の解説で読んだ。
しかし、最初に買った人が手放した理由までは知らなかった。
なんと、茶道の師匠から「楽茶碗とは赤か黒であるべき」と言われたため、泣く泣く手放すことにしたのだとか。
いや、それって、偏見じゃないの?と思いつつ、もし自分が何十万、いか100万以上出して楽家の茶碗を買うとしたら、無難な黒楽か赤楽を選ぶかも~と苦笑。

1階の休憩室で、16代の初個展の写真入り目録を閲覧。
既に売り切れて変えなかったやつ。
並んでいた作品はしっかり見たので、目録見てもまだ記憶に残っているけど。
やっぱ、欲しかったなぁ。目録。

いつも利用するトイレ、故障中で使えず。
よって、花瓶も花もなく。残念。

次に訪れる時は修理されているかな。

楽治美術館のバックナンバーリストはこちら

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