『美をつくし 大阪市立美術館コレクション』 ※サントリー美術館 11月13日(日)まで
サントリー美術館のメンバーズカードを持っているので、「モトはとらねばっ」と展示が変わるたびに2回訪れている。
前回の「歌枕」は感想をブログに書き損ねたが、2回観に行って両方とも同行者(前後期それぞれ別の友人)つきだった。
(館内では合流したり別れたりとそれぞれのペースだけど、ザクっと和歌の世界を楽しんだ。
ただ、感想をまとめるほどの集中力はでない。その後、一緒にご飯を食べお茶しながらお喋りしちゃうと、もう忘れちゃう。
ま、茶道具メインの展覧会ならともかく、茶道具以外の展覧会はわりと努めて気楽に鑑賞するように心がけている。
そうしないと疲れてしまうから。
今回はひとりで訪れた。
そして、今回の出し物が何かも把握せずに行った。
会場に着いてポスターを眺めても「?」。
正直、「なにコレ」の文字しか頭に入ってこない。(たぶん、週末で頭の疲れがMAXになっていた)
展示室に入って初めて大阪市立美術館のコレクション展だと知った。
大阪市立美術館って、たしか天王寺駅から下りて動物園がある公園の中にあったような。
すごーい昔に土曜日の会社帰り(たしか午後3時くらいに引けた)に招待券もらって何かの展覧会を一人で観に行ったなぁ。
その一度だけだ。京博の本館のような石造というかコンクリート造りの古い建物だった。
(今ならそれが大大阪を象徴する大正or戦前の昭和期の建築だとわかるけど)
入ってすぐ対面したのが遺跡から発掘された飛鳥時代の金剛仏。
奈良時代の脱活乾漆の仏像の頭だけ。
一気に「何これ? おもしろーい」
大阪市立東洋陶磁美術館も寄贈された安宅コレクションが主な収蔵品だけど、
同じ大阪市立である美術館も社会的な地位と経済力のある方々が収集したコレクションが寄贈され、
そういったケースが幾つかあって、美術館として結集したようだ。
中には日本で長年暮らし日本文化に造詣の深かった外国人実業家のコレクターもいらっしゃって、
昭和10年代の大阪においてコレクションを母国に移そうと梱包して神戸港で待機しているうちに開戦になっちゃって
避難の意味で大阪市に預けておいたら、結局ご本人が亡くなったかしてご遺族がそのまま寄贈したという事例もあった。
時代の妙とはいえ、海外流出されなくてよかった。
そんな個性のあるコレクションの形成ともに、仏像、昔の日本画や着物など工芸品、明治大正期の近代日本画、根付などを楽しんだ。
面白かったのが尾形光琳。
光琳の息子が養子に入った小西家に光琳の作品やら消息が伝わって、一時は行方不明になったらしいけど明治以降?に収集した方がいて
そこから寄贈されたというもの。
弟の乾山が「もう借金するのはいい加減にしてくれ。迷惑だよ」と苦情を吐露した手紙が展示されていて面白かった。
(兄の浪費に苦労したということは知っていたけど、生々しすぎる手紙)
ほか、等伯の鳥梟図。
平安時代の貴族の御姫様が男装して出仕して帝と恋に落ちる絵巻物。(墨一色で漫画ちっく?)
やはり平安時代らしき怪奇系の絵巻物は貴族の館に棲むお化けがたくさん描かれていて
「俺たちの方が前から住んでいる」と先住権を主張している場面。
(その後で結局退散させられる羽目になる)
江戸時代だけど、百鬼夜行絵巻もおもしろすぎてミュージアムショップでミニクリアファイルがあったので買っちゃった。
近代絵画も橋本関雪の「唐犬」と児玉希望の「枯野」(大阪市立美術館開館の昭和11年作)、
上村松園の「晩秋」と目の肥やしになる作品がうれしい。
そして、ユニークな根付の数々。
気が付けば、展覧会を堪能して出口に至った。
会期は6週間。
後期に散歩がてら再訪してみよっかな。
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