Akatsuki庵

後活(アトカツ)中!

『茶の湯』展

2022年11月28日 22時50分48秒 | 美術館・博物館etc.

特別展『京に生きる文化 茶の湯』 京都国立博物館 ※12月4日(日)まで

3年前だったら考えられないところだけど、事前に開催を把握していたにも関わらず食指が動かなった。
9月に大阪へ行った際に金券屋で阪急の回数券を購入した際に招待券が出ていて、つい購入。

「だったら、正倉院展とセットで行っとこかな」と漸く重い腰が上がった次第。

訪れたのは11月12日(土)の朝9時。
事前予約ではなかったし、到着したのは開館10分前だったんだけど、行列の長さも思ったほどではなく、
チケットも持っていたし、コインロッカーにも寄らなかったので、ほぼ一番乗りで会場に入った。

まぁ、ほとんどが「既に一度は見たことあるもの」だったこともあり、
この15年間にせっせと鑑賞記をブログに綴ったこともあり、その記憶を思い出しながら「懐かしいなぁ」という気持ちで鑑賞。

逆に「おっ」と目を引くものは個人蔵だったり、それこそ滅多にこういう展覧会に出さないもので
その区別がつくことに自分でびっくり。

久しぶりに拝見できて嬉しかったのは、喜左衛門井戸やムキ栗。
金沢文庫・称名寺所蔵の金沢貞顕所蔵。
青磁鳳凰耳花入の「万聲」と「千聲」が並んで展示されていたのは感動。
(一緒に並んでいるのを観たことって、前に1度あったかな? いやなかった、かも)
なんとなく、たぶん知っていたと思うけど、改めて「万聲」の方が一回り大きくて立派。

久しぶりに青磁下蕪花瓶(アルカンシエール美術財団所蔵)や遠浦帰帆図(京博所蔵)に会えたのは嬉しかったなぁ。
秀吉の小姓が割ってしまって危うく手打ちにされそうになったのを細川幽斎がとっさに短歌を詠んで救った逸話で知られる大井戸茶碗「筒井筒」。

初見で印象に残ったのは灰被天目「夕陽」(たぶん個人蔵)、伊賀塁座水指「破袋」(五島美術館のは別物だけど、似てる。たぶん個人蔵。そして重文指定)。

なぜか唐招提寺が所蔵している「後西院御茶之湯記」も興味深かった。

展示替えで拝見できなかったものもあるけど、特に残念な思いも湧かず。
まぁ、こういう鑑賞は“ご縁”だからね。

のんびり、リラックス鑑賞して1時間。とても長く感じられる時間だった。

今は茶道具鑑賞どころじゃない心境なんだけどね。
また、こういう美術館鑑賞を楽しむ心のゆとりが持てるようになりたいものだ。

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響きあう名宝―曜変・琳派の輝き―

2022年11月21日 21時42分52秒 | 美術館・博物館etc.

開館記念展 静嘉堂創設130周年・新美術館開館記念展Ⅰ
『響きあう名宝―曜変・琳派の輝き―』
★静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内) サイト ※12月18日(日)まで

今年もそろそろ終盤に入って来た。
で、急に焦りだした次第。(-_-;

移転前の二子玉川(世田谷区岡本)を訪ねたのは旧美術館の最終日だった。

あれから1年半。
楽しみにしていたんだけど、今一つ丸の内に足を運ぶ意欲が湧かない。
だって、展示目録をざっと見たら、既に観た記憶があるものばかり~(当然だが)
それを場所が変わったからといって、観に行くのもねぇ。
(入場料も値上がりしたし、時間指定だし)

と思いつつ、BS日テレの『ぶらぶら美術館』を視て「やっぱ、行っとこ」と予約して、文化の日に行ってきた。
(俵屋宗達の源氏物語屏風~旅立ち展でも観たんだけど~も改めて観たくなったので)

めっちゃ混んでた。
藤重が大阪城から欠片を拾い集めて漆で修復した2つの茄子茶入はもう幾度も観たので新鮮味はなかったけれど、
稲葉天目は専用のケースで真上から曜変のかがやきがよく見えるように工夫された照明で四方から鑑賞できるように、
真上からもしっかり鑑賞できるようにと展示台を低めにしたというだけあって、
より美しさがわかるようになっていた。

青磁の浮牡丹太鼓胴水指(龍泉窯)も「やっぱ、静嘉堂文庫美術館ねぇ」と思った。

場所は変わっても静嘉堂は静嘉堂なんだ、というか。

ただ、あの混雑はちょっと。

安田生命館の1階で中心が休憩かねたスペースになっていて
その周りをぐるっと回るように展示室が配置されているんだけど。

なまじいずれもかつて鑑賞したことがあるものだし、混雑しているし、疲れてるし、

って感じで、頭がクラクラ~

自分ではちゃんと一周して展示品は一通り見たつもりで30分ほどで外に出ちゃったんだけど、
「もしかして見ていなかった展示室あったかも?」と後から不安になったり~

目録を見直して「たぶん、一通り展示室は巡ったハズ」と言い聞かせる始末。

ミュージアムショップもねぇ。
人が多すぎるのとあまりにも稲葉天目関係のグッズが多すぎて、逆に購買意欲が失せてしまった。

実物大の曜変天目ぬいぐるみ、おもしろかったなぁ。
あれ、いつになったらフツーに買えるようになるのかなぁ。

それにしても、次に訪れるのはいつになるかなぁ。
(第二弾、第三弾の予告みても、1,500円払ってまで足を運ぶ~ということは個人的になさそ)

静嘉堂美術館のバックナンバーリストはこちら

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懐石の器

2022年08月03日 20時22分21秒 | 美術館・博物館etc.

『懐石の器』 8月14日(日)まで MIHO MUSEUM

MIHO MUSEUMは遠い。てか、とても不便な立地にあるので訪れるのに苦労する。
だけど、バズレがない。

だから、「行きたいっ!」と思った時はその気持ちに素直に従った方がいい。
そして、「行きたいっ!」と思うキッカケはポスターなのだ。
初めて「行きたい」と思ったのも湯木美術館で見かけたポスターだったし、
今回も野村美術館か北村美術館で見かけたポスターだった。

テーマは懐石の器。
根来塗の折敷の上に蓋をされた飯椀と汁椀、鼠志野?の向付。
懐石の一番初めに出されるセット。それがとってもいい感じの写真。

展覧会そのものは3月19日から始まっていて前期は6月5日まで。
この期間は炉の時期に出される趣向。
そして、7月9日から始まる後期は風炉の趣向。

今から思うと前期のその時期は3回も関西へ行ったのだから調整すれば行けなくもなかったんだけど、
展覧会の情報を知ったのがGWだったからね。やっぱ、無理だったかも。

そういうわけで、後期は無理をしてでも行きたかった。
貴重な機会なので、事前に展示リストを印刷し向かう電車内で目を通した。

まずは導入部。
一通りの懐石の器が進行に合わせて並んでいた。
桃山時代の織部向付。室町時代の根来丸盆。
へぎ目の溜塗角丸折敷が優美だなぁと思ったら渡辺喜三郎の作だった。

八寸は現代のもの。高取焼桃形鉢は江戸時代。
と、昔のものと近代のものが取り合わされているのが絶妙でいい。

絵唐津桃型向付もよかったなぁ。
黒掻合塗飯汁椀に挽目溜塗煮物椀、へぎ目溜塗通い盆に飯器と杓子は喜三郎。

型吹き葡萄文蓋物。江戸時代のものだけど、とてもモダンな茶碗。
織部渦巻文小鉢なんて、まるで現代の感覚。

そして、やっぱり喜三郎の挽目溜塗むぐら椀。

丸盆に四つ椀(飯椀、汁椀、坪椀、平椀)の展示もあった。

第二章は「席入り」。
宗峰妙超の墨蹟に芦屋霰巴地紋真形釜と唐銅朝鮮風炉、寸松庵敷瓦。

ほーと思いつつ、第三章「向付の器」。いよいよ展覧会の神髄。
高取焼の桔梗形向付、よかった。
萩の割山椒向付、脚のカーブがゆるいところがよかった。
絵唐津の矢文向付。矢の文様が一つ一つ違うのはお約束。

展示物のケースの上には実際の料理を盛りつけた写真パネルも紹介されていて、それもよかった。
乾山の色絵雪杉図向付には鮒鮨が、銹絵染付藤図向付にはさよりのお刺身、銹絵百合形向付には鱧(←益田鈍脳旧蔵)。
同じ乾山でも色絵竜田川図向付は井上馨旧蔵。こちらは鯛のお刺身。

まだ乾山は続く。銹絵絵替向付(丸くて平たい器)にはヒラメ。

狩野探幽下絵による鉄燗鍋もあった。
根来の角切折敷も素敵。
古染付の寄向付は余所でも見たことあるけど、ほんとバラエティに富んでいて楽しい。

別々の窯元による寄向付は渋くてかっこいい。

第四章は「煮物椀」。
室町時代の桃漆三つ椀「秀衡椀」、巾着漆絵三つ椀(秀衡椀)は「身」が浅い。

植物文漆絵三つ椀(大椀・小椀)は「身」と「蓋」の大きさの比率にビックリ。
蓋が大きい。身に対してズボッと入ってくる感じ?
蓬莱漆絵椀 椿漆絵三つ椀(秀衡椀の中椀・小椀)も同じく。蓋が身に深く入る。
「昔は汁の量も少なったのかな?」とも思う。

青漆絵替蒔絵螺鈿椀。蓋裏に螺鈿。
朱漆松蒔絵菓子椀は原羊遊斎の作(個人蔵)

秋野漆絵椀は佐野長寛作。蓋に特徴。小ぶりでちょっと変わっててよかった。写真パネルには胡麻豆腐が盛りつけてあった。

第五章は「焼き物の器」
高取に織部に信楽。一通りの有名どころの窯によるお皿や鉢が並んでいた。

第六章は「強肴(預け鉢・酒盗)と漬物鉢」
仁清の白釉円孔透鉢。畠山?所蔵のもいいけど、こちらもすてき。
後はみたけど、省略。

そして、第七章「近衛予楽院の茶会記から」
近衛家熈さんのことですねぇ。肖像画も拝見できた。
白磁無地金彩馬上盃は薩摩から近衛家に献上されたもの。
島津家とは関係性が強いからねぇ。

茶会記から再現された懐石の盛付?料理がユニークだなぁと思った。○とか△とか□。

第八章は「菓子器」
黒漆菊花形盆に根来菓子盆、砂張菓子盆。
黒塗の縁高は渋かった。
切子丸形ガラス三段重に龍安寺蒔絵縁高と菓子を圧倒する器が多くて、ちょっと食傷気味。

第九章は「ガラスの懐石」
ここも凄かったなぁ。
ぎやまん!という感じのもあれば、繊細な切子から彫絵が描かれたものまで多彩。
江戸時代のガラス技術、すごい!

中でも薩摩切子銅紅被せ十字文碗。紅色の鮮やかさがすてき。
ミュージアムショップにクリアファイルがあったので、購入。

ここまで来てかなり疲れた。

第十章は「後座」
懐石は終わり、中入りを経て、茶事ではメインなんだけど、懐石の器をメインに鑑賞してきたので、「もういい」状態。
さらっと流す。
信楽の一重口水指、唐物の丸壺茶入、大井戸茶碗「小一文字」、茶杓「無事ゝゝ」(沢庵作)など。
仁清の流釉輪花水指も出ていたのだけど、ちょっと記憶にない。
一閑張茶器はかろうじて覚えてる。初代一閑かぁ。

最後にMIHO MUSEUMが建設されるビデオを少し見た。
1995年秋かぁ。
そういえば、東京に来てから「ん? 滋賀のそんなところに美術館あったっけ?」と思ったなぁ。

というわけで、滞在時間は2時間。
今回も堪能した展覧会だった。

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茶碗が紡ぐ ものがたり

2022年08月01日 05時21分01秒 | 美術館・博物館etc.

樂歴代 特別展『茶碗が紡ぐ ものがたり』  ※8月21日(日)まで 楽美術館

以前は3カ月周期で年4回かかっていた展覧会が昨年あたりから年3回になった。
新型コロナの影響か、はたまた代替わりで現家元の考えなのかはわからない。

今回の展覧会もGW開始(4月29日)からお盆明けまでの4カ月間の会期。
だから、GWの連休中は寄らなかった。(代わりに白峯神宮へ行っちゃった)
「夏までに1回は京都に来るハズ」と思ったから。

祇園祭のタイミングで京都に来られるとは確証なかったんだけどね。( ^^;

予め展示リストを印刷しておき、行きの電車内で予習した。

直入さんの猫割手。あぁ、野良猫と飼い犬のバトルで割れちゃったという焼貫茶碗ね。
常慶の黒木。階段上の段差がある大ぶりの黒楽茶碗。
道入の赤楽茶碗「僧正」。うーむ名前は憶えているけど、どんなんだっけ? 印つける。
一入の赤楽筒茶碗。たぶん、あれかなぁ。
宗入の黒楽茶碗「亀毛」。腰がくいっと入ったバロックな茶碗。
左入の黒楽茶碗「姥捨黒」。これも名前は憶えている。
長入の白釉葵御紋写し茶碗。 わかる。
得入の赤楽筒茶碗。たぶん、やさしい赤い釉薬がかかったの。
了入の黒楽稲妻写茶碗。 光悦の黒楽茶碗「稲妻」って、たしか官休庵所蔵だったっけ? あれの写しかぁ。
旦入の掛分黒楽茶碗。たしか黒と灰色の釉薬が半分ずつ。(私は「ツートン」と呼んでる。あれか)
慶入の黒楽菊文茶碗。見たら思い出すんだけど、、、頭の中でイメージがぼんやりしてる。
弘入夫妻の双鶴之絵赤楽茶碗「福禄寿」って、、、、?
惺入の刷毛目の平茶碗と覚入の黒楽茶碗もわからん。
当代(16代)の今焼茶碗については、完全に「見たことない」。だって、個人蔵だし。

と、イメージをしてから鑑賞に臨んだ。

道入の「僧正」は、赤楽の正面に白釉で□が斜めに3つ並んだ文様のもの。過去に見たことあった。これが「僧正」かぁ。
慶入の菊紋。あ、なるほど。
弘入夫妻の福禄寿、想像とちょっと違った。
当代の茶碗は灰色。その色の釉薬か、土の色で透明釉をかけたのが、ちょっとわからん。

第二展示室。
向付や小皿など、懐石の器。これは以前に見たことある。
折敷の上に取り合わせで並べてあるので、実用の姿がわかりやすくてよかった。

後半は大物。
慶入の鵞鳥大香炉。あまりの大きさに「初めて見る?」と思ったら、いつも持ち歩いている楽家歴代展で買ったクリアファイルに大きく写ってた!

直入さんのおフランスの土で製作されたお茶碗、懐かしいい。
弘入の菊置上金箔建水、パッと見は金属製に見える。

第三展示室。
長次郎の「面影」、道入の「青山」、光悦の「村雲」。
紀州徳川家のお茶碗はさらっと流し見。
ラストは直入さんの皪釉(れきゆう)楽茶碗「梨花」。
一度、送り出して(売られていって)戻って来た茶碗だということは過去の展覧会の解説で読んだ。
しかし、最初に買った人が手放した理由までは知らなかった。
なんと、茶道の師匠から「楽茶碗とは赤か黒であるべき」と言われたため、泣く泣く手放すことにしたのだとか。
いや、それって、偏見じゃないの?と思いつつ、もし自分が何十万、いか100万以上出して楽家の茶碗を買うとしたら、無難な黒楽か赤楽を選ぶかも~と苦笑。

1階の休憩室で、16代の初個展の写真入り目録を閲覧。
既に売り切れて変えなかったやつ。
並んでいた作品はしっかり見たので、目録見てもまだ記憶に残っているけど。
やっぱ、欲しかったなぁ。目録。

いつも利用するトイレ、故障中で使えず。
よって、花瓶も花もなく。残念。

次に訪れる時は修理されているかな。

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茶の湯の陶磁器 “景色”を愛でる

2022年07月21日 22時31分46秒 | 美術館・博物館etc.

リニューアルオープンⅡ『茶の湯の陶磁器 “景色”を愛でる』 
三井記念美術館  ※9月19日(日・祝)まで

近くに行くついでがあったので、ちょっと迷ってから寄ってみた。

こちらへは茶道具展のたびに訪れたこともあっうmて、だいたいがお馴染みの茶道具。

物珍しさがない分だけ、展示物そのものに集中して鑑賞できるようになった。
精神的に気楽、というか。

ただ、季節や展示の仕方(テーマによる切り口)によって感じ方が異なってくるんだなぁと思った。

古三島茶碗も、御所丸茶碗も、三好粉引も「涼し気だなぁ」と思った。
卯花墻も「志野の白さが涼し気~」という印象。

それは辿り着くまでに炎天下を1時間ばかり汗を流しつつ歩いていたからかも。

きっと、冬場の炉の季節に同じものを見たら、釜から湯を注がれて湯気が上がる茶碗をイメージしただろう。
同じ茶碗なのに、真夏に見たら「熱」を感じなかったなぁ。

特に「涼」を意識したテーマでもないのにね。不思議。

備前の火襷の水指や花入を観ても「水」の汗をかいた土肌が目にうかび「涼し気~」。

特に口が広い水指はね、真夏にまとめて鑑賞するに限る。

建水ばかりを集めた一角も同じ。
仁清の、たぶん仁清窯の手による「流釉輪花建水」、これは初めて見たかな。
ギャザーのような優美なカーブがステキ。建水にこれだけのフォルムを演出するなんて、さすがは「きれい寂び」。

お茶入は北野肩衝、唐物大海茶入「残花」、瀬戸二見手茶入など。

楽茶碗も歴代のコレクションが豊富。
紀州の御庭焼は三井家の人々によるからねぇ。さらっと流した程度。

肩肘はらずに猛暑の一休みに見た。

まだしばらくやっているから、じっくり見たくなったら再訪しよう。

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茶の湯の香合

2022年06月19日 13時34分53秒 | 美術館・博物館etc.

春季展 『茶の湯の香合 ~掌中の美を愛でる~』 滴翠美術館

6月12日(日)に終了した展覧会。会期末ぎりぎりに訪れた。

香合だけ集めた展覧会って、たまーに開催される。
ずっと昔、小田急百貨店で開かれた展覧会を訪れた時はあまりにも点数の多さに感動して、
図録を買ってしまった。(以後、開いたことはないけけど)

そのほか、2013年の春に野村美術館で開かれた型物香合の展覧会も面白かったなぁ。→こちら

香合って、形は小さいけど陶芸および漆芸の技術を見本帳のように凝縮したような感じで
鑑賞できるから好き。

てなわけで、今回はどうしても行きたかった。
(もっとも、会期中に何度も関西へ足を運びながら芦屋で途中下車する時間がなかった)

展示目録がリニューアルされた!
A4のリストからカラーのよい紙で代表的な展示物の写真と一緒に掲載されていて有難い。

展示室に入って見ていく順番と目録の順番が一致しなくて展示室では「あれ?」だったけど、
後からみると、すごくよい復習になるのもいい!

目録に沿って振り返る。

まずは渡来漆器から
宝尽文堆朱香合や三聖人堆黒、螺鈿牛文香合や青貝椿文香合など。
残念ながらなんとなーく、堆朱や堆黒だなぁとわかる程度で細かいところは見えづらく
記憶が薄い。

はっきり覚えているのは、やはり形が変わったもの。
蒟醤(きんま)鳥文扇面香合。鳥だとはっきり判別できなかったけど、蒟醤はわかった。

あと、不昧好の片輪車香合。これは絵が「型」だからね、記憶に残りやすい。
金溜香袋文蒔絵香合も「お、袋だかぁ」と思ったっけ。

目録に写真がある玉取鯱香合(破笠造)。はチャチホコの顔がユニークでかなりインパクトあったから印象に残った。

六角ケースは型物。
宋胡録柿香合。同じケースに宋胡録食籠香合もあって、かなり大ぶりなので「おっ!」と思う。
青磁酒会香合。香合だから小さいけど、バケツくらいの大きさの青磁の器は金沢文庫で出土品として見たことがある。
大きさはかなり違うけど、デザインは同じ。うーむ。この香合も鎌倉時代、いや南宋のものなのだろうか?

祥瑞蜜柑香合に呉須赤絵小丸香合、呉須有馬筆香合はよくみる。ま、型物香合だから。
ちょっと変わったところでは染付菱馬香合。
菱馬(菱形に馬が絵が描かれている)が「型」なんだろうねぇ。
よく水指では見かけるけど、香合でというのはレア?

縦長ケースは仁清。
色絵結文香合。ほかでも見かけるけど、ここのは一部がとっても長いところが好き。
色絵ひよどり香合。小さい。つい、石川県にある国宝の雉香炉に思いを馳せてしまう。

西面展示ケースは国焼陶磁器。
絵唐津いたら香合、色絵蜜柑香合(古九谷様式)、絵志野四方香合。
銹絵糸桜文扇面香合(粟田口焼)、青磁桔梗香合、金彩ぶりぶり香合。

横長小ケースは渡来陶磁器。
あんまり記憶にないなぁ。写真の鱗文管耳香合、なんとーなく覚えている、ような。

第二展示室は仁阿弥道八造の七福神香合がよかった。

ベランダへ続く窓が開いていたので、出てみた。

 

芦屋だなぁ。

香合の展覧会は38年ぶりなんだとか。

山口吉郎兵衛さんの幅広い蒐集にはいつも感服する。

次は何が拝見できるかな?

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絵のある陶磁器

2022年06月06日 06時15分20秒 | 美術館・博物館etc.

『絵のある陶磁器~仁清・乾山・永楽と東洋磁器』 三井記念美術館 ※6月26日(日)まで

先月半ば、“冒険の土曜日”に土砂降りの中を行ってきた。

三井記念美術館はしばらく休館していて、このたびリニューアルオープンしたわけなんだけど、
個人的にはだいたい半年~1年に1回ペースで訪れるので、そんなに御無沙汰感はない。(前回訪問も昨年6月だったし)

お目当ては野々村仁清の華麗な色絵と永楽家の保全・和全親子の競演。

仁清は最初にちょろっと。やはりお茶碗がステキだなぁ。

そして、保全と和全。
三井家は永楽家のパトロン的存在だったらしいので、コレクションが充実している。

かなり以前、三井記念美術館がオープンして1年経つか経たない頃に「永楽 保全・和全」という展覧会があって、
これがすごかった。 ※サイトで確認すると2006年4月~7月頭に開催。
その時は永楽家の歴史を知らなくて、ただただボーっと圧倒されながら眺めていただけだったけど、
その後に永楽家9代~17代の歴史を知って、保全の天才ぶりを感じてから、「ちゃんと見ておけばよかった」と後悔しきり。

だから、今回はあの時の展覧会がリバイバルされたような展示内容に満足した。

保全、そして和全の作品がこんなに充実している美術館なんて、おそらくここだけなのでは?
(香雪美術館もすごかったけど)

そして、永楽保全の技術はやっぱりすごい。
染付、色絵、祥瑞、交趾となんでもござれ。安南写も「どうして、こんなに精巧に写せるの?」と思うほど見事。
金襴手なんか、本当に細工が細かくて精緻でカッチリしていて。完璧主義だったんだろうなぁと性格すら想像できる。

そして、和全。天才を父親に持ってやりにくかっただろうなぁ。
枯れも精巧で細かくて、技術力も負けず劣らず~と言いたいところだけど、鑑賞が進むうちに「あれ?」

思わず振り返って、保全の金襴手まで戻り、見直してからまた和全の金襴手に戻る。
「細工そのものは明らかに保全に劣っている」。

やっぱり、秀才は天才に叶わなかったかぁ~と思いながら、さらに見進めて、「あ!」と新たに気がついた。

そうだ。材料が違うんだ。
保全と和全、その用いた釉薬の室に明らかに違いがある。

おそらく保全は充分すぎるくらいの資金を背景に高価な材料をふんだんに使って、作品を製作したのだろう。
そして、和全はあるものを如何に生かしきるかを念頭に入れながら、創意工夫を凝らして製作せざるを得なかったのではないか。
資金力的に苦しいものがあったんだろうなぁ。このくすみ、悔しかっただろうなぁ。
と察せられる作品が多数。

後から目録を見直して、「やはり!」とナットク。
保全が活躍したのは江戸時代の文政年間から幕末直前の嘉永年間まで。
対して、和全の活動時期は明治時代。

江戸時代後期の文化文政年間は将軍家斉の豪華趣味と時代の安定性もあって、やたら派手だったと聞く。
(そのあおりが天保年間にきて、さらには外国の脅威もあって幕末に突入~)

保全はそんな華やかな文化文政に育ち、のびのびと作陶に励んだ。
そんな天才肌の父を持ち、自分の時代は顧客もパトロンも東京に去り、茶道などの文化がピンチに入った環境で
「わりに合わねっ!」と思いながら、お金の心配をしつつ作陶せざるをえなかった和全。
養子との関係もあったしね。
(不仲かと思ったら、そういうことはなくて協力して永楽家を支えようとしていたらしい)

そういうことをわかった上で作品を見ていくと、和全のすごさもまたわかる。
(そうはいっても、質の違いもあって保全の作品の方が明らかに美術館に収集されている点数が多いけどね)

ただ作品を眺めるだけでなく、その時代背景も併せて鑑賞する。
それを教えてくれた美術館の一つが三井記念美術館だ。

そういえばリニューアルとはいうけれど、展示室内はそういうところがわからないなぁと思いながら、
展示室を出て「なるほど」。

リニューアルされたのはショップのところ。
飲食施設がなくなっていて、グッズショップが広くなっていた。さらには授乳室もできていた。

コロナで飲食物の提供がやりづらくなり、もともと客の入りもよくなかったからリストラしたのねぇ。
(ランチ、美味しかったんだけどね)

次回も茶道具展なので、夏も来よう。

三井記念美術館のバックナンバーリストはこちら

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利休茶の湯の確立

2022年05月20日 22時53分56秒 | 美術館・博物館etc.

春季特別展『千利休生誕500年 利休茶の湯の確立』 野村美術館 ※6月5日(日)まで

今年が利休居士の生誕500年の年にあたるだなんて!
初めて気がついた。
それくらい、なーんにも考えずに観に寄った。

今年の春はGW中に関西へ行くことができたけど、
いろいろワケありで自由な時間が少なくて、京都開催中の茶道具展もすべては訪問できない。
自らまとめたリストを眺めて興味が湧いたものだけを選んで足を運んだ。

京都は北村美術館と野村美術館。(茶道資料館と楽美術館は却下)
理由は「この2つはいつ訪れてもハズレがない」ってことかなぁ。

どちらももう15年に渡って継続的に訪れているから展示物はさすがに一巡しているハズ。
それでも「何度でも観たい。いつ観ても飽きない」お道具を所蔵しているのが魅力なのダ。

【左ケース】
今回も君台観左右帳記(茶碗物之事・土之事・抹茶壺之事)と南蛮抱桶水指。
書物は江戸時代以降の写しかもしれない。
本などでよく見かけるのは書院飾のあたりだけど、今回は茶碗とか茶壷といった道具が描かれていて珍しいなと思った。
抱桶は室町幕府の将軍が涼をとるのに使用していたものでは?というものだったような?
毛織(モール)つまり金属製で中に水を入れると冷たくなる。だから、夏場に水を入れたコレを抱くことで暑さをしのぎ涼むことができたという。

文様がムガール(インド)調だから「もうる(毛織)」という名称だけど、実際にムガール帝国からもたらされたものだろうか?
茶道大辞典を紐解いても東山御物であることは書かれているけど由来の解説はなし。
(美術館の解説文をきちんと読めばよかったと後悔)

種村肩衝茶入に唐物丸壺茶入(香雪美術館の利休丸壺茶入に比べれば小ぶりで首が短いなという印象)
北野茄子茶入。(小ぶりで丸いなぁ)
唐物文琳茶入 銘「玉笹」。印象に残ったのは螺鈿盆。
唐物肩衝茶入 銘「今勢高」。(これも頴川美術館、いや現在はたぶん兵庫県立美術館所蔵の勢高肩衝茶入と比べてしまって「デブだなぁ」)
青磁下蕪花入も小ぶりだった。
灰被天目茶碗も、茶碗よりも天目台の方に注目してしまう。あれ?目録には水仙蒔絵って書いてるけど、どう見ても前期展示の青貝天目台に見えるなぁ。
台天目茶碗はその名の通り、ただただ大きい。堆朱の天文台も立派。

【奥ケース】
胡銅口六角紋花入も名の“まんま”。文様になっている六角形の口回りが凝ってる~と思った。
卍形大香合も確かに蓋に大きく卍の文字。
天命車軸風炉釜。窓の上、口回りの下の辺りが車軸。風炉の鐶付は龍面で三つ脚は竜足。ちなみじ茶釜は富士山の形。

高麗擂盆水指。(らいぼん。つまり、すり鉢形)
宋大会茶入に青磁鉄鉢形茶碗。紹鴎の茶杓は太いなという印象。
黄銅蓮水指に七宝唐花文建水(何度か拝見していて、野村美術館らしいなぁと思う建水)

【席飾】
四方釜・風炉がすんごく印象に残った。茶釜も風炉の四方形だったから。凝視したんだけど、脚がどうなっているのかわからず。

【左ケース】
利休筆の芝山監物宛の消息。芝山監物って利休七哲の一人だけど、日本史的にはマイナーなので、「やっぱり、実在していたのねぇ」。
七五三風炉釜。利休が剣仲に贈ったらしい。切合のえらくかっちりした風炉釜で切合部分の四角い透かし文様が特徴。釜の鐶付は鬼面で風炉の鐶付は遠山。

【中央ケース】
長次郎作の茶碗が3つ。(黒楽2つに赤楽1つ。でも、全然印象に残っていない。最近、どうも「本当に長次郎?」って思っちゃうから)
辻与次郎作の風炉釜。操口丸釜、隣の桐紋尽風炉に乗っかれるのかなぁ?と思うくらいに大きい。
てか、炉用に見える。(だったら、そもそも風炉に乗るはずがない。セットではなく、それぞれ別々に使用したものだったのかなぁ。
風炉の鐶付は象耳だった。

茶席起こし図が3つ。
大黒庵。(メモには1523-1533と書き込みがある。茶道大辞典には紹鴎が住んだ京都四条にあった建物。現存せず)
東大寺四聖坊 利休四畳半。まったく記憶に残っていない。
妙喜庵(待庵)。床の間が短い。つまり、妙喜庵に移築された後のものを起こし図にした。

地階は藪ノ内家のお道具なので、一巡したけど全く印象に残らず。

見ている時はあまり利休様を意識しなかったけれど、こうして後から復習していると
確かに利休の茶の湯がテーマの展覧会だったなぁ。。。と改めて感じた。

訪れてから約3週間経過しているので、ちょっと記憶が薄くなっているけど
目録を見直し、大辞典を引いて確認していると結構、思い出せた。

そういう特徴的な道具を所蔵しているのも野村美術館の魅力かも。

てか、15年に渡って、何度も通っていると美術館と代表的な所蔵品はなんとなく紐づいてくるんだよなぁ。
それも間隔が開いちゃうとビミョーになってくるので、だから茶道と距離を置く現在でも
「せめて美術館巡りだけでも~」と思っちゃうのである。

しかし、こうした鑑賞記をまとめるのって、実は時間がかかる。
今回も約2時間かかった。以前は1時間くらいでサクサク~と書けちゃったのに。
(時間がかかるのは現場でメモが取りづらくなったことも影響しているけど)

以前のようにはいかないけど、時間がとれる時に書くようにしよう。

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金工の茶道具と釜の魅力

2022年05月12日 22時35分41秒 | 美術館・博物館etc.

春季展『金工の茶道具と釜の魅力』 湯木美術館 ※7月18日(月・火)まで

この2年間、コロナの影響で茶道そのものを嗜む機会が減った上に
節約生活を始めた事もあって、茶道具展巡りを目的とした旅行の頻度が減った。

で、以前は元がとれていた湯木美術館の年間パスもそうではなくなったので
今年は会員更新をしなかった。

よって、久しぶりに入館料を支払ってチケットをもらった。
(チケットデザインが一新していてビックリ)

今回は茶道具の中でも金工がテーマ。

茶釜好きな私としてはウレシイ企画。

古銅桔梗口獅子耳花入、芦屋松竹図真形釜。
小ぶりで羽根が一部欠けている古天明のカン釜)る。
(茶版釜の作りがそういうもん?)

青銅の経筒花入に砂張釣舟花入(めっちゃ大きい)、古銅龍耳花入・銘「長崎」(銘名の由来は不明とのこと。残念)

唐銅の鉢子建水。銅製なのに形がややいびつなのが気になる。仏器の転用らしい。
鍍金波に水草文鉄盥建水は寸胴型。金メッキの文様がきれい。
蓋置が5つ。鉄銀象嵌花弁墨台蓋置、鍍金七宝三人形蓋置、
青銅駅鈴蓋置(どっしりした塊。奈良時代の駅鈴の意匠だよね?)
銅兎文蓋置。レース編みのような、ペンチでくるくる針金を細工したような作り。
どこかの和菓子屋さんの商標のような、兎の顔正面&耳が両側にべたっと倒れた意匠。
南鐐一葉蓋置。定番のデザインだけど好きだな。高木治郎兵衛作(浄雪に師事したという)

茶釜の周辺道具も当たり前だけど金工が多い。
金象嵌大角豆割胴鐶、銀象嵌四方鐶、銀象嵌木工釜釣り(←釣り釜の稽古をやったばかりなので親しみを感じた)
金銀象嵌木葉頭火箸、石州好鉄桑柄火箸。この辺りは現代使っているものの変わらない。
銀鍍金(めっき)竹梅図飾火箸。何度も見直してリストと見比べてしまった。
飾火箸なのに木製の柄だったから。木製の部分に竹梅図が描かれているらしいけど、面が細すぎて何が描かれているのか見えない。

鉄竹皮灰匙。(たぶん、風炉用)
石州好銅桑柄灰匙。(大きい。きっと炉用)
銅桑柄道安形灰匙。(幅広い。これも炉用)

中央奥の展示は明恵筆の消息。(鎌倉時代)
花輪違文肩衝筒釜は大西定林作(浄清の息子で江戸大西家初代)
鉄ヤツレ風呂に織部敷瓦。

芦屋霰団扇馬図真形釜と面取土風炉。荒目敷板。
土風炉の大きさのわりには釜が小さいような。

代はわからないけど、宮崎寒雉作の唐銅朝鮮風炉と霰真形釜、高台寺蒔絵板。

後半に入ってもさらに金工がつづく。

南京赤絵四方鶴丸文香炉。ポイントは蓋(というか火舎)で9代浄益作。

毛織銅薬缶水次。(横に長い。やや小ぶり。文様が凝ってる)
唐銅鋼食籠。(網目の印象)
鉄糸目燗鍋、鉄銀象嵌四方燗鍋(蓋だけ陶器)

禾目天目(建盞)。覆輪が銀だからこれも金工。
井戸脇茶碗 銘「長崎」。金継が金工。

最後は五徳!
少庵好の鉄長爪五徳、鉄笹爪五徳(大西家13代 浄長作) 小さい、角度がシャープ。
鉄薩摩屋形五徳。ボテッとした五徳。見たことあるけど、なかなか素朴で興味あり)

金工を用いた茶道具って、こんなにあるんだ~と改めて感心した。

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『蒼天』

2022年05月09日 07時49分41秒 | 美術館・博物館etc.

春季取合展 『蒼天』 北村美術館 ※6月12日(日)まで

4月の終わり、青空が広がる中で訪れた。

季節ピッタリ!でご機嫌。

寄付の夕陽吟行図は玉堂筆。色紙大の絵を細身の軸に仕立ていて控えめな感じがいい。

和全策の古染付写の汲出、笹が描かれた絵唐津の火入れ。瓶掛が豪華だったなぁ。

濃茶席は不思議な掛物。裏に文書が書いてあるもので2首の歌。(行海筆) 前田家伝来。

根来の大きな盥の花入。(端午の節句に合わせて?)

風炉釜が唐銅雲龍と肩衝姥口筒(鐶付はトンボ)←浄林作

茶碗は古雲鶴。飛んでる鶴。(立鶴の雲鶴茶碗は見たことあるけど、飛んでる鶴って珍しい?)

続き薄で薄器は南京赤絵の蓮鷺図の手桶。茶碗は宗入作の黒楽。
菓子器は御菩薩焼の水玉透し鉢。(優しい感じがステキ)

番外がよかった。
近衛家熙筆の懐紙(和歌)。かっこいい。
近衛家熙所持の手付籠の写し。
江戸時代のお公家さんらしい取り合わせ。

滞在時間はいつも短いんだけどね。
なんか、欠かさず行きたくなる美術館なんだぁ。

 開いた窓の隙間から隣の門の屋根瓦を撮影。

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根津美術館のお庭ほか

2022年04月25日 05時01分00秒 | 美術館・博物館etc.

昨日は茶会展の話だけで随分書いてしまったので、その他の事。

2階に上がって、展示室5と展示室6へ。
展示室5は「画賛の楽しみ色々」。
さまざまな毛色(?)の画賛が展示されていて、わかりやすい?解説も面白かった。

展示室6は「立夏の茶事-初風炉-」。
まさに、5月の鮮やかな新緑が目に浮かびそうな中で開かれる茶会の取り合わせ。
掛物は横二大字「山雲」。
土風炉に雲龍釜。上野焼の矢筈口水指に桑中次。
安南染付花唐草文茶碗「童子」←よく見えんかったけど。
茶杓は佐久間将監。
青磁の竹子花入が色鮮やか~

肩衝茶入「躍駒」(瀬戸または美濃)、大井戸茶碗「古織割高台」(←脚がわかりづらい)
古染付の葡萄棚水指、桐菊蒔絵棗。仁清の色絵結文文茶碗など、よかった~

一休みして、展示目録を見返して、見たもの頭に思い浮かべ、記憶に定着させた。
筆記ができなかった以上、とにかく頭に記憶を刻むしかない。

おっしゃっ! 憶えたぞ!と思ったところで、庭へ出た。

この日、三田方面から広尾を通って根津美術館を訪れた。
西麻布の交差点からなだらかな坂を上る。

 根津美術館の塀に沿って坂は急になる。

振り返ってみる。

下段の石垣が古い。たぶん、江戸時代は大名屋敷だったのだろうなぁ。

五島美術館もそうだけど、根津美術館も急斜面を利用して築かれている。
下まで降りるのは久しぶり。

ユニークな石造や石仏などがあちらこちらにあるのも五島美術館と一緒。

 鬼瓦?

象さんが。

 斑鳩庵の入り口?

昭和12年当時と同じ場所だったかなぁ? 斑鳩庵。 

回り込むようにして池へ。

 

実際には青かったんだけどね。デジカメ撮影したのをみると「実物と違う~!」と思った。

 デジカメと肉眼じゃ、捉える色も変わるのねぇ。

斜面を登り、NEZU CAFEの下へ。
無駄遣いはしたくないんだけど~と思いつつ、奮発!

 新緑を眺めながらほっと一息。(カフェオレをオーダー)

 

ささやかな贅沢を楽しんだ。

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根津美術館『燕子花図屏風の茶会』

2022年04月24日 07時12分45秒 | 美術館・博物館etc.

特別展『燕子花図屏風の茶会』 根津美術館 ※5月15日(日) まで 日時指定予約

10カ月ぶりの根津美術館。
事前予約に加え、しっかり値上げされちゃった1,500円の入館料を受けている自分がちと悔しい。

でも、今回は昔の茶会再現がテーマなので興味があった。
光琳の燕子花図屏風が公開する時期の訪問も久しぶり(=8年ぶり)だし~。

根津嘉一郎(=根津青山、コレクションの礎を築いたお方)が昭和12年(1937年)5月に催した茶会を
その会記に基づき再現したラインナップ。

待合席の掛物は石州の書状。(内容はもちろん茶の湯に関すること)
絵高麗写の汲出茶碗に是真作の漆盆。

本席は三十六歌仙の藤原兼輔像。佐竹本ではないけど、鎌倉時代の作。
阿蘭陀絵花の四方向付は大ぶり。ここに盛られた料理も解説にあった。
素材は忘れちゃったけど、胡麻和え?だったような。

正法寺椀は佐野長寛作、薄いブルーの呉須青絵赤壁図鉢。
金襴手酒次は形が面白い。とくに口のところがプックリしているところ。
(客の一人、松永 安左エ門がそう感想を述べてたそうな)

炭手前の道具は燕子花の絵が施された螺鈿香合に野雁羽箒、雲華灰器。
雲華灰器は社中稽古でも使っているので親しみを持った。底が一部変色していて「使ったぞ~」感。

中立の「銅鑼」。大きい!
その奥に茶会の道具組が書かれたパネルがあった。

茶釜が「浄久」。あれ? お釜あったっけ?と思わず今まで鑑賞していた展示ケースを振り向く。
ない。あっれ~?と、パネルを見返すとところどころ赤い字が。
赤字の道具が今回展示されている、というわけ。

なーんだ。全部出ているわけじゃないのねぇ。
(もっとも、それはよくある話。出さないというより、既にコレクションを離れたということなのだろう)

濃茶席の花入は遠州作の一重切竹花入、銘「藤浪」。
茶入も膳所耳付茶入、銘「大江」(←遠州指導の窯)
鼠志野茶碗「山の端」、茶杓は石州作、銘「時鳥」。南蛮〆切建水。

遠州と石州は師弟関係だったっけ? まぁ、待合で本席の取り合わせをにおわしているところがニクイ。

以上、本席は根津邸内の茶室・斑鳩庵で。
薄茶席は広間にて。
床は室町時代の山水図。長方形の貫禄ある砂張釣舟花入。
団扇蒔絵笈棚に銹絵茄子文水指。雨漏茶碗「蓑虫」に祥瑞水玉文茶碗、青磁三閑人蓋置。

そして、さらに大書院に移動。ここはお気楽な朝酌席(せんしゃくせき)で酒宴が開かれた。
そして、ここに国宝の光琳作「燕子花図屏風」など名屏風がどーんっ!と飾られていたらしい。

最後はサービス精神たっぷり?の番茶席。(小書院)
瓜虫図、青磁象嵌花文香炉、銘「老女」に業平蒔絵硯箱(←燕子花図屏風と掛けてる)。
筋透兜まで。なぜか裂手鑑も。

要するに国宝「燕子花図屏風」を燕子花が咲き誇る中で、あふれんばかりのホスピタリティでおもてなしした茶事!
というわけ。

何日かに渡って、親しい人々を招いたそうで、かなり好評だったようで。
茶会記が印刷されてたもんね。雑誌にも紹介されたようで、客側の茶会記にも記載。そしてそれも印刷物に。

参考出品として4点展示。
会記「斑鳩庵初風炉茶事」
「茶道月報」昭和12年7月号(個人蔵)
「茶道三年」(松永 安左エ門著、飯泉甚兵衛発行、昭和13年)
「即翁遺墨茶会日記」「茶会日記」(畠山一清著、荏原製作所発行。昭和47年)

この茶会のプリント、ほしかった~。
(鉛筆を忘れたし、パネル展示とか暗くてとても筆記できん)

根津美術館で実際に催された茶会記を再現する展示はリニューアルオープン(2009年)以来じゃないかなぁ。
かつての藤田美術館、畠山記念館で茶会記再現の展示はよくやっていたけど、それらと共通する雰囲気だった。

茶道を学ぶ身としては、実際にイメージしやすいし、美術品というより茶道具としてぐっと身近に感じる。
頭に入りやすし、見たものも記憶に残りやすくなる。

コロナ禍でまだ茶会や茶事に参加したいとは思わないけれど、近代茶人が楽しんだ茶会(茶事)を回顧するのは楽しいなぁと思った。

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藤田美術館がリニューアルオープン!

2022年04月09日 21時39分14秒 | 美術館・博物館etc.

藤田美術館が4月1日にリニューアルオープンした。

最後に訪れたのは2017年の5月の終わりだったかと。

約5年ぶりにJR大阪城北詰駅に降り立ち、階段を昇ってびっくり。

景色が違う!
灰色の塀がなくなり、ガラス張りのエントランスが。

中は広い空間。

喫茶スペースもオープンキッチンで感覚が新しい感じ? 

テレビ映像で視たことはあるけど、思ってたよりずっと開放的。

とりあえず、展示室へ入りたい! 予約していないけど、大丈夫ですか?

何人か集まるごとの軽い入場制限はかかっていたけど、予約ないけど大丈夫。
びっくりしたのは完全キャッシュレス制だったこと。

私が利用しているスマホアプリは使えなかったので、交通系ICカードで決済した。

入場できるまで、ワクワク。

 かつての展示室だった蔵はもうないけど、入口だけは切り取って遺されていた。

懐かしいなぁ。 

待つこと約10分。ようやくドアの向こうへ。

 床はかつての展示室の棚を再利用したって言ってたなぁ。

かつての展示室(蔵)の梁だそうな。

展示室内は暗かった。そして、アクリル?の透明度はすばらしくて。
わからなくて、いきなり額をドーンとぶつけて、しばらくして「おっ!」と思って近づいて鼻頭をべたん!とぶつけ。

 いやはや、痛かった。

展示物は撮影OK.(ただし、フラッシュ撮影は禁止)

 

大亀香合もすごいし、国宝曜変天目茶碗の輝きもばっちり写せた。

展示室は3つあった。暗すぎて、メモは取れず。
(まぁ、時間を経たとはいえ、かつて一生懸命鑑賞したものだから、わかるけどね)

今回は雰囲気を楽しんだだけで十分。

暗い部屋から出ると、懐かしい窓が。 

窓に近づいてのぞき込むと懐かしい石灯籠。 

 そして、これだけは動かしようがないもの。

かつて、この塔?を眺めながらエントランスに入ったっけ。 

お庭は隣の公園へと続く。(かつては藤田家の庭園として一続きだったからね)

 お茶室と露地もあった。

お手洗いも立派。 

 お祝いに届いたお花もいっぱい。 楽吉左衛門さんからのは渋い。

またちょいちょい。

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秋盡きぬ 茶ノ湯釜

2021年12月04日 15時08分23秒 | 美術館・博物館etc.

★大西清右衛門美術館 サイト
 『秋盡きぬ 茶ノ湯釜』 ※11月30日(火)会期終了

感想をどうまとめたらよいものかと考えているうちに会期が終了してしまった。

緊急事態宣言が9月末まで続いたことで、会期がずれて9月の京都旅行では訪問が叶わなかった。
だから、今度こそはと思い、前回の訪問(昨年9月)と同じように2時間はかかるだろうなぁと予想していたら、やはりそうなった。

入館料が1600円(流派の会員証提示で100円引きになった)ということは事前にわかっていたし、呈茶付きだから当然と思った。
ただ、入口の貼り紙を目にした時は、呼び鈴を押すのを躊躇した。

もしかして、出てくるのはご当主本人ではあるまいか。
前回はとりあえずフツーに鑑賞していて、質問を1つしたところで「ちょっとお待ちください」となって、ご当主登場だったが、
今回は最初からかもしれない。

思った通り、ピンポンしたら作業着姿のご当主が登場。
「お仕事の邪魔しちゃって、申し訳ない~」と恐縮しつつ、展示解説と呈茶の2時間コース。

芦屋釜、播知釜(家光所持)、播磨の方だったかな?尾上神社ゆかりの尾上釜。初瀬釜、野宮釜。

展示リストがないので、頼りは口頭による解説のみ。
話を聴きながら、鞄の中からゴソゴソとメモ帳を取り出し ←鞄に入れておいてよかった~
要点を筆記しようとするも、一部の釜の形を写すのが精いっぱい。
頭でお話を理解しつつ、質問して、さらに解説してもらって、、、

釜の構造や鋳造の技術など、めっちゃ勉強になった。
ただ、そのほとんどが時間とともに遠くなりにけり~(また話を聴いたり、本で読んだり見たりしたら蘇るだろうけど)

この翌日に泉屋博古館で芦屋釜の里のビデオを見る機会があったのだけど、とてもいいい復習になったし。

でもでも、「やっぱり展示リストはほしいです~」。(ちなみに、前回もそう言ったことをご当主は覚えていてくださった)

配布せずとも、せめてサイトからダウンロードできる状態でもいい、
実際の展示品と一致しなくてもいい。(リストに「事情により、展示品が入れ替わっている場合があります」と明記してくれたらいい)
展示リストの余白にメモで補足し、それを基に見直して、自分で調べてさらに理解を深めることで、知識が定着し、理解が深まる~

って、それは私だけの自己満足かもしれないけれど。

茶釜は茶席の主役だけど、どうしてもマニアックな要素が多い。
だから、コレクションを維持し後世に伝えること、茶釜を広く世間に知ってもらうことと美術館の運営との両立が難しいだろうなと思う。

だから、これからも折に触れて茶釜の魅力を理解するために訪れたいと思う。

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香雪美術館の茶道具

2021年12月03日 23時10分40秒 | 美術館・博物館etc.

★香雪美術館 サイト
村山コレクション受贈記念展『「茶」~茶の湯と工芸~』 ※2月19日(日)まで

前回ぐらいだったからだったかなぁ。

展示リストが今どき風になった。
今回はさらにデザイン性を重視?
でも、縦書きなのは以前の展示リストを踏襲しているような。
(ちなみに、前回は横書きリストでした)
さらに有難かったのは展示順とリスト順が一致していたこと。

以前は展示がテーマ?順、リストは道具別に並んでいたので、鑑賞がスムーズ。

その分? 館内の見学者数が以前よりも少なかったような。(たまたま?)

1階は茶の湯の掛物。

明代の小禽遊戯図は中廻しの裂地がステキだなぁと思った。

藤原家隆の熊野懐紙。後鳥羽上皇の熊野詣に随行した際に詠んだだよなぁ。
(この翌日も泉屋博古館で熊野懐紙をみて、しみじみ)

唐物の木耳籠花入と写しと思われる14代飛来一閑の木耳籠花入。
一閑の方は小ぶりに仕上げてる。
同じ技法で編んであるけど、姿は少し異なる。

2階に上がって、茶入と茶碗。
大海茶入に溜塗菊形茶器(グラスみたいな足つき)、宋胡録茶入、栗棗。
おしゃれな朱漆鶴文蒔絵中次。下部のふくらみがいい感じ。

瀬戸の伯庵天目。小さい。こういう「伯庵」もあるのかと思う。
唐物の螺鈿天目台がとても華麗だった。

道入の黒楽茶碗「黄山」も印象に残った。
玄悦の御本茶碗に遊撃呉器「蝉丸」。

国焼茶碗も志野茶碗「朝日影」(朝日新聞社と同じ名前だから収集?)

荒川豊蔵の村山藤子(1897-1989)宛書状もあった。
昭和56年に書かれたもの。
藤子さんは龍平翁の娘。内容は個展開催の礼状。

私が初めて香雪美術館を訪れたのも昭和55年の夏休み。
そう思うと、私が幼かった頃の昭和の時代はまだ近代茶人の系統がまだあったんだなぁ。と思ってしまう。

香合と蓋置。これは香雪ではお馴染み。上からのぞけるケースも同じ定番。

茶室のしつらえは俯瞰的というか客観的?に鑑賞した。

水指と建水。
伊賀の擂座水指は小さめ。佐野長寛の真塗手桶水指。
常滑の烏帽子形水指は大胆なフォルム。
デルフト窯の色絵花文建水に備前の建水。小ぶりの水指でも使えそう。

山里棚。下段は長方形。上段は三角。この棚、使ったことないなぁ。

懐石器と菓子器。
仁清の灰釉透彫桜花文鉢。水玉もいいけど、お花透かしも好き。

カラフルな五彩雲鶴文瓢形振出(景徳鎮)はとってもカラフル。

鍋島の色絵唐花文皿。初期かなぁ。
大きな備前の大平鉢。

宗入の交趾釉牡丹文向付。緑釉がいい感じ。

最後は炭道具、その他。
南蛮の炮烙。一瀬小兵衛の手付莨盆。とってもシンプル。

備前の火入。
神戸雪汀の炭斗 銘「玉椿」。内側が溜塗

鑑賞時間は30分くらい。いつもより短かった。

この展覧会が終われば施設設備の改築工事で当面の間休館するとのこと。

中之島の美術館もあるしね。
もう淋しくない。

 

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