東寺で特設展をやっていました。この由緒ある寺で特設展をやるとは凄いなぁと作者の経歴を見ると、橋詰清貫さん、出身が高知県の津野町檮原の出身の方なのです。檮原は津野町力石と隣接する場所で、とても馴染みの地名です。
龍や菩薩様や様々な絵を藍友禅で絵付けし、見事な芸術品が飾られていました。高知の山奥から空海さんとご縁のある京都に住み、東寺にて特設展を開くとは、高知県出身者としては誇りでした。
興味をもち、この御方について調べてみました。
畑で藍を育てることからはじまって、何度も頃合いを見計らって良い加減になるまで納得のいく色を何年もかけてご自身で拘り作っているようです。
京友禅との違いと、藍に拘る理由に染料と作業工程の違いを仰っていました。
「京友禅は化学染料を使っており、それが職人の健康を蝕んだり環境を損なったりするけれども、藍は自然のなかで育まれ、生まれ出るものだということです。 」
「納得のいく色は自分で作るしかないと思いました。作り方は徳島の生産者に何度も電話で尋ねて、独学でマスターしました。」
と話されています。自然の生み出す色を橋詰さんご自身が毎日、五感で調整するようです。
橋詰さんのお言葉
「焦ったらいけないし、横着してもいけません。人には出せん色を出してやる、などという欲を抱くと藍液はもう台無しです。「ええかげんの精神」と私はよく 言うんですよ。ちょうどいい頃合いを見極める力。それと同時に、ほどほどに、おおざっぱに扱うおらかさも持つことなんです。
藍甕をかき回すにも、畑で藍を育てるにも、描いて染めるにも、ええかげんの精神。どの工程にも、私自身の感性が働いている。だから私の藍友禅は世界のオンリーワンだと胸を張って言えるのです。」
この中には、藍に愛情をかけて納得できる作品を作っているのだという自信と、生き方のヒントになる人生観を語っているようにも思いました。職人の誠の心のこもった作品は、作品を通して神様に通じる心にも触れるのだと思います。
何においても、良い加減とは難しいものです。自分の感性を信じ探究心を持つことで塩梅はわかるなのかなとも思いました。
橋詰さんが自然素材の藍を追求するのは、津野町檮原という自然の多い所に生を受け自然が身体に染みついているからかもしれません。
空海さんに縁のある東寺で、高知県津野町出身の方が個展を開くのも、その個展をたまたまみる事ができたのも、なんだか不思議なご縁に思いました。
【画像は橋詰清貫さん作品画像より】
おわり