大善人へ身魂磨き

善でありたいと思う。日々精進。感情の渦に呑み込まれそうな時もあるけれど最後には明るく静かな大海原に和合したい。

人間万事塞翁が馬

2021-11-20 08:16:00 | 神話・物語・本から

農夫のというお話があります。

年老いた農夫がくる年もくる年も田んぼを耕していました。ある日自分が飼っている馬が逃げてしまいました。それを聞いて近所の者達が訪ねてきました。

「不運でしたね。」

皆は憐んで口々に言いました。

「かもしれませんね」

農夫は答えました。


次の朝、逃げた馬は野生の馬2頭を連れて帰って来ました。

「なんとまぁ幸運でしたなぁ」

近所の人は興奮していいました。

「かもしれませんね」

農夫は答えました。


翌日、農夫の息子がその野生の馬に乗ろうとしましたが、投げ飛ばされて足を骨折してしまいました。再び近所の者達が農夫を慰めにやってきました。

「不運でしたね」皆は口々に言いました。

「かもしれませんね」と農夫は答えました。


その翌日、軍隊が村にやってきて若い男で戦争に駆り出すことができる者を探していました。しかし、息子の足が骨折しているのを見ると軍隊は通り過ぎて行きました。


「何とまぁ、幸運でしたね」

近所の者達は喜んで言いました。

「かもしれませんね」

農夫は答えました。




人間万事塞翁が馬

私の座右の銘のひとつです。何が良い、何が悪いかは、神のみぞ知り得ます。だから、一見悪く見える事がおこったときこそ、この背景の大いなる神様の意図は何だろう?と思うだけでも、現象に悩まされ過ぎず自分を見失わずにいる事ができます。



禍福は糾える縄の如し

の話とも言えます。良いときにも、勝って兜の緒を締めよです。良いときほど人は有頂天になります。頂点に至るときほど、振り子の振り幅が大きい時だと肝に銘じて謙虚にありたいですね。傲慢という落とし穴に、有頂天な時ほど陥る可能性がありますから。



今と違う理想を言って、過去を嘆いても変わらないです。良い時も、そうで無い時も、今、目の前のやるべき事に心を注いでいくだけです。今起こる出来事は大いなる神様のお計らいで、これからの道を決める標だと考えて生きたなぁと思います。








童話 さるのこしかけ 3

2021-11-19 06:19:00 | 創作童話
一昨日からのつづきです。

神様は、光で結界をはり他の木々には聞こえないように梅の木を選んだ理由を梅の木だけに告げました。


「私の大切な友達の猿が傷ついていたとき、自分のことより、私の友を助けてくれた梅くんの優しさに心を打たれました。」


梅の木は、それを聞いて畏れ多い気持ちになりましたが、とっさに神様に気持ちをお伝えしました。


「神様、私は老ぼれて、花も実も今ではつける力がなくなりました。猿が神様の友達とは知りませんでしたが、あまりにも痛々しい姿で私のそばに倒れていました。何とかして助けたいと思っただけです。

それが、この山に長い間根を張らせて生かしていただきました、せめてもの恩返しなのです。残りの命をこの山に縁があるものに譲るのは当然です。

しかし、私は神様をお支えする木としては、あまりにみすぼらしく神様に申し訳なく思います。」


すると、


神様の友達の猿は、梅の木に住みついたキノコに腰掛けていいました。



「お山の神様は、変わりゆく景色の中で一番譲り合う自然の姿、与え続ける姿をみるのが好きなのさ。自分の心にピッタリと合う木じゃないと、降りて来れないのさ。」


神様は笑っていいました。


「私の山の木々は、どれも凄く美しい。若い木はエネルギーにみちあふれ、年とった木はまたその風格に心を惹かれます。

沢山の年老いた木々の中でも、夜、私が友を救うために、月からとばした胞子を梅くんだけは受け入れて包んでくれました。

それは、見た目の美しさ以上に私には光って見えたのですよ。この猿は、お山の猿神様で私の道案内をしてくれる昔からの友なのですよ。」


すると、猿は腰かけていたキノコから降りて梅の木に生えたキノコをどんどん食べていきました。


「お山の神様を色んな他の山に道案内しているうちに、悪い蛇に噛まれたんだ。君のキノコが無かったら僕はこうして生きていけなかった。有り難かったよ。」


そう言い終えるとすぐに、猿は神様の隣にちょこんと座りました。


お山の神様がそっと梅くんに息を吹きかけると、枯れかけた梅の木はとても綺麗な味わいわい深い形の御神木へと姿をかえました。月も優しく見守ります。


「これからは、私の良い友となってくださいね。そして、あなたがこれから毎年つける梅の実は、沢山の人を健康にするでしょう」



神様は梅の木にそう言うと、また三日月に乗って次のお山に向かっていきました。


梅の木は、それから仲間と話すことは出来なくなりました。しかし、寂しさはありませんでした。鶯やメジロが飛んできては歌をうたってくれましたし、毎年沢山の人が嬉しそうに梅の花を愛でてくれました。


何よりも、立派な梅の実をつける事が出来るようになったので、その実を梅干しにして食べてくれる人の喜ぶ姿を見ることが幸せでした。また、神様に会う日まで、お役目を精一杯頑張ろうと思いました。



他の木々はなぜ梅くんが選ばれたのかをまた次の100年考え続けることになりました。




おしまい



私の拙い創作童話を終わりまで読んでいただきありがとうございました。












童話 さるのこしかけ 2

2021-11-18 06:59:00 | 創作童話
昨日のつづきです。


100年に一度の夜がやってきました。山の神様は月に乗ってやってきて、御神木と呼ばれる一本の木を選びます。日本には沢山の山があるので、その山々をまわるには、坐ることのできる三日月がちょうど良い乗り物でした。



新芽やキノコや夜行虫が、三日月にのった神様を歌や踊りでもてなし初めました。土の中から、モグラも顔を出して、今か今かと待っています。


月に腰掛けたお山の神様は、お供の猿を膝に乗せて一緒に山の頂上に降りてきました。あまりの神々しさに、時が止まる静けさがあたり一面に広がりました。神様は何も言わずフーッと息を吹きかけました。その息はキラキラと小さな星の粒となって一本の木を包みました。


どの木も自分かな自分かなと目をつぶってドキドキして待っていました。しかし、光に包まれた一本の木を見てみんなびっくりしました。


神様はキノコが生えて今にも枯れかけた梅の木を光で包んだのです。


その梅の木は葉も実もなく今にも枯れかけていて、身体にはキノコが沢山生えています。あまりにも痛々しい姿に、木々の中には目を逸らしたり、中には、あの木に自分が負けたのが信じられなくて、呆然としている木々もいました。


お山では、木にキノコに住みつくとどんどんと体のエネルギーを奪われて最後は死んでしまうのだと言われていました。


だから、木々はキノコの赤ちゃんである胞子が飛んで来そうになると、風にフーッと吹き飛ばしてもらったり、小鳥や蝶々にたのんでで遠くに運んでもらっていたのです。


「どうしてお山の神様は、あんなみすぼらしい梅の木を選んだの!花も実もつけないじやない!」


「信じられない!」


と、木の葉も穏やかではありません。怒ってしまうリスや小鳥さえいました。




選ばれた理由は選ばれた梅の木と神様だけの秘密です。



つづく


【画像は三日月検索画像より】



童話 さるのこしかけ

2021-11-17 06:29:00 | 創作童話
私の昔書いた創作童話です。これなら著作権は問題無しですね!( ^ω^ )


はじまり〜


山に生い茂る木の中で、一本だけ神様に選ばれる木があります。その木は神様が地上に降りて来るときに天と地上の架け橋のお役目を任され神様にお仕えする木です。


その木になるのは山の木々にとって一大出世です。その後何百年も神様と色々話しができる力を貰えるので、山の木々は次は誰かなぁと話し合っていました。



どの木が選ばれるかは、神様が決め、決まった後はその木は他の木々と話す力を取り上げられてしまう約束があります。だから、神様に選ばれる条件は選ばれた木と神様だけの秘密になるわけです。


木々はあれこれ、ざわざわ噂話しをしています。


神様に選ばれる日までは、自分を立派にみせたいから、木の葉一枚、実ひとつ落とさないように、なるだけ大きく、美しく、高く、凛々しい姿になる事だけをどの木も考えていました。



木に止まる鳥や蝉も、あれこれ噂しています。


「たぶん、クスノキ君だと思うよ。」

大きなクスノキに白鷺くんが停まって伝えます。

「だって、一番かっこいいもん」

「そうかなぁ。」

クスノキ君もまんざらではありません。


「いやぁ、トチノキさんだと思うわ。だって、沢山枝が分かれてて、私たちが木に穴を空けても黙って見守ってくれるもの」

森の大工さんキツツキはトチノキが御神木に選ばれると信じています。

トチノキ君は苦笑いしました。穴を開けなかったらもっとかっこいい姿を見せられたのにと、内心悔しく思っていました。


「銀杏くんだと思う。だって、一番太くて幹の数なんて、この周りのどの木より多いよ。」


沢山の野鳥が話しています。


銀杏くんは、太さと迫力で選ばれるなら自分しかないと内心思っています。


森の昆虫達は

「桜さんだと思う。」

と言いました。


「だって、春の美しさなんて、誰にも負けないしね。」


ざわざわ木々が喋るのを、もう朽ちてしまいそうな枯れかけた一本の梅の木が、そばで穏やかにみんなの話を聞いていました。



つづく


落ち葉の季節

2021-11-09 19:32:00 | ひとりごと

冬に備えて木は葉を落とします。


日照時間も減り養分を作るのが難しくなる季節を見込んで、自分を一番美しい色に変化させて、地面を彩ります。


地面に落ちた沢山の色とりどりの落ち葉は、人にはふかふかの落ち着いた色の絨毯のように見え、また、土に生きる沢山の生物には毛布となります。


雪が降っても大丈夫。


ふかふかの毛布は、そのころには水分を含んで生き物達や、大地の養分となります。深い色の絨毯は空から降る煌めく雪花を散りばめ白色へとゆっくり色を変えて人を楽しませているかもしれません。そして落ち葉は自分を育ててくれた木々のためにゆっくり土に戻ります。








エネルギーをこうして循環させながら植物も動物も支え合います。ひともエネルギーが不足したら時を待ちながら暖かくしてじっと静かに自分の人生の冬を過ごすのも良さそうです。


葉は自ら木を守るために落ちるのか、木は自らを守るために葉を落とすのか、鶏が先かたまごが先か。


自然の摂理なので、答えは無い気がします。ただ循環するだけです。自然破壊が人によりなされない限り循環します。破壊は神様が切るカードのように感じます。


ゆっくりな時間が自分に栄養を補充してくれます。命があることに感謝します。命が繋がり自分がいる事にも感謝します。命ある限り循環するのが自然の摂理だから、人間だけは例外なんてことは無い気がします。


エネルギーが少なくなっているひとがいたら、微笑んで大丈夫だと言って上げます。そんなこともあるさと、静かなひとときを共に過ごします。


自分のエネルギーがどれだけあるかわかりませんが、自分のエネルギーをアンパンマンのように分けてあげられるといいなと思います。エネルギーは笑うと充電される気がします。






【画像は落ち葉検索画像より】