goo

あらためての記-血管肉腫と心タンポナーデ(9)

子守もした空組兄ちゃん

この子がもう中学二年生…

■2012年6月3日(日)の記/二度目の心タンポナーデ

毎朝の出勤時、アルファには『どんなことがあっても母さんの帰りを待つのよ』と半ば脅しを掛けて出かけていました。その都度、彼は耳をピキッとさせていましたが、夕方、玄関ドアのそばでしっぽを振っているアルファの白い影にどんなに安堵したことか。こんなことがいつまで続くのか、けれど、食欲もあるし、穏やかに過ごすアルファに、もしかしたらお薬が効いて病は快復方向に向かっているのかも知れないとまで思い始めていました。が、これこそがこの心タンポナーデの恐ろしさでした。

先般心膜から300㏄もの血液を抜いて脅威的に元気になったアルファでしたが、実は腫瘍からの出血はまだ続いていて、まるで雨がやんだ後の軒先から落ちる一滴の雨水の如く、少しづつ少しづつ、心膜内に貯まっていたのです。今日は日曜日で、私ものんびりしていましたが、それでもアルファの様子には目を光らせていました。

添い寝もしてくれた

午前11時40分、今朝はご飯を食べないなぁと思っていた矢先、アルファは玄関先のタイルに身を横たえたまま動かなくなってしまいました。そう、二度目の心タンポナーデが起きかけていたのです。病気の発覚・最初の発作から22日目のことでした。

すぐに病院に電話をしましたが、生憎の日曜日。通常なら日曜でも午前中は診療があるのですが、受付の時間は既に終わっていて、更に間の悪いことに院長先生も不在の為に処置はできないと告げられてしまいました。心タンポナーデの対応は、心臓を被っている心膜に直接針を射し、余分に溜まっている体液や血液を外へ出す難しい施術です。設備はあっても医師の技量がなければ出来ない。電話に出たこの担当医には、その技術はなかったのだと思います。まだアルファには苦しそうな気配は見えませんが、きっとそれも時間の問題でしょう。

案の定、それから1時間もしない間に容体が急変し、これ以降、翌朝までの心膜穿刺(しんまくせんし/心嚢水除去のこと)をしてもらうまでの間が、アルファにとって最も過酷で残酷な時間だったろうと思います。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )