2016年にエンゲル係数が約30年ぶりの高水準になった。これは、日本における人民の生活が貧しくなる傾向にあることを示している。まずは、エンゲル係数について簡単に説明しておこう。
消費支出に占める食料品の割合はエンゲル係数と呼ばれている。社会全体の生産力が高まり、人民の生活水準の向上とともにエンゲル係数は低下する傾向を有している。人間が生きていくためには、水や食料は絶対に必要である。貧しいから食べたり飲んだりしないというわけにはいかない。また、所得の水準が上がっても人間である以上、生きるために食べるものがかけ離れていくわけでもなく、日々の生活に必要な食料品にかかる経費が極端に増えるわけでもない。
以上のような理由により、エンゲル係数は人民の生活水準を測るための一つの指標と考えれている。貧しい人ほど消費支出に占める食料品の割合が高くなっていく。なお、国によってそれぞれの品目の物価水準のあり方が異なるから違う国々におけるエンゲル係数の傾向を比較することは不適切である。日本ならば、日本におけるエンゲル係数を時代ごとに見ることにより、人民の生活水準が向上しているのか、悪化する傾向にあるのか分かるのである。
日本共産党の宮本徹衆議院議員が2017年2月24日の衆院財務金融委員会でエンゲル係数が2016年に約30年ぶりの高水準に至っていることについて安倍首相の認識をただした。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-25/2017022502_03_1.html
安倍首相は、生活スタイルの変化などと強弁していた。しかし、可処分所得の伸びよりも食料品の伸びが上回っているようでは生活スタイルの変化では説明できない。安倍自公政権が消費税率を5%から現行の8%に引き上げるなどにより日本人民の生活水準を貧しくさせていると考えて良い。第2次安倍政権が発足した2012年から2016年にいたる4年間に連続してエンゲル係数が上昇している。これは、安倍自公政権の経済社会政策の失敗を如実に物語っている。
社会発展のどの段階においても為政者には人民の生活水準の向上を図る責任がある。日本の人民の生活を貧しくさせている事自体が安倍自公政権を打倒するに充分な理由になる。