馬琴の嫁講談社このアイテムの詳細を見る |
裏表紙には猫が枕で熟睡している絵があった。
さすが猫好きな群ようこの本。
史実物でも猫なのだ。
うちの猫も私の枕でこのイラストのようにいつも寝ている。
これは猫の話ではなく
『南総里見八犬伝』の著者馬琴の題名のごとく嫁の話。
蝶よ花よと育てられ、親の言うなりに
嫁いで、婚家とはあまりに違う堅苦しい家風の中で
癇癪持ちで病弱な夫と姑の世話に明け暮れと
次から次の苦労話。
夫も姑も癇癪持ちと言うのは
パニックのことであろうか?
思わず息子と重ねて読んだ。
介護保険も保育園もない時代に
3人の子を産み
夫、姑、そして馬琴の最後を看取る。
水道も電気もガスもない家事をこなしながら
家業の薬作りの手伝いもしている。
働いて、働いて、
自分の事よりいつも家族第一。
一生の終わりにはごほうびのように
猫は迷い込んだ子に
ちりめんの端布で首輪を作って飼う。
今みたいに近所迷惑にならないように閉じ込めて飼う、
ペットショップで純粋種を飼うと言うより
勝手きままな正しい猫の飼い方の様に思えた。
猫が話のいい妙味になって
いままで苦労が帳消しになったような。
これは猫の話ではないけれど
役にたたないと言われている猫が重要不可欠な役目を果たしている。
だから猫の表紙絵なんだと読後に納得した。