陽だまりのねごと

♪~思いつきひらめき直感~ただのねこのねごとでございますにゃごにゃご~♪

ハグの効用

2008-02-17 00:44:38 | Weblog
認知症の方は突如、怒りモードになる事がある。
回りの対応がプライドをきずつけたりすると
スイッチが入る。

お怒りモードで外へ出ようとする人を施設玄関で呼びとめた。
『担当ケアマネです。はじめまして』
何度目のご挨拶だろうか?
まだ覚えてもらえない。

玄関脇の椅子に座ってもらってじっくり聴きます体制にする。
ヘルパーさんがきれいに洗って畳んであった物を
勝手に洗濯してしまったとご立腹だった。
「しかも2度目なのよ」と言われる。
「いったいどの人なのか顔がみたいわ」
話すほどに興奮状態が募る。
この辺り、息子のパニックで鍛えられているから
怒りの感情に巻き込まれなくて済む。

決して記憶違いを突かない。
ひとしきり怒りの原因を聞いて、
よもやま話へ移行。
昔話も脈絡が危なくなって居られるが、
農作業の苦労話を楽しそうにされ始めた。
『しっかり働かれた手ですね』
と手を撫ぜたら
『あなたの手、あったかいわ』
『だきしめてもらいたいみたい』

素直なお気持ちの発露にためらわずハグ。

『おこまりがあったら遠慮なく言ってくださいね』
と何枚目かの名刺を始めての顔で渡す。

息子が辛くて辛くてたまらない時
『お母さん 肩を抱いてくれ』
と言った事を思い出した。

家族と離れて、今までとまったく違う環境の老人ホーム。
手厚い介護とも言えない人手不足状態。
ちょっとだけヘルパーさんに時間的ゆとりがあれば
興奮状態を招く事もなかったろうに。
心が寒かったのだろうと察する。

考えたらこの方に限った事ではなく
人は誰でもさみしい。哀しい。