余命谷村 志穂新潮社このアイテムの詳細を見る |
題名に惹かれて図書館で借りた。
本日は雨。庭いじりも散歩も出来ない。
晴耕雨読。猫を膝にじっくり読んだ。
土いじりをしているといろんな命を思う。
花が枯れるとちゃんと次の生命の新芽が出ている。
強い植物が弱い植物根っこからまってどんどん命の強さを見せつける。
思わぬところに昆虫の芋虫幼虫が丸まって成長中。
本書の『余命』は
外科医である主人公の乳がん再発後の命長さのことだった。
結婚10余年でやっとの妊娠と同時にがん再発。
医師であり余命も治療によるダメージもがんと胎内の生命の事も
すべて熟知して、
自分のとるべき道を模索する。
滅びゆく命と生まれくる命と。
『より良く死ぬと言うことはより良く生きること』
誰かの言葉にあったけれど
壮絶な『より良く生きる』姿がここに描きあげられていた。
余命が尽きた後、
より良く生きた姿は
残された人たちにも
より良く生きる道を実践させる力を与えている。
表紙の滴は主人公の名でもあり
すべての命の象徴のようでもある。
窓に雨滴の日。完読。