あるところにお姫様がいました
このお姫様はいつもフガフガ文句を言っていました
「どうして私には王子様が現れないのかしら、なんの嫌がらせかしら、手違いにも程があるわ」
そういってぶすくれているのです。
ある日隣国の王様とお話をしました。
王様にはとっても素敵な王妃様が居て、お姫様はいつも二人を羨んでいましたから、
王様とお話していてもまた
「どうして私には…」と同じ話を何度もします。
王様はやれやれと言った様子でお姫様にいいます。
「君は君で素敵じゃないか。そんな王子様が現れないからって一体全体なにが不満なんだい」
お姫様はぎっと王様を睨みつけ
「そんなことは王様が素敵な王妃様を見つけているから言えるのよ」
と言い放ちました。
王様は
「確かにきみの言う通りだ」
と言って嬉しそうにしました。
お姫様は舌打ちしたい気持ちと王様の幸せを喜びたい気持ちとが五分五分でしたから、どんな顔をしたらよいのかわからなくなりました。
帰り道、お姫様は呟きました。
「畜生」
気持ちを何度も確認するうちに羨ましさが勝ってしまったのです。
お姫様はとぼとぼ帰りました。
お城に帰るとお姫様は
「これはうだつのあがらないことなのよ」とことわってから、またフガフガと言いはじめました。
お城にはもう一人お姫様が居て、このお姫様も同じようなことで悩んでいましたから
二人のお姫様が揃うと
「うだつのあがらないお話」が
まるで楽しいパーティーのように続くのです。