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神様のボート 価格:¥ 460(税込) 発売日:2002-06 |
一口にいえば、離れ離れになった恋人を、娘を連れて旅しながら探し続ける母親の物語、なのですが、自分の人生も娘の人生も犠牲にして追い求めるのが凄まじくも怖ろしい。
語り口は静かで、さまよう母娘がその時々の短い期間を暮す、それぞれの町の描写も美しく、ロマンティックな恋愛の物語としても読める気はします。
しかし、母の旅の行きつく先の選び方は根拠がなく、まるで何かに追われる逃亡者のよう。
作者自身が、“これは狂気の物語です”とあとがきで書いているのには共感しました。
『神様のボート』というタイトルにも、やはり、さまよい人、というイメージを重ねてしまう。
とても好きな本なのですが、私はやはり、これを怖ろしい物語として読みました。
誰かを深く愛する、というのは狂気と紙一重のものなのでしょうか。
(そういえば、ニーチェの言葉で、“どんな愛の中にも一片の狂気があり、どんな狂気の中にも一片の真実がある。”というような一節があったような……読んだときはとくに深く考えなかったけれど、これも怖い箴言だ)
物語はクライマックスを経て、意外に穏やかに終わりますが、どう感じたかを他の人とも話し合ってみたくなる小説です。