あめふり猫のつん読書日記

本と、猫と、ときどき料理。日々の楽しみ、のほほん日記

謎の物語

2009-05-24 23:52:22 | 本(ミステリ・アンソロジー、その他)

クイーンの定員―傑作短編で読むミステリー史 (1)
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:1984-01

リドル・ストーリーってご存知ですか?

結末を読者にゆだねるタイプのストーリーです。

初めて読んだのは十代の頃でしたが、インパクトあって鮮烈な印象でした。

有名なのは『女か虎か』。私が最初に読んだリドルストーリーもこれ。

(短編というより掌編で、あらすじがほとんど内容になってしまうので書きません。何の短編集に収録されているのかは寡聞にして知りませんが、ハヤカワミステリ・マガジンに収録されたことがあったと思います※これについて後で訂正しています^^;)

けれど、一番好きだったのは『クイーンの定員』に収録されていた、スタンリー・エリンの『決断の時』。

語り手がいて、彼には二人の友人がいるわけですよ。ひとりは派手で見栄っ張りだが、根は温かい男で、他人のために労を惜しまないタイプ。もうひとりはクールな毒舌家だが、頭脳明晰で話が非常に面白い。

ともに、欠点はあるけれど魅力的な人物で、語り手も、そして周囲も、両方を好いているのですが、この二人が出会ったら、これがいけない。

二人ともが、相手が大嫌いなのです。そしていさかいの末、二人はとんでもない賭けをする……、という物語ですね。

なんか、読んだとき、身につまされたというか……。お互いに根はいい人間で、魅力的なのに、そりが合わないというか、どうしても相容れない同士っているものですよね。

そして、結末(正確には結末の一歩手前で話が途切れるのがリドル・ストーリーですが)では、彼はどうするのか、そして、自分ならどうするのか、を考えさせられる……。

思えば、リドル・ストーリーというのは、読み手が自分の心をのぞくことになる物語かもしれない、とふと思いました。

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