クイーンの定員―傑作短編で読むミステリー史 (1) 価格:¥ 1,890(税込) 発売日:1984-01 |
リドル・ストーリーってご存知ですか?
結末を読者にゆだねるタイプのストーリーです。
初めて読んだのは十代の頃でしたが、インパクトあって鮮烈な印象でした。
有名なのは『女か虎か』。私が最初に読んだリドルストーリーもこれ。
(短編というより掌編で、あらすじがほとんど内容になってしまうので書きません。何の短編集に収録されているのかは寡聞にして知りませんが、ハヤカワミステリ・マガジンに収録されたことがあったと思います※これについて後で訂正しています^^;)
けれど、一番好きだったのは『クイーンの定員』に収録されていた、スタンリー・エリンの『決断の時』。
語り手がいて、彼には二人の友人がいるわけですよ。ひとりは派手で見栄っ張りだが、根は温かい男で、他人のために労を惜しまないタイプ。もうひとりはクールな毒舌家だが、頭脳明晰で話が非常に面白い。
ともに、欠点はあるけれど魅力的な人物で、語り手も、そして周囲も、両方を好いているのですが、この二人が出会ったら、これがいけない。
二人ともが、相手が大嫌いなのです。そしていさかいの末、二人はとんでもない賭けをする……、という物語ですね。
なんか、読んだとき、身につまされたというか……。お互いに根はいい人間で、魅力的なのに、そりが合わないというか、どうしても相容れない同士っているものですよね。
そして、結末(正確には結末の一歩手前で話が途切れるのがリドル・ストーリーですが)では、彼はどうするのか、そして、自分ならどうするのか、を考えさせられる……。
思えば、リドル・ストーリーというのは、読み手が自分の心をのぞくことになる物語かもしれない、とふと思いました。
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