あめふり猫のつん読書日記

本と、猫と、ときどき料理。日々の楽しみ、のほほん日記

ひそやかに、触れる。

2010-07-20 11:26:14 | 本(料理の本)

文士料理入門 文士料理入門
価格:¥ 1,050(税込)
発売日:2010-02-28
これは、図書館で借りてきた本です。

元来、食いしん坊で、したがって童話や小説に出てくる食べ物が気になる方でした。

でも、それが小説の背景や空気に密接につながっている、というのが分かってきたのは遅ればせながら二十歳を過ぎた頃で、だから、この本の中ほどにある角田光代氏のエッセイは、じつに共感できるものでした。

角田氏は“登場する食べものに留意しながら読むことで、読書の楽しみは断然広がった。(中略)そこに描かれた食べものは、どうしたってそれでなければならない。スパゲティはスパゲティでなければならず、握りめしはサンドイッチでは代用できないのだ”と書いていますが、たしかにそういうことが分かってくると、小説自体の味わいも断然、深くなってくるのです。

そうして、料理のシーンがたびたび出てくる作品を書く作家(この本の場合、文士。この言い方も味わいがありますね)の日常食も気になってくる。

と、いうわけで、この本を図書館の書架で見つけて、いそいそと借りてきたのでした。

ことに印象に残ったのは幸田文の文章。

知人から枝豆のあまからく煮たのをもてなされた話を聞いて秋を感じ、秋のあらしまでは、枝豆本来の味を名残り惜しんで、塩うでで味わったものだ、というエピソードは、いかにも季節を感じさせ文章に品もあり、強く心に残りました。

もちろん、他の作家の方の文章や料理も興味深く、その人がどんなものを食べているか知ることは、そのひとの無防備な部分、本質のようなものにひそやかに触れる気がしました。

森茉莉の愛する繊細な香草のオムレツ、宇野千代の奇妙なこだわり、向田邦子の“うまいもの”への情熱、武田百合子のほのかなユーモア。食べものはそのひとをあらわす、かたちあるプロフィールのよう。

そうして、この本の著者は古書店と居酒屋を兼ねた『コクテイル書房』をやっておられるとか。(本が出版された時点)

この、「文士料理」が食べられるのかな、いつか行ってみたい……そんなことも思った本でした。

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夏バテです。

2010-07-20 00:05:56 | 日記・エッセイ・コラム
毎年のことですが、いよいよ暑気あたり気味。一昨日は、1日頭がガンガンしていました。
でも、私の職場は1年で今が一番忙しい時期。休んでもいられません。
一昨日、“頭の中で誰かがサンバを踊ってる”と母に言ったら、
“ビガーン、と叩きなさい”と言われました。
サンバを踊っている(小さい)人を、ってことでしょうか。
そう出来たらねぇ……。
アウトドアにも、海にも縁遠い私ですが、1日波打ち際でぼんやり出来たらな…と思う今日この頃ですが、お盆休みもないので無理。

ラテンな音楽でも聴いて、また頑張るしかないようです。
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つながっている。

2010-07-13 23:00:03 | 日記・エッセイ・コラム

今日、歌舞伎の地方公演を観てきました。

演目の一つが勧進帳。弁慶は松本幸四郎氏でした。

「松本幸四郎を生で見るのは初めて!内容も面白かった」と母が言ってくれ、嬉しかったです。

私は初めてではなかったのですが、あらためて、“少し強引な感じのオーラのある人だな”と思いました。(私の偏見)

ちょっと、よそを見ていても目がひき戻される感じ。

兄弟である中村吉右衛門氏とは、ふだんはそんなに似ていないように思うのですが、同じ役で、したがって装束が同じで、声も似ていますから驚くほど似て見えました。

けれど、当たり前ですが芝居はまったく違うのですね。

私の勝手な印象ですが、中村吉右衛門氏はリアル、松本幸四郎氏は華やか、という感じでした。

そうして、演目を見ているうち、ありありと目の前に蘇ってきたのは、この映画でした。

虎の尾を踏む男達<普及版> [DVD] 虎の尾を踏む男達<普及版> [DVD]
価格:¥ 3,990(税込)
発売日:2007-11-09

この黒澤映画を見たのは数年前でしたが、強力の姿で笠を深くかぶってひざまずく義経の姿とか、様々なシーンが目の前に浮かんできました。

と、いうのも、かなり忠実に黒澤映画は歌舞伎の様式を取り入れているように思ったのです。

歌舞伎十八番の内の一つのこの勧進帳が、現代の映画に受け継がれているんだ、と思うと、しみじみとした面白さを感じました。

そうして、ちょっと話は外れますけれど、現代のTVドラマの中で、思いがけず弁慶の話題が出てきて、おっ、と思ったことがあったのです。

『捜査一課9係』というドラマだったと思うのですが、死後硬直の状態が普通の人と違って、死亡推定時間がずれた遺体がキーになったストーリーでした。

渡瀬恒彦氏演じる課長が、“筋肉質の男性が、非常な疲労状態で死亡したとき、死後硬直が急激に起こることがある。たとえば、弁慶の立ち往生がそれです”というようなことを説明していました。

私はへえ~、と感心し、そんな歴史上の、半ば伝説化した出来事が科学的に説明されることがあるのだなぁ、と、とても面白く思いました。

以前京極夏彦氏の小説の中で、“その人を実際に会って知っていた人がすべて死んでしまっている場合、歴史上の人物も架空の存在……だいだらぼっちなどとそう変わりはない”というような文章を読んで、それにも非常に共感したことがあります。

でも、大昔のことが、思いがけなく現代にひと続きになっていることもあるのだなぁ、と、『勧進帳』を見ていて思った、今日の出来事でした。

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ドリームメーカー、トラブルメーカー。

2010-07-11 00:32:29 | 本(エッセイ・ノンフィクション他)

昨日の深夜から今日にまたがって放映された、スマステーションを懐かしく観ました。

それというのも、“大人の女性が選ぶディズニーアニメ”の特集だったから。

最近の目を見張るような技術のCGアニメーションもいいのですが、やはり大昔のアニメーションのエレガントさに魅かれます。

(子どもの頃テレビで観たものとかあるし)

そして、観ていて思い出したのがこの本です。

ぼくが絵本作家になったわけ―ビル・ピート自伝 ぼくが絵本作家になったわけ―ビル・ピート自伝
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:1993-02

このビル・ピートという絵本作家は、日本ではあまりなじみがないように思いますが、絵本作家になるまでは、ディズニー映画のアニメーターだったのです。

この彼の自伝、イラストがふんだんに入っていて楽しく読みやすいのですが、これを一編のストーリーとして読むと、重要な登場人物として印象深いのがウォルト・ディズニーなのです。

ビル・ピートは様々な角度で彼とのエピソードを描いています。

彼の偉大な仕事、豊かなアイディアとイマジネーション。彼と創ったアニメーションに、ビルも誇りを持っていたこと。

けれど一方でディズニーの欠点も赤裸々に描かれます。その破天荒な性格、暴君ぶり、彼との決裂までも。

その愛憎の激しさに、かえって鮮やかにディズニーという天才のイメージが立ちあがってきます。

悪いところもたくさんある。一緒に仕事をするのは嫌。でも、その反面チャーミングで夢の世界を創りだす人で、どこかやっぱり憎めない……と、まったくディズニーを知らない私までついつい思ってしまうほど。

終盤のシーンには、ちょっと胸を突かれたりして。

番組で名シーンを少し観たこともあり、半世紀前のディズニーアニメを、もう一度見直したくなりました。

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モロッコ風でなくてもいい。

2010-07-08 23:34:53 | 本(料理の本)

ハッピータジンライフ!―雑貨と旅と毎日のレシピ ハッピータジンライフ!―雑貨と旅と毎日のレシピ
価格:¥ 1,470(税込)
発売日:2009-09
私が持っている、唯一のタジンレシピの本がこれです。

ネットの古本屋さんで“タジンレシピ”で引っかかったのがこの本のみだったので、必ずしもたくさんのタジンのレシピ本のなかで、これがマイベスト、というのではないのですが。

私は眺めるためにレシピ本を買うのもしばしばなので、ふつうはこういう小型本は好きな方なのですが、今回はがっつり見ながら料理したかったので、開いて置きやすい本の方が良かった。

けれど、冒頭に、“タジンポットで野菜蒸し”というレシピの章があるのですが、これはすごくありがたかったです。代表的な野菜の蒸し時間と投入する水の量が書いてあって、これを見て色々蒸そうと夢想しました。(いかん、友人Yの影響かダジャレが……)

Amazonのレビューでは取り上げられている料理がモロッコ風が少なく、和風まであるのが不満、という意見がありましたが、私個人としては和風でも中華でもイタリアンでもエスニックでも、いっこうにかまわない。ただ、美味しいレシピが色々知りたいです。

しばらくはマイブームでタジンポットにハマりそうです。

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