あめふり猫のつん読書日記

本と、猫と、ときどき料理。日々の楽しみ、のほほん日記

つくり話と、物語のあいだ。

2010-10-12 18:28:59 | 本(児童書・絵本)

うそつきの天才 (ショート・ストーリーズ) うそつきの天才 (ショート・ストーリーズ)
価格:¥ 1,260(税込)
発売日:1996-11
数日前のシンさんのコメントに、“何も無い所から、自分に関係ない人間を創りだすことはできない”という文章があって、物語もそうかもなぁ、と思いました。

物語を創りだすためには、自分の血の通った経験に裏打ちされた、物語のタネ、が必要なのではないかと。

それで、連想したのがこの本です。

ウルフ・スタルク『うそつきの天才』。児童文学です。

この作家に興味を持ったのは、『シロクマたちのダンス』という本のあらすじを読んだことからでした。

シロクマ、とは主人公の少年のお父さんのあだ名で、あらすじ紹介はこんな文章だったかと思います。“ぼくは、自分の家族はけっこう上手くいってると思ってた。クリスマスの少し前、お母さんがお父さん以外の人の赤ちゃんを妊娠してると分かるまでは……”

ちょっと“え~~~っ!”という感じでした。子ども向きの本です。図書館の子ども室にあるのです。なのにこういうテーマ?

趣味程度ですが自分でも童話を書くので、内外の児童文学を知りたい、読みたいと思っている時期でした。外国作品は日本のものとはテイストが違う、とは思っていましたが、それにしても驚きでした。

けれどその一方で、子どもだましの子どもの話なんて、いやだ、と思っていた時期でもあり、これで良いんだ、そうだよね、書き方には慎重さとデリケートさが必要だけど、子どもの本だって、大人向けと同じテーマを盛り込んだっていいんだ、とも思いました。

けれどいまだにその『シロクマたちのダンス』は読んでいなくて、買ったのは『うそつきの天才』だったという……

たぶんこれは自伝的なエピソードだろうと思い、物語を創りだすひとの最初のきっかけ、みたいなものに興味があったのです。

こんな話です。主人公はうそをつくのが得意で、つくり話も自在に思いつけるのです。小学生である彼は、作文の宿題が結構ありますが、いままで困ったことがなかった。うそばかり書いて、しかもけっこういい点をもらえていたのです。

ところが、彼のうそを見破る先生があらわれて、いっこう良い点がとれなくなる。そして、自分の他愛ないうそからとんでもないトラブルに見舞われて……という話で、結末もなかなか愉快。

軽いタッチの話で、期待したほど物語のタネについて書かれてはいないのですけれど、教訓的なだけではない味わいがあります。

この作家の『おじいさんの口笛』という本も大好きで、こちらはしみじみとした感動のある話ですけれど、やはりいわゆる教科書的“いい子”が主人公でないのがイイのです。

おじいちゃんの口笛 おじいちゃんの口笛
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:1995-02

おじいちゃんにおこずかいをもらった友達がうらやましくて、老人ホームにいって孤独な老人に孫をよそおって近づいて、自分たちもおこずかいをもらおうとするちゃっかりした悪ガキ的少年二人が主人公。

それが思わぬ方向に動いて、少し悲しいけれど、透明で爽やかな結末に辿りつく。

忘れられない印象のある1冊です。

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雨の時の鐘。

2010-10-10 20:33:21 | インポート
雨の時の鐘。
昨日、川越に日帰りで行ってきました。

あいにくの、雨模様。 昼過ぎには本降りになり、せっかくの蔵づくりの町並みも、充分楽しめませんでした。 まあ、雨だったからこそそれほど混まなかったとも言えますけど……。 また、晴れた日に再訪したい、こじんまりとした風情ある町でした。

コメント (4)
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食とロマン。

2010-10-08 23:33:08 | 日記・エッセイ・コラム

味覚はイメージに左右される、という話を前回書きました。

今回はそれでまた連想した話を。

何の雑誌で読んだのかは忘れてしまいましたが(小説の雑誌であることは確か)《佳人の食卓》というエッセイを読んだことがあります。

筆者の方が、外国でさる御婦人にもてなしを受けるエピソードでした。

上流階級とおぼしきその婦人は、若くはないが実に美しいひとで、“臈たけた、という表現がぴったりだった”と書いてあったように思います。

けれど、その女性の作ってくれた手料理というのが、ジャガイモと肉を焼いたものなのですが“こちらは焦げていて、こちらは生焼けというありさまなのであった”というもの。

けれどですね、これは、酷い料理を食べさせられた、とか、幻滅した、とかのエピソードではないんです!

そのひどい料理は、筆者の方の思い出し笑いを誘いこそすれ、決して嫌な思い出ではないんですよね。それどころか、美味しくなかったその料理は、筆者が事あるごとに思い出す、懐かしいある種のご馳走なのです。

平たく言えば、特別に美しいひとの作ったものは、どんなものでも男性は(まあ、男性のすべてではないにしろ)感激するのです。私は、感心したり、ちょっとショックを受けたり。

忘れ得ぬ料理、といっても色々だと、思わされたエピソードでした。

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いまいちメニュー救済法。

2010-10-07 23:26:55 | 日記・エッセイ・コラム
料理の苦手な人はもちろん、けっこう得意な人でも、できた料理がなんかいまいち……っていうことありますよね。
私はもちろんあります。っていうか、よくある
そんなときふと思い出す、その救済法がありました。
直木賞作家であり、アマチュア・マジシャン(とはいえマジックの賞を取ったかなりの本格派)でもあった故・泡坂妻夫氏がエッセイで書かれていたのです。
“もし、自分の作った料理がいまいちだと思ったら、お洒落な食器に盛り付け、音楽をかけ、照明はムードのある少し暗めのものにしてみて下さい。そうしたらきっと、あなたの恋人や夫は、貴方の料理をほめるでしょう”
正確な文章は忘れましたが、こんな内容だったかと思います。味覚は、視覚やムード、感情にも左右されるということなのですね。
実践したことはないのですが、このことを思い出すと、ふっと楽しい気分になります。
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ドーナツについての、ホントに他愛ない話。

2010-10-06 23:38:30 | 日記・エッセイ・コラム
今日、《シルシルミシル》SPを観ていまして、ドーナツ店密着の企画がありました。
それで、ドーナツというといつも思い出すことを、今回もまた連想したのでそのことについて。
アメリカの犯罪小説、たしか『八十七分署シリーズ』の一冊だったと思います。事件が起こって、犯人の可能性のある人間に、しらみつぶしにあたるシーンがありました。
ところがそのひとりが、どうしても事件の起こった時間、何をしていたか言おうとしない。
それで刑事(キャレラ?)が、「これは殺人事件の捜査だぞ」というと、相手はびっくりして「マジかよ!冗談じゃねーぞ」というわけで、やっと重い口を開きます。

「くそっ!そのとき俺は、〇〇ドーナツでダブルチョコレート(仮。ドーナツ店とメニューは忘れました。でもいかにも甘そうなメニューだった)を食っていた!」
いかにも強面っぽい前科者の男と、甘いドーナツとの組み合わせが可笑しくて、おもわず笑っちゃいました。
ホントにたわいない話でスミマセンしかも本のタイトルも忘れました……
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