月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

2020年 お正月の備忘録

2020-01-18 23:15:36 | writer希望を胸に執筆日記

2020年 1月1日(水) 晴れ

元旦の朝はよい天気。
神棚に御神酒と、餅、塩、水を備える。父の写真前にも御神酒を置く。

湯をわかして、里芋と大根、人参をゆがき、餅を湯にする(ゆでる)。昨晩の出汁に、白味噌の雑煮をつくった。御神酒には、昨年広島の安芸へ取材にいった折に買っていた「獺祭」に。

今日は忙しい。
雑煮のあと、叩きごぼうと紅白なます、を30分でちゃちゃっとこしらえた。大晦日は午後からお節づくりをするはずが、おいしい蕎麦屋で引っかかってしまったため(2時間待ちの)。今日までに間に合わなかったのだ。

まぁ、夫婦ふたりで食べるのだし、と自分に甘く…、正月午前中かけてまぁそこそこ揃ったというわけだ。お煮しめ、栗きんとん、黒豆、車海老のうま煮、叩きごぼう、椎茸のうま煮、田づくり、昆布巻き、車海老のうま煮、金柑の甘露煮、蒲鉾(こちらは盛り付け忘れ)。

参考本はおなじみの別冊暮らしの手帖編集「お正月の手帖」と、ベターホームの「お母さんの味」。










相方はマイペース、テレビをみて、くつろいでいる。
ふと、実家の母はどうしているのだろう、と気になる。そう思えばいてもたってもいられず、(お屠蘇とお節料理で簡単にお昼を食べたあとで)、すぐ2食分ほどタッパーにつめて、実家の母宛にお節料理の宅配に行くことに決めた。(片道2時間半の道のり)

どうしても今年のうちの味を食べてほしかったのだ。山陰の山は青々として清々しい。

「あけましておめでとうございます」。

互いに顔をみて、言葉を交わし、お餅とお正月料理をいただいた。
母は昨晩からお腹をこわしたといって今日はあまり食が進まないらしい。それでも声がきけて笑顔が見られてホッとした。



2020年 1月2日(木) 晴れ

主人は、家でテレビをみて過ごしている。私は一日、ごはん仕事。午後から原稿を少し書く。
27日から年末年始モードにはいって今日でなんと1週間。 
年賀状、掃除、お節づくり、お餅を焼いて、初詣…とハレの日は、愉しく愉しく続く。が、平常運転が恋しくなってきた。人にまみれて、読んだり書いたりはお風呂の中くらい。
自分の中から言葉がわきだしてこない。

夕方。明日からの山口行きにあわせて、お年賀のお持たせを買いに阪急百貨店へ。
自宅用にザッハトルテ(本場と比べてみよう)と相方のモンブランなどスイーツを買う。






夜は、お節料理を主にローストビーフやお造りを加え、サラダも2種加えて、少し、華やかに。

2時間くらい喋りながらワイン(イタリアのランブルスコ)を家飲み。微炭酸で、フルーティ! おいしい。1時間ほどで1本あける。



2020年 1月3日(金) 晴れ

7時に起床。スーツケースに入れる荷物を確認。

8時に山口にむけて出発。中国自動車道から山陽自走車道にはいる。途中、西条サービスエリアで休憩。岡山のきびだんごから、鞆の浦の、珍味海産物、広島の紅葉饅頭、神戸や篠山の品までたくさんあって、珍しく、15分のトイレ休憩が30分近くそこにいた。

1時。下松インターをおりて主人の実家。相方は3人兄妹だが、3家族が集合する。
シャンパンで乾杯し、ケーキをいただいた。

お母様とお会いするのは約3年ぶり。ほとんどの日をディーサービスやショートステーにいかれているとのことで体調を心配したが、頬がふっくらされて、お元気そう。そう伝えると、
「よけい食べるし、家族で一番しゃべりよるよ。することがないと、なんか口にいれとるから、やせる暇がないの」
などと、ジョークも連発される。

Nが小さかった頃、幼稚園や小学低学年だったいとこが、高校のおねえちゃんとイケメン風の社会人になっている。たくさん、おしゃべりしてくれるいい子たち。

「年末にね、徳山から新幹線で福岡へ行って、ほんで飛行機で韓国へ行ったの。国内旅行より近いの。飛行機に乗ってるのは30分よ」 (相方の妹)
「それならLCC?」(私)
「うん」(いとこの兄)
「何が飛んでいるの? いいわねーー。何を食べたの?韓国で」(私)
「プルコギ、焼き肉がおいしい」
「LCCってなに?」(いとこの妹)
「あ、僕もわからんくてスルーしてた」(いとこの兄)
「え、格安航空だよ。ピーチとかジェットスターとか」
「なんのことか、わからん」(いとこの兄)
「笑!」(私)

きょうだいでこちらをみている。過剰な自信と幼さが見え隠れして、かわいい。

いとこの妹のリクエストで、海外搭乗中のNにメール。ホテルへ着いたばかりだそうで、LINE電話をした。

家族10人。1人5分くらい話して、次にまわす。部屋の空気が一気に盛り上がった。
83歳の相方のお母様もうれしそう「うん、うん。元気だよ。100歳まで生きるかもしれん」と大声で携帯にむかってNに。電話を切ったあとで、ちょっと照れくさそうに「ちょっと無理だろうけどね」とつぶやき、笑っておられた。

相方のお兄さんは、威張らないし、家族みんなに均等に気を遣われていて、いつお会いしても変わらない。客人と家族をつなぐいいクッションの役割をされていて、すばらしい人だ。

家の長男も3年前にお嫁さんをもらい、6カ月になったばかりの赤ちゃんを連れて帰省されていた。赤ちゃんはみんなのヒーローだ。部屋の中心にガーゼの布団をしいてそこで寝かされている。全方位からの興味と笑顔のビームだ! それぞれのやり方で幸せな顔であやすから、場が和む。かわいい王子は両手を水平にしてみせ、ぶんぶんとお腹で飛ぶ姿を長いことみせてくれていた。

7時頃。長男家族と妹家族が帰る。私たちもしばらくして、出発。
今回はリーガロイヤルホテル広島へ。









広島市内はちん電(路面電車)が走っていて、一気に高揚した。私の思うところ、ちん電が走る街はよい街、ということになっている。広島に、松山、鹿児島、長崎、熊本、札幌、大阪(帝塚山周辺)…。それぞれによい街だった。そういえば、オーストリアのウィーンもリンクに沿ってちん電が走っていた。

 



ホテルはまだまだお正月の空気。






ロビーの雰囲気もゆったりとして華やか、厳かでもある。部屋に荷物を落ち着けてから、私の希望でちん電に乗車し、八丁堀まで行く。

お好み焼きの「ふみちゃん 流川店」。10時過ぎに入店(15分外で待つ)。








カウンター席に通された。まずはビール!サイドメニューの「牛すじ煮込み」と「キムチ」をつまみながら、目の前で、広島焼きが豪快に焼き上げられていくさまをニコニコして眺める。職人さんが、ずらりと並び、コテを返すさまの艶やかなこと。肉と脂のやける香ばしい香り!














ふみちゃんスペシャルに、うどん玉とちゃんぽん玉をオーダー!




もっちゃり、どろどろの広島焼きではなく、さっぱりとしておいしい。

具には、きゃべつのほかに、もやし、いか、豚肉、たこなどなど。隠し味には魚粉。
ソースはやや甘辛い。こくがあるのに、後味はさっぱりしてとても新鮮だった。ここのところ「みっちゃん」一辺倒だったが、新規開拓できてよかった。

ピリ辛キムチと、広島焼き。牛すじ煮込み。ビールをぐいぐいと飲み、お腹もちょうどよい、いい夜だった。

帰り際、外で待っていると、「お姉さん、どこか行く?」と3人連れの若めのサラリーマンが私にむかって声をかける。ふふふん! こちらが上機嫌で笑っていたからだろう。ま、いいかお正月だし! 心がほかほかしたまま、夜の広島を15分以上闊歩して帰った。