空気が乾いてきた、と思ったら紅葉が進み「落ち葉の季節」になっていた。
風がさーと吹くと、カサカサと葉がこすれる音とともに、
黄色に色づいた葉っぱたちが順々に落ちたり舞っていく様子が、
デスクの前のガラス窓をとおして見ることができる。
なんて贅沢なことだろう。
寒くなってきたら、いやがおうでも受験を意識することになる。
いよいよ、センター試験まであと81日だ。
なっちゃんは先週に引き続いて、学校が終わってから、
毎日4時間の「秋期講習」(研伸館)を受けて、へとへとになって帰ってきて口数も少ない、かと思いきや、
これが相変わらずよくしゃべること。
「今日は誰それが、こんなこと言って面白かった!」とか、
「今日の昼休みはこんな冗談を言い合ってみんなで笑っていたんだよ」
とか、愉しい話題が多いことにホッとする。
昨日は帰宅後、国語の赤本を必至で解いている凛々しい姿を
ほんとうに久々に目にして、
ああ、こんな真剣な目をしているなら大丈夫、良かった!と
思い数日ぶりに朝まで熟睡できた。
さて、
週の半ばでは念願の「びりけん」へ。
最も親愛なるライター友達のSさんとも再会することができた。
北新地の真ん中にある「びりけん」。
店主が料理を並べたり切ったりする小さな厨房をぐるり囲むようにして配する「木」のカウンターは、日本酒愛好家や食通たちが足繁く通ってくることもあって、厚みと包容力のあるいい表情をしている。

この日に頂いたのは店主お任せの
秋の味覚三昧。
特に印象に残ったのは、
「ムカゴ、黒豆枝豆、オニグルミの付きだし」。

ムカゴはやっぱり塩ゆでが一番だと、(絶妙な塩加減の品々)食べながら思った。
「鰻の白焼き」も、健康な脂がのっていて身の締まり弾力ともに申し分なし。
鰻のイキイキとした生命力を頂いているようで、美味しかった。
これらが鮮明に記憶に残る。

「イチジクとカキ、ブロッコリーのグラタン風」もサッパリして、
素材の味ひとつひとつが愉しめたし、

それに「手羽の照り焼き」も、
野菜ベースの「椀物」も、
どれも余計なものや雑味の一切ない素直な味。よかった。美味しかった。


ほかにはこんないろいろも。


写真がピント外れなので添付できないがアジのムニエルもあった。
私はここへ来ると普段はあまり飲めない日本酒のペースが加速してきて、
くいくい飲めてしまう。
この日も5杯くらい頂いただろうか。
一緒にいたS さんが心配するくらいに飲んでしまっていた。
いい調子になって飲んで食べて、おしゃべりをしていたら、
帰り際になってから、ひとつ店主からご忠告を受ける。
「大阪人やろ(本当は兵庫県民)。
東京の人じゃないんだから、
さあ、さあ言うてしゃべったらあかん。損や」と。
びっくりした!当の本人は全く意識していなかったことなので、耳を疑ったほどで。
というか、どっかの、見知らぬ誰かが「さあ、さあ、」と語尾につけて話している際に耳障りに思ったこともあるほどだから、本当に驚いた。
そのあとも、ご主人の話は続くのだが…。
同席していたSさんが、隣で一生懸命に言葉を尽くし、
全身でかばってくれていたので、
その気持ちの熱さに圧倒され、打たれ、なんだか泣けてきたほど…。
確かに職業柄、言葉づかいには十分に気をつけないと、いかん。
この店の主はヒーラーなのである。
まあ、その後の話しはともかく、
翌日にさっそく私の友人や仕事仲間の何人かにこっそりと聞いてみたのだ。
「わたしって、さーさーって言う?」と。
「さあー、さあーは方言のひとつみたいなもの、と受け取っていたわ。気にならないけど」
「言うでー、結構言うで。でも気にならん、あなたのサーは全く嫌みには聞こえんけど」
「そういえば昔から、よく言っているね~。ぼくは気にならないけどなんて説教されたの(笑)」
「ああ、そうですね。私も結構言うかもしれないわ。でも、これを言ったら傷つけるとか人に迷惑をかけるような言葉じゃなきゃあ、いいんじゃないですか。
話される状況とか人とかはみて話さないといけないかもしれないけどね」
みんなやさしいね~。
いい人たちに囲まれている。
この日同席してくれたSさんも。
人への熱さだけでなく、仕事や好きな事に接するときの
真摯な姿(情熱)というのに、私は打たれるんだなあと、後で気づいた。
情熱のある人、無垢な人、
ユーモアのある人に
私は本当に昔から弱い。うん、弱い。
まぁ、ともあれ、
大阪で仕事をして生きていくなら、「さあ、さあ」とか「マジ?」とか
多発するのは要注意!だね。
いろいろな思いが駆け巡っては消え、泣いて、反省して、感動して。
心が波のように鼓動した、「ある日」のことであった。
●酒人肴 びりけん
大阪市北区曽根崎新地1-11-20 たかがわビル8かい
06-6361-3312
16~24
日曜・祝日休(土曜日は前日までの予約してから来日)