月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

是枝監督の「真実」

2020-01-26 00:01:00 |  本とシネマと音楽と


1月9日(木)晴

昨晩お酒をぬいたのがよかったのが、体が軽く、朝から爽快だ!湯たんぽで足元がぬくぬくしいいのがよかったのか、健やかにヨガと瞑想をして、原稿にすっきり入れた。


午後1時。NHKの朝ドラ終わりに車をとばして映画館へ。

是枝監督の「真実」特別版をみた。






昨年秋頃から、見たい映画を随分とみそこねたので、今日はどうしても行きたかった。

愛するカトリーヌ・ドヌーヴとジュリエット・ビノシュという2大女優の競演、みないわけには行かない。今年の初映画だ。「万引き家族」と同様「家族」がテーマ。日仏合作。カメラワークが自然で絵づくりが美しい。


この人の作品は、心の小さく揺れる機微を、丁寧に余すことなく掬い取る。

日本人や日本を描くのがうまいと思っていたが、人間の中身をみせてしまえる監督だとしった。ちょっとした目の動かし方、横顔からの焦る表情、なにげない会話の中で。大物俳優を通じて、いまの、世の中が風刺されている。

木々の影、風が吹いた時の葉のゆらぎ、中国の食堂での人々。なんでもない余白、シーンの描写に、是枝監督らしさがある。ちゃんとカトリーヌドヌーブ、ジュリエットビノシュを、好きで、敬愛しているのも分かった。途中、2度、泣いた。見てよかった、よい映画。


若い頃は、嘘か真実だ。白か黒だ、と追求しがちだが、そんなことは大きな問題じゃない。大事なのは、いま、あなたがどう思っているのか。大切な存在であるのか、思いやりと愛情をもって相手の眼差しをみつめているの か。それだけで十分じゃないか。ええ十分ですとも。


真実も、虚構も、お芝居さえも。本質は変わりない。サイコロはどちらにでもどうとでも転ぶ。

母と娘の複雑な感情の揺れ、愛のからんだ嫉妬、孤独、許されると思う家族に対する甘え。親子の愛というぬぐいようのない「真実」の中にも。。。


シネマの帰りに、市立図書館で郷土資料を探した。ついでにおもしろそうな本を3冊。


帰り、喉が乾いたので図書館の隣のカフェに立ち寄る。

マリアージュフレールのイングレッシュブレックファーストがあった。紙コップだけれど。パリで飲んだ生ぬるいマリアージュフレールより、十分においしい。おそらく、ティーバッグだろうけれど、香りがよくフレッシュ。おいしいお茶だ。












ディンブラ(紅茶)にいれるミルクには

2020-01-24 22:44:30 | writer希望を胸に執筆日記

1月7日(火曜日)雨

起きて、紅茶を入れるのが習慣だ。
今日は「べにたちわせ」(ムジカ、和紅茶)にした。シュンシュンとお湯がわくのを待つ間、冷蔵庫とガス台のコーナーを背に、武田百合子さんの本を読む。正月時期には毎年のごとく、読みたくなる。


うちの家は、どの部屋もオレンジの電球ばかりだが台所はそうではない。白い灯りの下、さらさらと文字が体にはいってきた。
「べにたちあわせ」(ムジカ)は、秋の香りだ。爽やかな渋みが和菓子によくあう。


冷蔵庫のうーんという音、換気扇のゴーという音をBGM に読んでいると、吉本ばななさんの「キッチン」の冒頭のところを思い出した。

「私がこの世で一番好きな場所は台所だと思う。(中略)。どこへいても何だか寝苦しいので、部屋からどんどん楽な方へと流れていったら、冷蔵庫のわきがいちばんよく眠れることに、ある夜明け気づいた」(キッチン)。


ここも、なかなかおちつく台所だ。私は背が低いので踏み台を置いており、こうやってこの位置に座ってみれば、本も読める。目の高さに六甲山系もみえるのだ。


お昼。昨日のビーフカレーを温めて。ふと香草をいれてみたくなったので、ミルクティー用の紅茶にいれるレモングラスを少し、ネギをたくさん入れる(ネギはオーブンで茶色になるくらいに焼く)。


午後は銀行へ行き、ウィーンのカード払いの金額を振り込んできた。(私にしてはどえらい金額)


帰宅して寒かったのでムジカティーの紅茶、「デラックスディンブラ」をいれる。ミルクにする牛乳は今日は木次牛乳(奥出雲)。









あ、やはりこれだ! ここ数ヶ月、北海道の「町村牛乳」や「蒜山ジャージ牛乳」。気に入った銘柄がなく「よつ葉牛乳」など、ぐるぐるとあれこれ試してみたが。ムジカの「デラックスディンブラ」には、木次牛乳が最も合うと落ち着いた。


夜ごはんは七草粥(五分粥で)、塩さば、おみそ汁。ブロッコリーとりんごのサラダ。栗きんとん。




1月8日(水)

クリスマス時期から今日まで、夕ご飯にあわせたお酒を選ぶのをたのしみにしてきたが、どうやら胃腸がお疲れ。朝から食欲がない。


朝の紅茶のあと、無理をしてお粥と目玉焼き、お味噌汁などを胃にいれて、仕事の原稿をつくる。午後、是枝監督の「真実」をみるために車を出すが、黄色い金柑の木が見えたところで、「今日が燃えないゴミの収集日」と思いだし、家に戻ってきた。年末年始の酎ハイの缶が、台所にうず高く積まれているのだった(相方の晩酌)。


年末年始から「今晩はなにを飲もう」が楽しみで台所にたち、食卓を整えてきたがいよいよ今日で終止符。食後に宇治茶をいれてみた。あぁー。なんて清々しいことよ。千枚漬けにもお味噌汁にもよくあう。体にみにしみ入る緑茶よ。ゆうごはんは、北海道のホッケを焼いて、粕汁をつくる。


夜は12時にはベッドへ入る。Nがあかちゃんの時に使っていた湯たんぽを布団の中にいれて、今これを書いている。軽く本を読み就寝。




出雲大社に詣でる

2020-01-20 00:06:00 | どこかへ行きたい(日本)



1月4日(土)晴れ

たっぷりと8時近くまで眠る。

1階の「オールデイダイニング ルオーレ」でビッフェ。ダイニングはまだお正月モード。人が多い。
洋食メニューのほかに、アナゴの南蛮漬けやお好み焼きなど、和食も充実。特においしかったのは、牡蠣の佃煮や刻みアナゴなど数種のトッピングとあごだしでいただく「あごだし朝茶漬け」。30分間隔で焼き上がる、クロワッサン。


食後。エレベーターで上階まで上がろうと待っていると、展望フロア行きというのがあるのを発見。とても興味を引かれたのでひとりでのる。32階の宴会場フロアに到着。宿泊客限定で朝8時~10時まで、瀬戸内海の景色を満喫できるように開放しているのだ。

南側には旧広島市民球場跡の円形、その先を川が流れ、瀬戸内の海と宮島、その向こうに山が広がっていた。


北側。御門橋、平櫓、太鼓櫓、広島城全体がみえる。どちらも川と山があり、遠くまで見晴らせた。


こぢんまりとして美しい町。晴れ晴れした気持ちで大きく息を吸い、部屋に戻った。


さて、これから宮島の厳島神社に参拝するのか、出雲方面へ行くのか。朝食を食べながら思案していたが、混雑は予想しつつも、ずっと行きたかった出雲大社に軍配。(小さい頃のアルバムでは確か5歳の頃、一度だけ行ったきり)。

広島から中国自動車道、松江自動車道を乗り継いで2時間半。

ようやく出雲市に入り、もう目の前と安堵。島根ワイナリーで休憩した。酒臭い息で参拝はいけない!と自制しつつも綺麗なパッケージにひかれて「縁結」というソーヴィニヨン・ブランの白ワイン(2,035円)を買う。


ここからが渋滞だ。
そういえば車窓から空を見上げると、雲と雲の間からザーッと光がふっていた。

松江自動車道をおりる前あたりからだ。

空から山へ、田へ、家へ。そそぐ光の束。

虹と光が一体になっているような光を眺めては、相方と話したり、地図を調べたり。近くの雑木林が、ざわっざわっと。出雲マジックなのか、気持ちもざわざわっとした。よい意味で。


そして、大国主大神を祭神とする「出雲大社」にやってきた。最初の鳥居をくぐると、見事な松並木。


さっきまでの凍えるほどの寒さはいずこに。清々しい青い松に迎えられ、意識がはっきりとしていくのがわかる。

出雲大社銅鳥居の手前には、キリッと両手を広げた大国主大神の像。
因幡の白うさぎをお救いになった弱者に手をさしのべてくださる神様が。

御仮殿(拝殿)。
総檜造りで屋根には銅板を拭く、質素で古式ゆかしき拝殿だ。(昭和34年に建築)。流麗な屋根のかたち。おぉー気持ちが引き締まるよう。




御本社をのぞむ。大社造りとよばれる日本最古の神社建築。国宝である。
かの岡本太郎は「この野蛮なすごみ、迫力、日本建築の最高表現」とどこかで書いていたとか。

ここで出雲大社についての解説を加えます。

(出雲大社のホームページより)
大神様は国づくりの最中、農耕・漁業・殖産から医薬の道まで、私たちが生きてゆく上で必要な様々な知恵を授けられ、多くの救いを与えて下さいました。この慈愛ある御心への感謝の顕れが、一つ一つの御神名の由来となっています。 “えんむすび”の神として人々に慕われていらっしゃいますが、史の中で、代々の祖先の歩みを常に見守られ、目に見えないご縁を結んで下さっているのが大国主大神様です。
(中略)
大国主大神様が国づくりによって築かれた国は、「豊葦原の瑞穂国」と呼ばれ、あらゆるものが豊かに、力強く在る国。大神様は国づくりの後、私たち日本民族を遍く照らし治める天照大御神様へとお還し(国土奉還=国譲り)になります。そしてこの世の目に見える世界の政治は天照大御神様の子孫があたることとし、大国主大神様は目に見えない世界を司り、そこにはたらく「むすび」の御霊力によって人々の幸福を導いて下さい、とお話しになったそうでございます。



出雲大社の初詣。静けさと興奮が錯綜する面白い心地がした。今の自分の年齢と、10歳にもならない幼い自分の目が一緒になって、出雲大社の御気を味わうようだ。

時計と反対まわりに社を参拝し、8つの社を参拝したあとで、神楽殿。日本最大級の注連縄を写真におさめよう。


御本殿の真後ろに(上手)に鎮座する素鵞社(そがのやしろ)で参拝するために並んでいたら、背後からこんな話しが聞こえてきた。

「いつもなら、これほど並ばなくてもいいのに。大変なことよね」(おばさんの声)
「そういうなって。それだけ長く境内にいられるんだから、ありがたいと思えばいい」(隣にいたとおもわれるおじさんの声)。

正月らしい、いい会話。いい空気だ。



このあとで、まっすぐに帰るのだろうと思っていたら、相方曰く「仕事の調査でここらは何度かきた。そうだ珍しいもん、あるで」と。松江に立ち寄る。

7時。あたりは灯が少なく暗い。さすが日本海、手足が凍えそうに冷たい。一刻もはやく店へ入りたい、でももう少し松江という地場をのぞきながらふらりふらりと歩いてみたいと葛藤する心中で、大きな川を越えた。ここの川向こうに〝宍道湖の七珍〟といわれる、スズキ、シラウオ、こい、鰻、モロゲエビ、アマサギ、シジミを安く食べさせてくれる店があるんだ!というが、すでに店の電気はみえない。閉店しているよう。もう一歩のとこで後戻り。

さっきから歩くこと20分ほど。
ふと通りすがりに寿司屋が。ふん、暖簾は悪くない。ここは松江。正月といえども、これはいいかも。食いしん坊の鼻がきく。正直「寿司秀」さんは、いい店だった。まわりはチェーン店の焼き鳥屋や居酒屋、バル、ラーメン屋ばかりの駅前にあって、駅からはおそらく徒歩8分ほどだろう。暖簾が風にパタパタをはためく姿をみて、ピンときたのだ。

店をあければ、カウンターには地元客で満員。奥の座敷も、全席埋まっている。若い人がほんの少し。
その地のおっちゃんやおばちゃん、お姉さんたちがほろ酔いで機嫌がいいしゃべり方をなさっていた。カウンターの奥には10畳座敷があった。



寿司一貫の値段がないので、相方がにぎりをオーダー。これが安い! 並なら1500円。2000円と続く。私は女将さんが勧めてくれた、純米「深山の香」生貯蔵酒をお願いした。  
 


シャリのやわらかく、品のいい握り具合。鮮度バツグンのネタ。冬の日本海の魚がこれほど繊細で活がよく、身が引き締まって、甘いのか。と惚れ惚れ。あ〜ここにしてよかった!!

何を口にいれてもうまかった。正月で漁が始まらないので、店があらかじめ仕入れていたネタだけ。それでも、あなごは、ほわっとやわらかく香ばしく焼け、シャリとの相性抜群。
イカは、歯をたてると細やかな粘りを備える甘みだ。潮の味を醸したタコも旨い。
そして、清々しい神秘の水のような「深山の香」。
これが寿司と最高にあう。怖いほどにうますぎて恍惚とした。

地方の滋味をたずねてあるくライターに徹してもいいと思うほど正月早々感動の瞬間だった。

追加でお願いしていた、しじみ汁。うーーん、素晴らしい。体の芯からあったかまる。アジ、タコ、ハマチを2カンづつ追加した。


店を出ると8時半だ。このまま松江で宿泊したかったが、翌日は地域の行事があったのでかえるしか道はない。



やむなく、大山と蒜山高原を越え、蒜山のパーンキングでちょっと休憩。お土産を5分みていたら、さすが山の天気だ。寒風が雨に、雪吹雪にかわる。峠を越える中、ワイパーを動かしても白い雪がフロントグラスをめがけて突き刺さるように降る。降る。これちゃんと帰れるのだろうか。周囲を走る車はぽつりぽつり。あまりよろしくない、パターンである。一気にスピードをあげて、赤のレクサスを猛スピードで。

岡山へ抜けるあたりから、雪はうそのように消えた。灰色の中、キラキラの星空がひろがっていた。コンビナートの灯りも、眩しい。長い長い充実した一日。夜半12時。自宅についた。





2020年 お正月の備忘録

2020-01-18 23:15:36 | writer希望を胸に執筆日記

2020年 1月1日(水) 晴れ

元旦の朝はよい天気。
神棚に御神酒と、餅、塩、水を備える。父の写真前にも御神酒を置く。

湯をわかして、里芋と大根、人参をゆがき、餅を湯にする(ゆでる)。昨晩の出汁に、白味噌の雑煮をつくった。御神酒には、昨年広島の安芸へ取材にいった折に買っていた「獺祭」に。

今日は忙しい。
雑煮のあと、叩きごぼうと紅白なます、を30分でちゃちゃっとこしらえた。大晦日は午後からお節づくりをするはずが、おいしい蕎麦屋で引っかかってしまったため(2時間待ちの)。今日までに間に合わなかったのだ。

まぁ、夫婦ふたりで食べるのだし、と自分に甘く…、正月午前中かけてまぁそこそこ揃ったというわけだ。お煮しめ、栗きんとん、黒豆、車海老のうま煮、叩きごぼう、椎茸のうま煮、田づくり、昆布巻き、車海老のうま煮、金柑の甘露煮、蒲鉾(こちらは盛り付け忘れ)。

参考本はおなじみの別冊暮らしの手帖編集「お正月の手帖」と、ベターホームの「お母さんの味」。










相方はマイペース、テレビをみて、くつろいでいる。
ふと、実家の母はどうしているのだろう、と気になる。そう思えばいてもたってもいられず、(お屠蘇とお節料理で簡単にお昼を食べたあとで)、すぐ2食分ほどタッパーにつめて、実家の母宛にお節料理の宅配に行くことに決めた。(片道2時間半の道のり)

どうしても今年のうちの味を食べてほしかったのだ。山陰の山は青々として清々しい。

「あけましておめでとうございます」。

互いに顔をみて、言葉を交わし、お餅とお正月料理をいただいた。
母は昨晩からお腹をこわしたといって今日はあまり食が進まないらしい。それでも声がきけて笑顔が見られてホッとした。



2020年 1月2日(木) 晴れ

主人は、家でテレビをみて過ごしている。私は一日、ごはん仕事。午後から原稿を少し書く。
27日から年末年始モードにはいって今日でなんと1週間。 
年賀状、掃除、お節づくり、お餅を焼いて、初詣…とハレの日は、愉しく愉しく続く。が、平常運転が恋しくなってきた。人にまみれて、読んだり書いたりはお風呂の中くらい。
自分の中から言葉がわきだしてこない。

夕方。明日からの山口行きにあわせて、お年賀のお持たせを買いに阪急百貨店へ。
自宅用にザッハトルテ(本場と比べてみよう)と相方のモンブランなどスイーツを買う。






夜は、お節料理を主にローストビーフやお造りを加え、サラダも2種加えて、少し、華やかに。

2時間くらい喋りながらワイン(イタリアのランブルスコ)を家飲み。微炭酸で、フルーティ! おいしい。1時間ほどで1本あける。



2020年 1月3日(金) 晴れ

7時に起床。スーツケースに入れる荷物を確認。

8時に山口にむけて出発。中国自動車道から山陽自走車道にはいる。途中、西条サービスエリアで休憩。岡山のきびだんごから、鞆の浦の、珍味海産物、広島の紅葉饅頭、神戸や篠山の品までたくさんあって、珍しく、15分のトイレ休憩が30分近くそこにいた。

1時。下松インターをおりて主人の実家。相方は3人兄妹だが、3家族が集合する。
シャンパンで乾杯し、ケーキをいただいた。

お母様とお会いするのは約3年ぶり。ほとんどの日をディーサービスやショートステーにいかれているとのことで体調を心配したが、頬がふっくらされて、お元気そう。そう伝えると、
「よけい食べるし、家族で一番しゃべりよるよ。することがないと、なんか口にいれとるから、やせる暇がないの」
などと、ジョークも連発される。

Nが小さかった頃、幼稚園や小学低学年だったいとこが、高校のおねえちゃんとイケメン風の社会人になっている。たくさん、おしゃべりしてくれるいい子たち。

「年末にね、徳山から新幹線で福岡へ行って、ほんで飛行機で韓国へ行ったの。国内旅行より近いの。飛行機に乗ってるのは30分よ」 (相方の妹)
「それならLCC?」(私)
「うん」(いとこの兄)
「何が飛んでいるの? いいわねーー。何を食べたの?韓国で」(私)
「プルコギ、焼き肉がおいしい」
「LCCってなに?」(いとこの妹)
「あ、僕もわからんくてスルーしてた」(いとこの兄)
「え、格安航空だよ。ピーチとかジェットスターとか」
「なんのことか、わからん」(いとこの兄)
「笑!」(私)

きょうだいでこちらをみている。過剰な自信と幼さが見え隠れして、かわいい。

いとこの妹のリクエストで、海外搭乗中のNにメール。ホテルへ着いたばかりだそうで、LINE電話をした。

家族10人。1人5分くらい話して、次にまわす。部屋の空気が一気に盛り上がった。
83歳の相方のお母様もうれしそう「うん、うん。元気だよ。100歳まで生きるかもしれん」と大声で携帯にむかってNに。電話を切ったあとで、ちょっと照れくさそうに「ちょっと無理だろうけどね」とつぶやき、笑っておられた。

相方のお兄さんは、威張らないし、家族みんなに均等に気を遣われていて、いつお会いしても変わらない。客人と家族をつなぐいいクッションの役割をされていて、すばらしい人だ。

家の長男も3年前にお嫁さんをもらい、6カ月になったばかりの赤ちゃんを連れて帰省されていた。赤ちゃんはみんなのヒーローだ。部屋の中心にガーゼの布団をしいてそこで寝かされている。全方位からの興味と笑顔のビームだ! それぞれのやり方で幸せな顔であやすから、場が和む。かわいい王子は両手を水平にしてみせ、ぶんぶんとお腹で飛ぶ姿を長いことみせてくれていた。

7時頃。長男家族と妹家族が帰る。私たちもしばらくして、出発。
今回はリーガロイヤルホテル広島へ。









広島市内はちん電(路面電車)が走っていて、一気に高揚した。私の思うところ、ちん電が走る街はよい街、ということになっている。広島に、松山、鹿児島、長崎、熊本、札幌、大阪(帝塚山周辺)…。それぞれによい街だった。そういえば、オーストリアのウィーンもリンクに沿ってちん電が走っていた。

 



ホテルはまだまだお正月の空気。






ロビーの雰囲気もゆったりとして華やか、厳かでもある。部屋に荷物を落ち着けてから、私の希望でちん電に乗車し、八丁堀まで行く。

お好み焼きの「ふみちゃん 流川店」。10時過ぎに入店(15分外で待つ)。








カウンター席に通された。まずはビール!サイドメニューの「牛すじ煮込み」と「キムチ」をつまみながら、目の前で、広島焼きが豪快に焼き上げられていくさまをニコニコして眺める。職人さんが、ずらりと並び、コテを返すさまの艶やかなこと。肉と脂のやける香ばしい香り!














ふみちゃんスペシャルに、うどん玉とちゃんぽん玉をオーダー!




もっちゃり、どろどろの広島焼きではなく、さっぱりとしておいしい。

具には、きゃべつのほかに、もやし、いか、豚肉、たこなどなど。隠し味には魚粉。
ソースはやや甘辛い。こくがあるのに、後味はさっぱりしてとても新鮮だった。ここのところ「みっちゃん」一辺倒だったが、新規開拓できてよかった。

ピリ辛キムチと、広島焼き。牛すじ煮込み。ビールをぐいぐいと飲み、お腹もちょうどよい、いい夜だった。

帰り際、外で待っていると、「お姉さん、どこか行く?」と3人連れの若めのサラリーマンが私にむかって声をかける。ふふふん! こちらが上機嫌で笑っていたからだろう。ま、いいかお正月だし! 心がほかほかしたまま、夜の広島を15分以上闊歩して帰った。







年末年始の備忘録

2020-01-08 18:36:00 | writer希望を胸に執筆日記


昨日、深夜1時半にゴミ捨てにいって、ふと空を仰いだら白い月が美しく、とてつもなく静かな夜がそこにあった。そこでふと思ったのは、
「ことしは直感に従っていきる」と。

ピンとくるものに耳を澄まし、感じ、心を傾けて。
もう少しだけ、自分を信じてみてもいいんじゃないかなと、そう感じました。
直感とは、理論や解釈ではなく、自分の〝本能〟 をちゃんと捉えることです。

周囲の自然や、モノに宿っている神様、道標(道案内)にも気づいて生きる、
そんな余裕をもちたいと、その晩は思いました。

最近は、さっきひらめた思いすら電話をとったり、なにかを調べている最中に、忘れてしまうことがよくあります。
それで、「ウィーン探訪記」の続きを書く前に、
「#2020年 年末年始の健忘録」を書いてみました。
年末はひたすら何かをつくっては食べ、家族で家飲み、の日々。年始は山陰に初詣!



12月26日(木) 晴れ

25日で仕事納め。今年最後の原稿は宣伝会議さんだった。2020年からスタートする新連載だそうで、テープ起こし100分は骨身にこたえ、挫折しそうになったが無事納品できてホッとした。

11月からわが家へ訪れていた母も、23日には家へと送り届けた。
トータル1カ月以上一緒に暮らす。これが来年以降の日常となるか、非日常かは、わからない。


夕ごはんは、子羊肉のソティーとコーンクリームスープ、アボガドとりんごのサラダ(ゆずドレッシングをつくる)

ご飯のあとで、年賀のcopyを考える。ほんの20分。一筆みたいに、スルスルッできあがった。

それでもビジュアル探しが大変で、何千枚もあるウィーンの写真を何往復もみて。候補1から2、3、、、決定までのファイルが5つできた。

これでは〝マトリョーシカ人形(ロシアの人形)〟ではないか。入れ子状態。全く決まらない。これぞ、というのがないのだと軽い落胆。1時まで写真探しをする。
1時半。お風呂に入り2時に就寝。




12月27日(金) 晴れ

午後から、デザイナーさんと年賀状のやりとり。
昨日、仕事の息抜きにレイアウトを組んで欲しいとお願いしてみたら、年末は忙しくて無理とのこと。それから1時間後、「置くだけみたいに簡単なものなら…」と電話をくれたのだ。


昨日選んだ写真を送ると、2時間後に仕上げて、送ってくれた。
しかし、何かおかしい。釈然としない。それで、copyをブラッシュアップしてみる。

すると「せっかくのcopy。観光写真なんて勿体ない。もっと普通の人の暮らしが垣間見える、例えば市場で野菜などを愉しそうに選んでいる写真とか、カフェで人がくつろぐ風景とかcopyにあう写真を選び直してみて。1時間だけ待つから」という。

彼女も忙しい最中だろうに、申し訳ない気持ちと、なるほど!が交錯し、共に作り上げる喜びがあふれて、イチから写真を選び直して超特急の10分で9枚を選ぶ。「もう一息、惜しい」と話し合う。

結局、最初に出していた写真に逆戻りし、フィニッシュだ。
写真をとる時は、何をみせるかストーリーを考えてから撮影しましょう!が今後の自分の教訓になった。

夕ごはんは、子羊肉のソテー。グリーンサラダ。ブロッコリーとニンニク炒め。カブと揚げの味噌汁。果物。




12月28日(土)晴れ

午前は、年賀状の宛名印刷。
「すごい片付け」の本を傍らにリビングの掃除。

片付けられないモノ(場所)の裏側に、才能が隠されている。


片付けができない人は、そこに愛着をもちすぎるあまり、片(カタ)をつけたくないという隠れた気持ちがあるから。

本気で自分を変えたいなら、
「時間の使い方を変える」「住む場所を変える」「向き合う人を変える」
という箇所を読み、深いなぁと感嘆し、ダイニングテーブルの足を、キュッキュッと
磨いた。


夕方買物に行き、年賀状を投函。

掃除で疲労したので夜ごはんは、薩摩豚のしゃぶしゃぶとさつま焼酎(白露酒造 白露黒麹)で。向田邦子が編集者にふるまったという「常夜鍋」(レシピは☆)で。


鹿児島の黒豚と焼酎、同郷の味だ。昨年、一人しゃぶしゃぶをした「かごんま」の夜を回想し、愉しくてたまらない。ずっと上機嫌でにやけて食べた。来年もこうして笑っていよう。

12時過ぎ、友達のSからメール。元気そうで、嬉しい。日本酒の写真を送ってくれた。ラベルcopyはSが苦労して書いたそうである。

☆「常夜鍋」
豚肉(新聞が読めるくらい薄くきった豚しゃぶ肉) ほうれん草1把 しょうが少々 にんにく 日本酒 レモン

作り方
・土鍋に、日本酒と水の3割ほどいれて、にんにく1かけ、倍量のしょうがを入れて、火にかける。
・しょう油にレモン汁を絞りいれた、たれを準備する。(濃ければ、鍋のだしをたす)
・沸騰したら弱火にして、豚肉をいれ、ささっと、たれをつけ食べ、 豚肉を食べきったら、ほうれん草を入れ、ささっと、たれをつけ食べる。繰り返す。



12月29日(日)晴れ

母と夫の年賀状の宛名印刷をしながら、掃除をする。
6時に主人と母の年賀状を投函。
昨日買い忘れた食材を買うために、イカリスーパーへ行くとおいしそうなアンコウがある。身がツヤツヤで新鮮、大ぶり。

夜はアンコウ鍋。年末年始の慌ただしさに、鍋は救世主。
シメはうどんにしてみた。ワインを開封したかったが、アンコウにあわせ日本酒(香住鶴)を飲む。




12月30日(月)

一日中、掃除の日。
うちには、積ん読(つんどく)本がリビングのソファ前に鎮座している。
読みかけの本、読みたい本、面白かったので再読しようと思う本の類いだ。一人掛けソファのサイドテーブルにも、「積ん読」が高々とある。

いよいよ片付けないわけにはいかない。
それで、キッチンのカウンター下にある書類入れ(家族関係の資料など)を整理して、本のスペースを無理やり確保した。


この書庫は、主人が設計して、こしらえてくれたカンター下のスペースだ。
右サイドには雑誌関係。中央は文庫2段とハードカバー1段。左サイドにある書類とミュージックビデオ、家族のビデオなど。

左サイドを全て片付けて。文庫2段とハードカバー1段にたっぷり収納した。

このほか、廊下のクローゼット。洋室に本棚が2本。仕事部屋に古雑誌が少しある。

本を半分にして、よい本棚を1本購入したい。



夕ごはんは、今晩のお手軽にカレーライスとサラダ、酢のもの。食後のチーズで。スパークリングワインを1本あける。




12月31日(火)晴れ

午前は掃除。午後はお節作り。の予定だったが、「流しの下に棚をこしらえたいから日用品を買いにいく」と主人。本当は快く送り出したいところを、昨日・今日とよく動いてくれているので付き合う気になった。

用事を終えてすぐ、お塩と砂糖が十分でないことに気付き、近くのスーパーを旋回すると、以前取材したそば屋さん「中川」の前に4・5名の行列がみえた。


年越しそばは購入しているし、海老もある。
しかれど車の中から店をみあげると、なにやらざわっとした。おいしそうな和風出汁の香りが喉のおくにこみあげてきた。結果、近くのパーキングエリアに車を止めて、のぞいてみることに。

4・5人待ちと思いきや、18席ほど待っておられる。こうなると急に冷えてきたと思え、風が暖簾を揺らす。
優雅に本などを読み、待っている方々が誰も上等な人に思えてくる。
「お蕎麦やから回転もはやいよ」と相方を励まし、待つこと、2時間。脱落しよう!と何度か思うも、せっかくパーキングに車を止めて、何もお腹に入れずに帰るのは寂しい…とばかりに粘って待った。この性格、食いしん坊を呪う。それに寒かった。
 

ただおいしかった! すごくおいしかった!
鴨南蛮と天ぷら付き。

大半の方々が冷酒やビール、蕎麦(盛りそば)、一品料理と年末の年越しそばを愉しんでいらした。がここは我慢。(これからお節づくりが待っている)

天ぷらは胡麻油で、これ以上ないほどカラッと上がり、野菜もおいしい。
江戸仕立ての出汁はやや甘めで濃く、香りがよかった。最高だった。

パーキングを出る時には、2時間20分を経過。外は真っ暗だ。


2時からお節作りが6時半にずれこんで、11時半近くまでずっとガスレンジのそばに張り付いて、テレビをチラ見しながら、料理をつくる。ひたすら煮炊き…、黒豆が2回泡をく。

12時、近所の氏神様に除夜の鐘をつきに。お風呂へ入って2時半に就寝。
















新年のごあいさつ

2020-01-02 17:18:30 | writer希望を胸に執筆日記






あけましておめでとうございます。


昨年は、鹿児島一人旅にはじまり、新芽の季節には青森・奥入瀬渓流に。

冬はウィーンのカフェ文化を訪ね、
ワクワクする「そと」の時間を冒険してきました。

家族とのじかん、執筆との対峙や朝夜の入浴読書、瞑想など。

「うち」の暮らしも、できるだけ上機嫌で。

日々ありがとう、の気持ちを胸に、

外のじかん、家のじかんも
愉しんで駆け抜けていきたいと想っています。

今年もよろしくお願いします。