少し気分が落ち着いた。
今週の月曜日にいよいよスタートした納入設備の本生産運転。結果は・・・?上々だった(^^♪
検収条件でずっとお客様と合意出来ていなかった。動きが1mm狂えばNGが出る機械で、結構精度が
要求されるのだが、上流側から供給されるワークの位置が結構ラフだし難しい厳しいし天候に左右されるし
で、お客様の検収条件を呑むことを設計が頑なに拒んでいたのだ。停止せずに流れる時間を何分?何時間?
で設定するか。しかしまあ実際のところ、本生産が始まったら数分くらいで停まっていてはお話にならない
のも事実。ただ機械と言うのは、いくら調整を念入りにしても、動き出し立ち上がってすぐに順調に動く
とは限らない。何日間か掛かって、時には数カ月掛かってなじんで来る場合もある。そうなれば後はずっと
休みなしに動いてくれるようになるのだが、初期のあれこれが出て来ることも有る訳で、検収あがら
なかったらいつまでも帰れないし。で、設計は拘ったのだろう。
最初はドキドキしたのだけれど、杞憂だった。すごく順調で、最初から数時間停止無しで稼働してくれた。
全く問題無しだ。賢いねぇと機械を誉めてあげた。
翌日もその翌日も全くミスなしで動く機械を見ながら私たちは小さな声で『パーフェクトやね!』と
お互い顔を見合わせ声を掛け合い喜んだ。しかし皆思いは一緒。あんまり調子に乗って喜び過ぎると、
どこかで何か出て来るよと。なので喜びは控えめに。
私は3週間の間、行ったり来たりを繰り返したけれど、工事に行っている人たちで最後まで残った人たちは
3週間ずっと連続だった。さぞ疲れたことだろう。重量屋さんが帰りメカの人たちが帰り電気工事が帰り、
最後は結局調整の制御の人たちが残る。いつものことだが。総責任者のメカ設計と。
彼らは昨日の生産運転終了後に各自 車で静岡から関西まで帰った。夜遅く家に着き、足を延ばしてゆっくり
お風呂に入ったかな?。1人四国の人が居たがどうしたのだろう?泊って今日移動したかも知れない。
ビジネスホテル暮らしが長いのはしんどいだろう。
営業としては本当は2週間で終わって欲しかったのだが、予定より1週間余計に時間が掛かったこと
諸事情により致し方ないことだった。よくあることだ。
会社に戻っている時に、今後のことで打合せがしたいと申し出た私に(AIカメラ検査のことで)
『搬入までに出来ていなければならなかったことも出来ていないのに一体何を打ち合わせするんだっ!』
と激怒してメール返信して来た客先の№2。何でそんなに怒るかなぁ、今はちゃんと動いているでしょ?
遅れ取り返したでしょ?出荷までに出来ていなかったことを現地で帳尻合わせることはままある。
しかし我々が使うところのFATというのは Factory Acceptance Test のことだから、本当は要求仕様を完全に
網羅出来ていなければお客様は出荷を遅らせてでもちゃんと仕上げてと言うのはあることではある。
ただ1週間ずらすと現地での時間が短くなる。生産運転開始の日が決まっていたから。ならば現地に行って
から頑張ろうと言うのと、トラックの手配も現地に行く人の段取りも済んでいたので変更はしたくなかった。
どうしても入れさせてもらいたかった。お客様の担当者も、その方向で考えておられた。なによりお客様の
社長が入れても良い、入れてから頑張ってと言って下さったのだから。怒っていたのはFATに来られなかった
№2だけ。何で入れるんだっ!となったのだろう。まあ理屈から言えば間違っては無いのだけれど、
そんな怒らんでも・・・と。怒られるのは慣れてるんだけどね、私のことが余程気に入らないのだろう。
現地搬入後は早かった。調整して試運転している間、機械は最初から相当順調だったので、他の工場から
たまに見に来られる№2はいつも機嫌が良かったと。私は一度も顔を合わせることは無かった。
誰かが『№2が見に来てるよ。めっちゃニコニコしてるよ』と報告くれるのだが『ふう~ん。あっ、そ』と、
私もそれがどーしたと言う気分だ。私の前ではニコニコ顔は見せたくないだろう。皆が『誰かが”Oさん
(私のこと)帰りましたよ。今なら会うこと有りませんよ”と報告してるんじゃないか?』と言って笑う
くらい絶妙のタイミングですれ違うのだ。
しかしあんまりエラソーに言うとねぇ、後で跳ね返って来るよ。
1週間、順調に稼働したうちの設備に比べ、上流側と下流側の我が社の設備に挟まれてお客様が直接購入
された設備があるのだが、それの調子が思わしくないのだ。そのせいで何度か停まったし、AIの判定にも
支障があるのだ。
まだ全くの無人化という訳には行かないだろう。しばらくは人が付くだろう。
でも皆のお陰で(勿論うちの人たちだし、お客様も協力して下さってる)こんな素晴らしい機械が出来上がり
上手く立ち上がってくれた。それだけで感激だ。
元になるアイデアを出した若い設計者は(最後まで居た)感無量だったろう。私と2人、1ケ月以上テスト
繰り返したよね。最初は試作機とも言えないほどの切ったり貼ったりから始まったよね。紙がステンレスに
なり電気が入って動くようになりと、本チャンの設計始まるまでにどんどん進んで行った。大枠は決まった。
あれがこうなったのねと感慨深いわ。
関わってくれた皆に感謝。こういう機会を与えて下さったお客様にも。
思えば1年前に展示会で初めてお目にかかったお客様の社長さん。よくぞ初めての付き合いの会社に
こんな高額な設備のご注文を下さったことよと思う。展示会には我が社だけでなく同じようなものを
造れる優秀なメーカーは他にもいっぱいある。なのに何でうちだったのだろう?まあ有名な大きい
会社は高いよね、多分。一品物を作るのかどうかも分からない。うちみたいな小さな会社が良いと
思って下さったのかも。そして展示している動いている機械を見れば技術力も判る。
そして社長さんがうちのブースにお見えになった時に、たまたま応対したのが私だった。
それもこれも縁よね。そして巡り合わせの妙だと思う。私は運がいい。周りの人に恵まれる。
この1年の間に何度社長に『逃げないでね』と言われたことか。難し過ぎて音を上げるとでも?
いやいや、諦めませんよモノになるまでは。そんな途中で投げ出すなんてことしませんって。とエラソー
には言ってるが、実際は例の検収運転時間のことで社内で相当揉めて、ちょっと微妙な時期は本当は
有ったのだけれど。
社長に近い取締役の他の工場の工場長、『相性でしょ?社長は瞬時で決めちゃうところあるから』と。
私、社長さんと相性良かったのね。ケミストリーが合うと言うか。
『信じているよ。Wさん(うちの会社)、いやOさんを信じているから』と言われ、それ荷が重いと
いうか責任重大やん・・・と思ったりもしたが、最後には『よく頑張ったね』と言って下さり、最後の
追い込みには『スピードに感心した、信じられない、素晴らしい!』と。
実は立会2週間前に若い方が様子を見に来られた時は、全く動いてなかったのだ。だから立会(FAT)の
日程無理じゃない?なんて話になっていたらしい。
感動してます、泣きそうですと言う私に『泣いても良いんだよ』。いやいや本当に泣きはしませんよ。
ましてや人前では。それくらい嬉しいってことで。
社長、下駄のお礼も何度も言われてた。『軽いねぇ。桐だなんて・・上等な下駄だよ。頂いていいの?』
ええ、ええ。社長の為に吟味したんですから。長く愛用して下さいね。
機械が上手く動いた時の嬉しさは本当に感動ものです。