これまで“ダマスクローズ”に登場した人物と彼らの生年、没年を整理しました。
(カッコ内は書籍の刊行年。)
薔薇物語の前編を書いた(1230) ギョーム・ド・ロリス 1200-1240
続編を書いた(1275) ジャン・ド・マン 1240-1305
Le Viandierを書いた(1373-1380, 1380-1393)タイユヴァン 1310-1395
タイユヴァンが仕えた シャルルⅤ 1338-1380
薔薇の言葉の作者(1402) クリティーヌ・ド・ピザン 1365-1430
シャルルⅤ世の嫡男、後継者 シャルルⅥ世 1368-1422
シャルルⅥ世のお妃 イザボー・ド・バヴィエール 1370-1435
ピザンはブルゴーニュ公フィリップⅡ世(豪胆公、シャルルⅤ世の兄弟、4男)からシャルルⅤの伝記を書くよう依頼されたようですし、タイユヴァンはシャルルⅤに料理書Le Viandierを謹呈しました。しかし、「薔薇の言葉」を見ることはなかったようです。
タイユヴァン以降の人たちは、特に発展目覚ましい時代の息吹を浴びつつ縦横に時代の流れの中を泳ぎまわっていた?ように見受けられます。
タイユヴァン( Tailleventには“高い鼻柱”の他に“縦帆”という意味があります。1350年頃から大西洋を走る帆船 (コグ) には縦帆が付き、追い風に向かって船を走らせることができるようになりました。櫂とオールだけで陸地沿いの海を、海岸を縫って航行する必要がなくなりました。即ち船を外洋に浮かべることができるようになったのです。船の輸送量は飛躍的に増えたのです。タイユヴァンというあだ名は彼の出世を、縦帆を装備した船にたとえたのだと思われます。
次の絵は、15世紀にハンザで使用されたコグ。縦帆を使って風上に向かって効率よく航行出来るようになりました。
15th Century Hanseatic Cog ship
https://www.alamy.com/a-hanseatic-cog-image231207452.html