1300年後半から1400年以降の写本の挿絵は、水彩絵の具に代わってグワッシュ ( 顔料をアラビアゴムの水溶液で溶いたもの) が使われるようになり、優雅で繊細な筆致が可能になりました。写本の縁飾りとして描かれていた絵が、絵画の地位を得ようとする時代でもありました。
この絵は写本の一部分を拡大したものです。
Roman de la Rose France, Paris, between 1340 and 1350 MS M.48 fol. 12v http://ica.themorgan.org/manuscript/page/11/76878
上の絵の右側に“D”の字が描かれていますが、左側の絵はもはや文字の一部分ではありません。絵が文字から切り離された独立した存在であることが判ります。