これまでに Rosa gallica, R. × centifolia, R. gallica officinalis といった学名が登場しました。薔薇はローザ属—ローザ亜属に属するものを指し、亜属の下に節、亜種、変種、品種と階級が続きます。学名は原則、属名と種小名とで表します。種小名はその種を表す形容詞を使います。学名は原則二名法で、イタリック体で表します。
『これまでに』から始まる上の文章で学名の読み方を説明しようと思います。
まず、最初の Rosa gallica から。Rosa はローズ属を、gallica は種小名です。gallica はガリア地方の(イタリア北部からフランス・ベルギー その他の国の一部の)を示す形容詞です。ちなみにcentifolia は100枚の花弁を持つ、officinalis は薬用のある、の意です
二ツ目のR.× centifoliaは,(×: 掛ける)の記号が付いて雑種を示します。Rose の属名は既に文頭で Rosa とあるので、以降の文中での記述では R.と省略しています。
3ツ目の R. gallica officinalis は流通名で、学名ではないのでイタリックで書くべきではありません。学名は R. gallica officinalis を R. gallica の変種として扱い、R. gallica var. officinalis と表記します。ちなみに R. gallica versicolor も流通名です。
下の薔薇の絵はwikiから引用したものです。
R.gallica var. officinalis 'Versicolor' ( Rosa gallica gallica var. officinalis 'Versicolor' (Rosa gallica L. 'Rosa Mundi' ) と表記してあり、『R. gallica `Versicolor', Rosa Mundi はRosa gallica var.officinalis の枝変わり』との説明がありました。'Versicolor'は「雑色の」の意味の形容詞であり、シングルクォーテーションで囲まれているので園芸種名であることをも表しています。
学名の命名法を知ると深く薔薇を理解することができます。( L.は命名者を表す頭文字で、ここではリンネを指しています。)
上と同じ3名法にvar. (variety: 変種)の他、f. ( forma: 品種)、ssp.またはsubsp.( subspecies: 独自の地理的分布を持つもの )、cv. ( cultivar: 園芸品種) などの表記があります。(なお、薔薇の場合、園芸品種が多いので属名とシングルクォーテーションで囲った‘園芸品種名’の二名法にする場合が多く見られます。)省略体は学名ではないのでイタリック体ではなく、立体で表示します。( ブログではイタリック体での表示ができないので斜体にしています。)
これからの説明のためにご紹介しておきました。
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