男と女の間には、越えるに超えれぬ立ち位置の違いがあるようだ。
愛し合う男女の転落していく様を描いた物語は、星の数ほど。
ただ、そこには抗えない共通の真理が存在する。
互いが、それを十分に相互理解できるならば、おそらく世界はもっと平和になるだろうに。
忙しく動き回る日々が続いているので、まとめてDVDを借りてきました。そのうちの1本、「夢売るふたり」を鑑賞。
不慮の火事によって、すべてを失った夫婦が、再起を決意して、同じ目的に向かい、頑張り始めるまではよかった。
ただ、その方法論が、安易に大金を得るという手段に、はまり込んでいったこと。
モテない女性に、夢を売るはずが、悪魔に自らの良心を売り渡しはじめる。
コメディを感じさせるストーリー展開から、中盤過ぎに転落し、壊れていく。この時点で、真の主演が「しっかり者」であったはずの妻、松たか子の方であることを感じさせる、きわどいシーンが続く・・。
女性の本来持っているズルさや、したたかさを存分に表した作品に仕上がっています。怖いくらい・・。もちろん、けなげさや可愛さもですよ。
この作品は、観る側が男か女かで、受け取るものが、変わる気がします。西川美和監督は、「善悪」や「人間心理」や「性」を見事にあぶり出しています。
男性は、つねに「信頼」されることを望み、女性は「理解」されたいと、いつも願い続ける。
その狭間には、パックリと開いたブラックホールが存在するのだ。
結局、共犯であるはずが、牢屋に入れられるのは、人のよさの勝る夫・阿部サダヲで、妻はしたたかに生き抜いているシーンで終わる。コメディの要素をふくみつつ、出所したあと、ふたりが再び結ばれるのかを考えさせられる、ずっしり重い作品です。
やはり、どこまでいっても女の方が強いの・・・か。
◆「夢売るふたり」
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