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感想です。

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』/全場面クライマックス。

2016-03-14 | 映画

とにかくすごかった。文句のつけようがない。

今作は『マッドマックス』4作目である。私の旧作の記憶は「昔、メル・ギブソン主役の映画があったな~好みの映画ではなかったね」程度だ。1作目は1979年公開。3作目は1985年だからさすがにメル・ギブソンは難しかったのだろう。主役のマックスはトム・ハーディに代わった。

新作「マッドマックス」昨年の公開時には私の興味をひかなかった。しかし評価がすこぶる良いのを耳にし、どんどん観たくなった。遅ればせながら、映画館(2D版)で観賞した。
期待を裏切らない出来栄えだった。アクション映画は私の好きなのジャンルではないのに、これはいい。むちゃくちゃ狂っていて、「なんだこれは」と驚いているうちに話が進んでいき、全場面見どころという凄まじさだった。

【以下ネタばれあり】

水も石油も尽き果てた世界。どこまで行っても砂漠で、無法者がのさばる。家族を奪われたマックスは本能で生き残ろうとしているだけだった。資源を独占し民衆を支配するイモータン・ジョーに反逆し逃げる女戦士フィリオサ(シャーリーズ・セロン)たちにマックスは出会う。彼らは成り行きで手を結ぶ。逃げるマックスらを追いかける無法者集団。容赦ないカーバトル。爆走爆破爆音バイオレンス。絶望的な世界がリアルすぎる。狂いすぎている。まるで北斗の拳の世界。それもそのはず北斗の拳はマッドマックスを参考にしているそうだ。こんな暴力的な世界は恐ろしいばかりだから観るのも嫌になってしまいそうなところだが、女戦士フィリオサの説得力のある強さに希望を感じられひきこまれた。生き残れ。希望を捨てるな。

荒野を暴走し逃げるだけだからストーリーは単純。しかし浅い話ではない。最台詞は少なくてもそれぞれの人物の想いが伝わってきて、感情移入した。女戦士フィリオサは片腕がない。それを見るだけで大変な人生を歩んできたんだろうな、彼女の「ホーム(故郷)」への思いがせつなくてたまらなかった。ホームがあることの幸せや強さを考えて目頭が熱くなった。悪者のウォーボーイが無知で純粋なヤツだったしね(涙)最後らへんで泣きましたよ。

人生どうにもならないこともあるけど(マックスは助けると約束した家族を助けられなかった)諦めなければ変わるかもしれない(フィリオサは新しいホームを作るだろう。年配の女性が大切に持っていた種は受け継がれる)。
弱い立場でも最初から負けを認めるなと熱いメッセージを受け取った。闘争好きな男だけに世界を任していたらいけない。ひとりで悪ボスの妻を連れて逃走したフィリオサほどにはなれなくても 砂漠で軍団を作り生き残ってきた年配の女たちくらいにはなりたいわ。

シャーリーズ・セロンを讃えるし大絶賛もするけど、好みの映画ではない。私には刺激が強すぎた。かっこいいなんて少しも思わなかった。「とにかく生き残って」と祈る気持ちで観た。こんな映画のような世界にしたらいけない。

まじめに書いてしまったけど、まともな映像じゃありません。まともな車ないしまともな戦い方じゃないし変なのいっぱいでてきる。そのどれもがデザイン性がすばらしく目を見張った。とにかく狂っていた。ぜひ観てください。

映画館で観賞できてよかった。