あおこのぶろぐ

オペラ、テレビ、日常など、気が向いたときに書いていきます!

びわ湖ホールプロデュースオペラ「パルジファル」 視覚編

2022-03-12 21:36:55 | 日記
今回は木曜と日曜の2回公演。
特に3日は、平日ということもあり、空席が目立ちました。
シングルキャストだから、土日連続は厳しいということかな?
考えてみれば今まで、土日別キャストで上演したのだから、贅沢だったとも言えます。

来年のマイスタージンガーも木、日と予定されています。

沼尻さんの芸術監督として最後の作品、そしてびわ湖ホールでのワーグナー10作品目。
私がびわ湖ホールに通うようになったのは「リング」からですが、びわ湖ホールプロデュースオペラは以前、神奈川県民ホールでも上演していたので、「タンホイザー」、ローウェルス演出の「ワルキューレ」、「オランダ人」も観ていました。
「トリスタンとイゾルデ」以外は観ていることになります。

「マイスタージンガー」は大好きなので、シングルキャストだとしても、2日とも行きたいところです。
観るほうとしては、土日連続のほうが予定は立てやすいですが、ダブルキャストだったとしても、オーケストラの方々も大変でしょう。特に「マイスタージンガー」は。


昨年の「ローエングリン」は、フルステージ予定が新型コロナの関係でセミ・ステージになりました。

今回は、びわ湖リングで演出補を務めた伊香修吾さん構成のセミ・ステージ形式。
映像と照明で場面を表し、歌手はオーケストラの前に並べられた椅子に座ったり立ったりして歌いました。
恐らく出のタイミングとかは伊香さん監修でしょうが、歌手はそれぞれ演技しながら歌っていました。
去年も思いましたが、演出によっては、えーっと思って、音楽がよくても感動出来ない場合がありますが、そういうことはなかった。

「パルジファル」のラストは、きつく絡まりあっていた3本くらいの紐がすっとほどけるようなカタルシスを味わえる音楽。
決して邪魔をせず映像も含めラストも感動させていただきました。

余談ながら、2012年の二期会のグートの演出は「読み替え」と言われるものでしたが、ラストシーンはとても感動したのを覚えています。
今夏の宮本亞門氏の演出も楽しみです。


今回の公演、出演者もイメージ通りの衣裳で、演技ありなので、かなりフルオペラ公演に近い印象で楽しめました。

ただ、一点! どうしても気になったことが。
「パルジファルって少年(若者)なんだよね…?」とついつい思ってしまう。
演奏会ではなく、セミ・ステージなのなら、もう一歩踏み込んだ「扮装」まであっても良いのでは、と思ってしまった。
小道具(聖槍とか)を持つとか。

東京春祭のワーグナーシリーズは、同じように映像はあるものの、基本的に演奏会形式。譜面台があります。
譜面をほぼ見ず演技しながら歌ったフォークトさまや、「邪魔よ!」とばかりに退かしたラング姐さんのようなケースもありますが。

2000年から行われた飯守泰次郎指揮の東京シティフィルの「リング」などは、「オーケストラル・オペラ」といわれていました。
舞台上にオーケストラがいますが、簡易的に衣裳あり、小道具有り、演出ありの上演形式でした。
また2016年、サントリーホールのザルツブルクイースター音楽祭のティーレマン指揮「ラインの黄金」は、ホールオペラで、簡易な装置があり、芝居が繰り広げられていました。

来年の「マイスタージンガー」は粟國さん演出でのセミ・ステージということ。

出来ればフルステージで観たかったですが、フルステージだと費用もかかって大変かとは思います。
(オーケストラの方にとってはどちらが負担なんでしょう?)

いずれにしても、粟國さんが演出担当なさるなら、オーケストラルオペラ、またはホールオペラのレベルにして欲しいと思っています。



今回、一日は初めてびわ湖ホールのサイドの席に座ったのですが、サイド席の前にあるのは金属製の細かい穴の開いたフェンス。
新国立劇場などはステージを見ようと思ったら乗り出すしかなくて、後方の人に迷惑をかけることになるけど、びわ湖ホールはフェンスから(もちろん見づらさはあるけど)見えるのでいいな、と思いました。
新国立も是非シースルーフェンスに変えて欲しい! と思いました。無理でしょうけど。



びわ湖ホールプロデュースオペラ「パルジファル」 音楽編

2022-03-09 22:23:27 | 日記
ワーグナー好き、ではありますが、私にとって「パルジファル」は優先順位が低い作品です。
私は基本的に「元気のいい、勇ましい」曲が好きなのです。
「パルジファル」は、舞台神聖祝典劇というだけあって、宗教曲に近いイメージ。
一旦聴くと、いつも心が浄化されるような気持ちになり、いいなあと思うのですが、「聴きたい観たいランキング」では下のほうになってしまいます。

実際、上演回数も多くないこともあり、ワーグナー作品の中では私が観た回数も多くはありません。

私が舞台で観たのは2005年の日生劇場の公演、2012年の二期会、2014年の新国立劇場(フランツがタイトルロール)。
演奏会形式では第3幕だけなら2011年のゲルギエフ(!)指揮マリインスキーオペラ特別公演、グルネマンツをルネ・パーぺが歌っていました。

去年の春祭はチケットを買っていましたが、中止になってしまいました。

今回、完全シングルキャストになるとわかっていたら、どちらか一日しか買わなかったと思います。
3日はクリスティアン・フランツが歌うということだったので、両日買いました。

フランツは、前にも書きましたが、トーキョー・リングとびわ湖リングでジークフリートを観てきて勝手に親しみを感じていていました。
また、びわ湖公演の祭、食事中のフランツと遭遇したのですが、本当に純粋な少年のような姿にすっかり魅了されました。
なので、フランツのパルジファルが観たかったのですが・・・。
まあ、年末くらいから「こりゃ無理か」と思いましたよ。
でも、はっきり告知されるまでは、一縷の望みにかけて2日間とも取ったわけですよ。
案の定来日は叶わず。
パルジファルは2日とも福井敬さん、クリングゾルはやはり来日出来なくなったユルゲン・リン氏の代わりに友清崇さんが歌うことになり、完全なるシングルキャストになりました。

それでもチケットを取っていたので、変則な遠征日程で両日行くことにしました。

2日置いて2回観るのは、海馬にあった記憶が長期記憶されるように、強く脳に刻みこまれたようで、すっかりパルジファルの世界に浸っています。まさしく洗脳?

過去の鑑賞歴を思い出しても、一部「惜しい」というか「残念」というところがあったりしたものですが、今回マイナス点がなかったと言えると思います。
合唱、小姓の皆さん、クリングゾルの魔法の6人の乙女たちまで、本当にレベルが高かったです。
聖杯守護の騎士が 西村悟さんと、もともとは友清崇さんが歌う予定でした。友清さんがクリングゾルに昇格して、的場正剛さんが歌いましたが、豪華ですよね。

ソリストの皆さんも熱演、好演。

歌いっぱなしの斉木健詞さんのグルネマンツが、文字通り物語を牽引していました。

田崎尚美さんはエリーザベトやゼンタの乙女感から一転、魔女オーラ出しまくり。クンドリにしか見えなかった。

グリングゾルの友清さん、「フィデリオ」の時も思ったけど、悪役好みの私の好きな声。イメージもぴったり。

苦悩の王・アムフォルタスは青山貴さんが好演。理想のワーグナー声で、舞台を引き締めていました。

ティトゥレルの妻屋秀和さん。出番が少なくてもったいない感じでしたが、存在感抜群。

そして何より沼尻竜典さん指揮の京都市交響楽団!
毎年思っていましたが、特に「パルジファル」は音楽の深みを感じさせ、本当に素晴らしくて、ワーグナーの音楽を堪能させてもらいました!


今回の公演、片寄純也さん、大沼徹さん、山下浩司さん、泉良平さんという、2012年二期会公演で歌っていたメンバーもカヴァーで控えていたそうです。
ダブルキャストでも良かったのでは??

これだけの歌手を集めて高水準で上演出来るのはまさしく沼尻さんの力でしょう。来年は芸術監督として最後に「マイスタージンガー」を上演。勿論観に行く予定です!


代替公演ながら豪華キャスト・二期会「フィガロの結婚」

2022-02-11 17:20:16 | 日記
2年連続でこの時期に「フィガロの結婚」を観ることになるとは。

「影のない女」の代替公演。
コンヴィチュニー演出で、ワールドプレミエのはずだったので、関係者も無念だったと思います。

しかし、急遽の代替公演を、これだけ豪華キャストで開催出来るのは素晴らしいですね。

宮本亞門氏演出のこのプロダクションは、初演の時観て、その後観たんだったかな。とにかく久しぶりです。

かなり王道の演出です。
昨年観たホモキのものより、密室感があるし、初心者にもわかりやすいと思います。

「こうもり」公演から、二期会と津田塾大学の梅五輪オペラWGの皆さんが、共同企画で盛り上げようとしています。
音大・芸大以外の学生さんがこういうことをやるのはとてもいいと思います。
この公演、学生は2,000円(2,500円)で観られるそうですが、音大生以外の学生さんにも観て欲しいですね。

私も「フィガロ・・・」を最初に観た時は10代でした。
音楽も耳馴染みがいいし、内容も楽しいし、初心者向き作品です。

最初に観たのは、何度か書いていますが、ウィーン国立歌劇場の来日公演をテレビで、です。
https://blog.goo.ne.jp/aokohime/e/b0bb70396c46f3b222003ac7dadc4201

その後、音楽大学の学園祭の発表会のようなものから、音大大学院修了公演なども観ました。
今回のプログラムに二期会の過去の公演の記録が書かれていましたが、ここに書かれていない、ほぼ二期会、という感じの日生劇場の公演も観ました。

プログラムによると1997年(池田直樹さん演出)まで訳詞上演、1998年から原語上演になっています。

で、私が勝手に提唱している、「オペレッタやオペラブッファは訳詞で」という希望ですが。
「フィガロの結婚」も中山悌一先生の名訳詞で何度も観ました。
それを是非復活させて欲しいところですが、確か伯爵のことを「お殿様」と歌っていました。
まあ、古い時代の話なのでおかしくはないけれど、ちょっと違和感もあるかな。
今風にアレンジして、訳詞上演を復活して欲しいなと思ったりします。


今回の公演(初日・2月9日)の感想。
アルマヴィーヴァ伯爵の大沼 徹さん、ヨカナーンもピツァロもウォルフラムも全部ハマるなあ。コミカルな役もうまい。色気もある。スザンナ、ちょっとよろめきかけたんじゃない? と思いました。
伯爵夫人の大村博美さん。威厳としなやかさのあるロジーナ。さすがですね♪
フィガロの萩原潤さん。いい声だし、うまいですね! 伯爵も歌われたことがあるそうですが、キャラ的にフィガロの方が合っている気がします。
ケルビーノは小林由佳さん。メゾだけど暗すぎずソフトな声で、見た目は「宝塚感たっぷり」。オクタヴィアンも楽しみです。
スザンナの宮地江奈さん、ヴィジュアルも声もスザンナにぴったりでチャーミングなスザンナでした。

1幕のラスト。
スザンナがフィガロに飛びついて、フィガロがスザンナをくるっと回すのが「定番」です。
ト書きに書かれているかわかりませんが、ほぼ、そうです。
音大の公演の時だったかな、どっしりした体格の人がスザンナを歌っていて、フィガロに飛びつくのだけど、ほぼ引きずるように半回転くらいしたという感じでした。これはミスキャストだろうと思いました。
今回の宮地さんは軽快にくるくる回ってました♪

主要5キャストがしっかりしていれば成功と言えますが、他のキャストの皆さんも良かったです。
石井藍さんのマルチェリーナ、畠山茂さんのバルトロのカップルもいい味でした。バジリオの高柳圭さんは、EXITのかねちーに見えて仕方なかった(ピンクの頭だし。寄せてる?)。

別キャストのほうは観に行けませんが、こちらも間違いなさそう。

指揮は「こうもり」に続いての川瀬賢太郎さん。演奏は新日本フィルハーモニー交響楽団。
川瀬さんは、アクティブでテンポの良い、時にゆったりと、場面にあった指揮ぶりで、楽しませてくれました。

とにかく安心して観られる上質なエンターテインメント作品ですので、出来るだけ多くの人が観てくれるといいなと思います。




当然かもしれませんが、「影のない女」出演予定だった方が「フィガロの結婚」に多く出ています。

「影のない女」中止が発表されたのは12月22日、新国立劇場の「さまよえるオランダ人」のキャスト変更が発表されたのは1月5日。

「影のない女」が上演出来ていたら田崎尚美さんや河野鉄平さんは「オランダ人」に出演されなかったのでしょうね。

新国立劇場「さまよえるオランダ人」・おかわり

2022-02-05 09:07:24 | 日記
幕切れの音楽が劇的で、演出によってはすごく感動出来る作品ベスト3は、「神々の黄昏」、 「タンホイザー」、 そして「さまよえるオランダ人」ではないかと思っています。
もちろん、演出だけでなく、歌、演技、演奏全て揃ってこそ感動出来るわけで、いい演出だなと思っていても演奏や演技が伴わなかったらイマイチな印象になる。
逆に言うと、ラストで感動出来るか出来ないかで、その公演の評価・印象が決まる気がします。

特に「オランダ人」は、音楽的にも演出的にもいろいろ出来る作品だと思うので、あらためて自分の過去のブログを読んだりして、過去に鑑賞した「オランダ人」を振り返ってみました。

幕切れの演出について絞ると、
神奈川県民ホール(=びわ湖ホール)の公演は、びわ湖リングのハンペ、ギールケコンビのプロダクション作品、とても良かったのだけど、ラストはどうしても「拍子抜け感」がありました。
https://blog.goo.ne.jp/aokohime/e/b03895d19518ceba965a7e5b89c4f289


2005年の二期会公演は、ダブルキャストで、キャストによってラストが違いました。演出家(渡辺和子さん)本当の意図はどっちだったのか・・・。

昨年BSプレミアムで放映されたフィレンツェのもバイロイトのも、ちょっと微妙・・・。

2019年、演奏会形式の東京春祭であれだけ感動出来たのは、ひとえにターフェルの歌、演技、存在感によるもの。素敵だったなあ♥️
https://blog.goo.ne.jp/aokohime/e/e873a7cb521afbf06e7eb4390df02ce8

ターフェルとか、エステスとかのオランダ人が心にあるから、河野さんが細すぎると思ってしまったのだわ。

エステス主演のVHSテープを幕切れだけ観返してみました。 クプファーの演出、やっぱりいいわ。
「救済」のない、文字通り救いのない終わり方なのだけど、ある意味リアリティーがある。本来の筋の方が無理があると言ったら無理があるし。
衝撃的だけど印象的。

(ビデオデッキがいつまで使えるかわかりません。コピーガードがかかっているからダビングも出来ない。過去に買ったテープをDVDに安価で交換してくれるサービスってないのかしら)


そして何度も観ている新国立劇場のシュテークマンの演出。
総合的に観て今年の公演が一番心に訴えるものがあったかもしれません。

なので2月2日(3公演目)、二度目の鑑賞しちゃいました。

そうしたら マリー役変更の告知が。



若い頃、オペラの演出に憧れていたことがあったので、かなり前から演出助手等でお名前を目にしてきた澤田康子さんには注目をしていました。私はその世界に飛び込む覚悟もなかったけど、着実にキャリアを積まれている様子に敬意を抱いてきました。
まさかこういう形で舞台出演されるとは!

カヴァーの方も出演出来なかったようで、歌唱の金子美香さんは直前のオファーだったそうです。
田崎さんと金子さんは2019年の東京春祭の「子供のためのワーグナー」でゼンタとマリーを歌っていましたね。

過去のこのプロダクションで歌って いた竹本節子さん、日本のマリーと言えばこの人、という印象があるので、今回無理だったのかなあと思ってしまった。

昨年の「ワルキューレ」の、1幕と2幕で違うジークムントと言い、
https://blog.goo.ne.jp/aokohime/e/0511e1e3edd4beb9c298d54165779a29
レアなものが観られたわけですが、「置かれた状況の中で最善を尽くしてなんとしても上演する」という姿勢は素晴らしいと思います。


今回の「オランダ人」、2月2日はいわゆる見切れ席だったけど、初日より感動したかも。

苦境の時のほうが、何かしらのパワーを生み出す、ということかもしれません。
https://blog.goo.ne.jp/aokohime/e/bdeb3ce0ab7c21cfb8ad3699ce73bf38


日本人キャストによる新国立劇場「さまよえるオランダ人」

2022-01-29 10:17:03 | 日記
オミクロン株の蔓延で新型ウイルス感染者が急増する中上演された新国立劇場「さまよえるオランダ人」。初日の1月26日、鑑賞しました。

入国制限措置により、指揮者がガエタノ・デスピノーサに変わり、歌手人はオール日本人キャストになりました。
が、私は楽しみにしていました。

田崎尚美さんのゼンタなら「間違いないな」と思ったし、城宏憲さんのエリック、楽しみで。
城さんのマンリーコを観たのがきっかけでこのブログを始めたのだし。
そして、オランダ人の河野鉄平さん、最近売り出し中、という感じだけれどちゃんと聴いたことがなかったので、楽しみでした。

とにかく、新型ウイルスの影響で公演中止となることだけが怖かったですが、無事開幕しました。

もともとのキャスト、ダーラントの妻屋秀和さん、ほんと、もう外れなし、安定、安心の演唱です。世界に誇れるバスですね!
マリーの山下牧子さん、マイスタージンガーに続いての乳母役ですが、もったいないくらいの美しさと歌唱。
舵手の鈴木准さん、妻屋さんとのコンビは、魔笛、フィデリオ等で既視感ありまくり。リリックな歌唱を聴かせてくれました。

そして代役の皆さん。

田崎さん、新国立劇場初登場というのが意外。すっかり日本のワーグナーソプラノの第一人者になった感じですね。
貫禄かつ繊細な歌唱で圧倒しました。去年のエリーザベト同様、乙女なヒロインをよく表していました。

城さんも良かったです! 城さんはイタリアオペラのイメージがありますが、この役はイタリアオペラっぽいし。演技も含めヴィジュアルが伴った実力派の貴重なテノールです。
昨年レルマ伯と王室の布告者を歌った「ドン・カルロ」公演を観ました。ドン・カルロのカヴァーをやってらっしゃいましたが、私は密かに「城さんのドン・カルロが観たかった~」と思っていました。

そしてオランダ人の河野さん。熱演、健闘、という感じでしたね。見た目が良いので、ゼンタが入れ込むことも納得出来る。個人的好みとしては、ちょっと細すぎるかな。オペラ歌手の方にこう思うことは珍しいですが。“ファントム”と思えばもちろん太すぎるよりいいのだけれど。とにかく今後の活躍に注目したいです。


合唱は新国立劇場合唱団(合唱指揮三澤洋史さん)。マイスタージンガーの時より人数が多かったのではないかと感じました。「オランダ人」はある意味「合唱オペラ」ですしね、迫力ありました。

指揮はデスピノーサ、オケは東京交響楽団。
私の勝手な想像が当たって、あの中に「オペラ座の怪人」を演奏した人がいるかも?? と思いながら観ていました。
https://blog.goo.ne.jp/aokohime/e/8541d2add6d0d034cb882dffbf68e8c8

初日だからか、演奏には「あれ?」というところが何度かありましたが。


「さまよえるオランダ人」の演出は古今東西いろいろありますが、最も印象的なのは、ハリー・クプファー演出のバイロイト音楽祭のもの。主演のサイモン・エステスが私は好きで、ビデオテープ(!)も持っています。

最近BSで放送された昨年のバイロイトの演出は、歌手は熱演で、芝居としては面白いけれど、「なんか、なんかなあ」という感じでした。
読み替えは、なるほどなあと、どこか腑に落ちるところがなければならないと思うのですが、全く別の劇になってしまっている印象でした。
                          
とにかくいろいろな演出パターンがありますが、このシュテークマンの演出はかなり王道に近い印象。
今回、ソーシャルディスタンスを意識して変更されたと思われるところも随所に観られました。
ラストは、いわゆる台本とはやや違う形ですが、オランダ人が「救済」されます。

今回の序曲について説明したデスピノーサの動画(救済の動機について)も興味深かったです。

最初(2007年)に観た時は幕切れに結構感動出来たのだけど、その後はそんなでもなかった。演技なのか演奏なのか慣れなのか。
でも、今回は、デスピノーサの指揮によるものか、河野さんの演技によるものかわかりませんが、ラスト、じわじわと感動しました。

妻屋さんが「日本人だけでもこれだけのことが出来るんだということを示すチャンスが再びやってきたんだと思います」と呟いておられましたが、まさにそういう公演だったと思います。                                                                                                                                                                 

とにかくあと3回、無事に上演されることを願います。


余談ながら、オペラの幕が降りると、カーテンコールもほぼ観ずに席を立つ人が結構いたりするのですが、今回終演が午後10時頃にも関わらず、近くの席の人で席を立つ人がいなかったのが、個人的には特筆すべき出来事でした♪